日本の文教政策における「選択と集中」について 2023年9月10日

主に「日曜討論」における中空麻奈氏(経済財政諮問会議議員)の主張をまくらとして Yoshi-aki Shimada氏「理論もデータもガバガバな状態で日曜討論すると財務省に負けるので、ちゃんとしたほうが良いと思います」
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

やっぱここに立ち戻る必要があると思う。NHK日曜討論を見直したけど東北大の卓越の話から大学間の資源配分偏りの「選択と集中」の話を中空氏が言い出したのに、横山先生が競争的資金をばらまく話で返したので論点おかしくなった。 twitter.com/tani6s/status/…

2023-09-11 21:14:42
TANIMURA Shogo @tani6s

日本の国立大学の真の問題は、「運営交付金」という政府から配分される基本的な予算が毎年1パーセント削減され続けていることであり、運営交付金は研究にも使われるが、大学の教員・職員の給料の出どころであり、大学の電気代も論文学術誌の購読費もそこから出ていることを知ってくれていますか?

2023-09-11 17:45:52
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

国立大学間の資源配分偏り問題を扱う上では東北大が国際卓越に選ばれた件のみをうんぬんかんぬんするんじゃなくて、地域中核とあわせて、研究大学をどうしようとしているかの政策を評価すべき。NHK日曜討論では金沢工業大の高橋先生が触れてたんだけど、司会のアナウンサがスルーしたんだよね(苦笑)

2023-09-11 21:24:29
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

科研費の研究者あたりの配分額の分布の偏りは、論文数の分布よりも急峻だと知られてるので、極端なこというと科研費は競争的資金配分の「選択と集中」の典型的な悪い例。なので、バラまきたいのに科研費を増額するというのはどこか論理矛盾してる。

2023-09-11 21:31:25
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

また、科研費の大学単位の配分額は米国NSFやドイツDFGの同様のグラントの配分額分布よりも急峻だということもよく知られているので、たぶん競争的資金の「集中と選択」を議論するときに科研費をバラマキの代表例として持ち出すのは悪手。採択率の点でも科研費は全くバラマキになってない。

2023-09-11 21:35:04
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

んでもって研究者あたりの論文数や、その論文で扱われるテーマの多様性(種類の数)はほとんどの場合、対数正規分布になってる。こうなるメカニズムは不明だけど、最もシンプルには何らかのマタイ効果(富む者がより富む)のフィードバックが効いてることが考えられる。

2023-09-11 21:39:20
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

科研費は採択率を分野である程度均一にするがために応募者数が多い分野に資源配分が自動的に集中するので、これはマタイ効果に寄与するように思われる。証拠はありません。

2023-09-11 21:41:22
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

図はこれ。ちょっと古いデータですけど、明らかに科研費は偏りすぎ。 pic.twitter.com/rrAH9BDJa5 twitter.com/yoshi_and_aki/…

2023-09-11 23:08:34
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

当然、科研費の分布は、運営費交付金分布よりかなり偏っている。 pic.twitter.com/2CkNoK0zUB

2023-09-11 23:10:29
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

んでもって、この科研費の偏りを是正するような方策はなにも打たれておらず、運営費交付金分布をさらに偏らせようという「集中と選択」が行われているわけで、そりゃ旧帝大以外の大部分の国立大学は干上がりますよね。

2023-09-11 23:12:00
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

気になったので最新(R5年度)を調べてみた。上位10機関(東大、京大、阪大、東北大、名大、九大、北大、理研、筑波大、東工大)に総額の40%が配分されています。グラフに表示されている500機関で全体の97%が配分されています。ここに表示されていない約1000機関には全体の3%しか配分されてません。 pic.twitter.com/iPqRsE9Lu1 twitter.com/80udT/status/1…

2023-09-12 09:26:07
T-80UD @80udT

@yoshi_and_aki 2013年に比べても最近、科研費の交付件数が増えた反面、一件当たり平均額が減少し、小規模私大にも配分されるようになっています。20年位前に比べて分散が進んでいるわけで。国立大学内の集中度も幾らか減少しているのでは?

2023-09-12 07:52:20
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Koji Ikegami @kojikegami

学会に参加した学生が「参加している学生、ほとんど旧帝大」と言っていましたが、地方大ではもう学生を学会に行かせるだけの財力は無いということなんですよね(それどころか卒業研究や修論研究も満足にさせられない)。しかも地方からの方が旅費も余分にかかるし。 twitter.com/yoshi_and_aki/…

2023-09-12 20:50:48
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

まー普通に考えたら科研費の小口化は論文生産性の観点からは悪手のような気がする。消耗品は買えないわポスドクは雇えないわで実験系を瀕死においやるだけのきがする。

2023-09-12 09:35:20
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

両対数で最下位まで書いてみました(鎖線はguide to the eyeです) pic.twitter.com/06dk78mttN twitter.com/kou5600/status…

2023-09-12 11:37:07
kou子力学 @kou5600

片対数グラフとか両対数グラフとかで見てみたい 昔流行った複雑系の話でべき乗則が出てくる (そんな話をしている場合ではない) twitter.com/yoshi_and_aki/…

2023-09-12 10:34:53
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

これD論でお蔵入りしているデータで少し古いですが、国立大学の論文数の分布と予算(統計局「科学技術研究調査」の「【9】内部使用研究費_総額」)の分布の比較の経年変化です。どの年も論文数(実線)のほうが予算配分(鎖線)よりも偏ってます(Shibayama 2011の調査と同じ傾向) pic.twitter.com/Qrh41kbZYN

2023-09-12 11:48:24
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

ランクプロットだけだとわかりにくいので、85の国立大学の予算、研究者数、論文数の累積分布関数(CFD)も張っておきます。ソースは予算と研究者数は統計局「科学技術研究調査」、論文数はScopusです。鎖線はeye guidですがべき分布っぽい部分が見られます。 pic.twitter.com/hVTW0hZsRV

2023-09-12 11:54:05
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Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

というわけで、理論もデータもガバガバな状態で日曜討論すると財務省に負けるので、ちゃんとしたほうが良いと思います。

2023-09-12 11:55:43

Ryota Kanai 🌙 @kanair_jp

ツイッターの研究者界隈では、いつものように「選択と集中」が話題だ。選択と集中が良いか悪いかという二者択一ではなく、どの程度の選択と集中が最適なのかという定量的な評価も必要なのではないだろうか。 選択と集中の度合いを表すパラメータをうまく定義できないだろうか。機械学習ででてくる温度のパラメータをイメージしている。このパラメータの値が低いことで研究費の一極集中を表し、高いことで一様に研究費を配分すること表す。 極端な一極集中は、たった1人にすべての研究費を渡す。これがうまく行かないのは容易に想像がつく。一方で、極端なバラマキの例としては、PhDを持っている人すべてに給与と最低限の研究費を無条件で生涯支給する。これもやはり問題はあるだろう。(個人的にはこれは面白いと思っているので、思考実験としてもっと考えてみたい) 両極端をイメージすると、その間に「最適な温度」があるのではないかと想像できる。その想定される最適なところから、どれくらいズレているのかを議論できると良い。 ただし、最適というのをどう定義するのかが難しい。その理由の一つは、アカデミアの価値が1つの連続的な値に集約できないだろうというのがある。分野によって成果の評価の仕方は多様だし、研究成果の意義が判明するまで長い時間がかかる種類のものもある。しかし、何らかの政策を合理的に最適化するには、種類の異なる価値に対して、ある程度合意できる重み付けを暫定的にきめる必要はあると思う。 最適化ではなく、税金は国民のために使うという原則から考えるやり方もあるだろう。この考え方においては、国民が支持したいと思う研究に投票して、それに応じて研究費の配分を決める。これは最適とは程遠い配分になるかもしれないし、現実的ではないだろうが、民意を反映した税金の使い方として正しい。

2023-09-11 01:49:38
TANIMURA Shogo @tani6s

@kanair_jp こちらのスレッド(冗長ですが)をお読みいただけると、何が問題なのかわかっていただけると思います。 twitter.com/tani6s/status/…

2023-09-12 18:49:03
TANIMURA Shogo @tani6s

@kanair_jp 研究費の適度な「選択と集中」投資に反対する人は少ないと思います。問題は、研究・教育の基礎的インフラを整備・維持するのに使われるべき運営費を減らしながら、過度な「選択と集中」が行われていることです。

2023-09-12 18:49:19
Ryota Kanai 🌙 @kanair_jp

谷村さん、 非常に本質的なスレッドへご案内くださりありがとうございます。実は、こちら拝見していて、とても納得しておりました。スレッドでご説明されているように、日本の研究力の衰退の本質は、運営交付金を計画的に縮小していることだと思います。 そこを認めた上でですが、ツイッターなどでのアカデミアの方の反応では、「選択と集中」こそが問題であるという論調が多いと思います。その部分だけを見ると、何らかの適切な選択と集中は必要なのではないかという議論になってしまいがちです。しかし、谷村さんが指摘されているように、運営交付金の継続的な縮小の方が、より本質的な問題だと理解しました。 おそらく、アカデミアにいる方は、選択と集中への批判は、それよりも運営交付金を増やすべきという意見とセットで考えるのが暗黙の前提となっているのかと思います。ただ、必ずしもその前提が自分を含めて外部の人と共通認識として確立されていないので、「選択と集中」への批判部分のみを聞くと、研究に限らず社会全般においてリソースの適切な配分を考えるのは当然でしょうという、横道にそれた議論になってしまうのだと思いました。 振り返ってみると、僕個人としては「選択と集中」と運営交付金の問題について、無関係ではないにしても、必ずしもセットではないだろうと考えていました。知識としては、運営交付金を毎年減らしていくという方針が決まっていることは知っており、それも重要なファクターだとは認識していましたが、自分の中では「選択と集中」と運営交付金がトレードオフの関係にあるとは、あまり認識していなかったように思います。 これは疑念というよりは素朴な疑問なのですが、実態として運営交付金を減らした分を、「選択と集中」的な競争的資金に当てているということが行われているのでしょうか。競争的資金の総額がどのように推移しているか少し検索してみたのですが、「選択と集中」的なものが、特段増えているようにも思えなかったです。(これは調査不足によるものかもしれないので、もし適切な資料をご存知でしたら教えてください) 谷村さんのスレッドを読むと、やはり運営交付金を減らしていることが本質的な問題だと思います。上にも書いたように、選択と集中という言葉に対して批判するだけだと、その背景にある運営交付金を減らしているというより本質的な問題から、論点がズレてしまうように思います。このあたりを、より適切に伝えていく必要があると思いました。 僕の感想としては、「選択と集中」の課題は相対的には枝葉の議論であり、本当の主たる問題は運営交付金のことなのだなと納得しました。ただ、社会の人口構成などを考えると、何かを犠牲にせずに運営交付金を維持したり増やすことは、非常に難しそうです。一つの方法として「選択と集中」型の助成金を縮小して、それを運営交付金に充てるというのも一案かもしれません。それに限らず、何か良い方法を見つけていく必要があります。 ここから少し話は逸れますが、運営交付金の話は、これから縮小していくことが確実に見えている日本社会で、経済活動をどう継続していくのかという、一般的な問題と地続きだと思いました。これまでの経済活動は、何もかもが成長する前提で設計されているように思います。資本主義経済では、将来の規模が大きくなることが前提で、未来を前借りする形で投資が行われる設計になっているため、現状維持や計画的な縮小にする方法がないように思います。 運営交付金の例でも、これから長期的に将来に渡って規模を縮小していくと決定されているようなので、そうなると安定して人を雇用したり、設備投資をしたりということができなくなると思います。資本主義経済で、投資が未来の成長からの前借りで成り立っているので、それを縮小を前提にすると、単純にスケールを小さくしたこと以上のネガティブなインパクトが現在に発生するのではないかと思います。 運営交付金の話からは少し逸れてしまいましたが、今後、人口減少の観点から先進国の多くが同じような問題に直面するだろうと思います。経済規模が縮小することが決定している世界での、成長を前提としない新しい経済システムの思想が必要になるのではないかと思います。

2023-09-13 01:22:22
TANIMURA Shogo @tani6s

わかってほしいですが、「研究費配分の選択と集中」が真の問題ではないです。「大学教職員の人件費や図書費・電気代などに費やすべき基礎的な大学運営費のほぼ一律な削減」が大学の基礎体力を奪ってしまったことがメインの問題であり、研究力低下はその副作用でしかないのです twitter.com/kanair_jp/stat…

2023-09-12 18:32:30
Yoshi-aki Shimada @yoshi_and_aki

ほんとうにこれofこれ。「選択と集中」の主問題は国立大学の財務基盤に打撃を与え「窒息死したくなければ変われ」と首をしめる手に力を入れながら10年間恐喝しつづけた財務省の間違った政策なんですよね。政府の目利き能力欠如やチェリーピック、競争的資金の偏りは脇道の問題。 twitter.com/tani6s/status/…

2023-09-13 08:19:54
TANIMURA Shogo @tani6s

まず大学の基礎体力を養ってからの競争・選択ならまともな勝負になるでしょうけど、大学の基礎体力を奪うことと研究費の「選択と集中」投資とを同時進行させているからひどいことになっているのです。

2023-09-12 18:33:13
TANIMURA Shogo @tani6s

研究力は、論文の数・引用回数などで数値化しやすくランキングなどで表に出やすいので、上がった・下がったと騒がれますが、「大学の中でどういうふうに予算をやりくりしているか」という、表には出にくいけども真の問題があって、研究力低下は表面的な症状の一つにすぎないのです。

2023-09-12 18:33:37
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