バンドサークルの思い出

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

大学入学当時、CrossbeatとDollとEat Magazine読者だったが特にバンドやる気もなく当初はマイナーそうという理由だけで某エクストリーム運動サークルに入るも、当然ながら運動したいわけでもなかったため、練習に一度も行くことなく半年ほどで自然退部 #tarosanote

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夏休みが終わり、音楽サークルに入りたいと思い直したものの、趣味が合う人間はここにいないと悟り、日吉にある某大学の友人の紹介で某音楽サークルのDJイベントに足を運んだ。日吉駅まで電車で行き、見知らぬキャンパスを案内されながら場末のドアを開けると、爆音で流れるStone Roses... #tarosanote

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暗い部屋の中ではUKロックを流す部員がDJをやっていて、数人が手を上げゆらゆらと踊っていた。そして流れるスミスのパニック！いきなり場が盛り上がるこの感じ、大阪のクラブで見たことがある😂と思い、若干の違和感を感じながらも音楽の話ができそうという高揚感を抱え後ろで1人立つ俺 #tarosanote

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ヘナヘナ踊るフロアの空気に少し疲れ、外に出るとベンチに座る1人の先輩。友人に紹介され話してみると、「今の時間帯はどうも趣味が合わないんだよね…」といきなりぶっちゃけられ、自身が作っているという音楽Zineを渡された。見るとPavementを中心にぎっしり音楽レビューが書かれている #tarosanote

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Zineの内容はかなりマニアックで、東京のポテンシャルをいきなり見せつけられた気がするが、ファンジンというよりは批評性が高すぎる内容、さらに好きな音楽が似通っているのにサークル内派閥争いがエグいという話も聞き、おれの嫌いなロキノン系の悪いとこ出てるなぁとモヤモヤ… #tarosanote

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せっかく紹介してもらったけど、日吉遠いし、求めてたものと若干違うし、同族嫌悪に苛まれそうだし、うるさい音楽はバカにされそうだし、やめとくかな…と思った矢先、その先輩から「君の大学で◯◯ってバンドサークル知ってる？結構マニアックらしいよ。一回見に行ったら？」との情報 #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

「全然知らなかったです。ありがとうございます！」とその先輩に礼を言い、日吉にある某大学のキャンパスを去り、東横線で渋谷方面の電車に乗った おれの大学にも、そんなサークルがあったんか…やばい！と頭の中はワクワクでいっぱいに(つづく) #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

【第1話 入部】 週が明け月曜日、大学の昼休みに早速そのバンドサークルの部室に向かった。部室は外観がクソ汚いコンクリで作られた元倉庫にあり、何の情報もなかったら絶対に足を踏み入れないような場所。緊張しながらも中に入ると、小さな建物の中には様々な音楽サークルが雑居していた #tarosanote

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ここかな？と中に入ると長髪の人たちが何人も入り口を振り返り、見ると全員メタルTシャツを着ている。え！？ここ？と思ったが、聞くと別のサークルのようで、◯◯は斜向かいの部屋だよと教えてもらった。いきなり部室を間違えドキドキしたが、気を取り直して少し大きめの木のドアを開けた #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

ドアを開けると、中は思ったより広く、ドラムセットと数台のアンプが手前に置かれ、奥には長い机とテレビ、そしてスーパーファミコン。壁には誰かが殴り書きした謎の落書き、窓は木で塞がれており、ほぼ日の光が入らない状態。うわー！おれの思い描いていた理想のきったねぇ部室や！と感動 #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

「見学したいんですけど…」と中に入ると、ドラムセットに座っていた短髪の先輩が「お！Biohazard！」とおれのTシャツにいきなり反応。すると奥でスーファミやっていた不健康そうな先輩も「え？あ、ほんとだ」と反応。見ると2人もAssückとDwarvesのTシャツを着ている。…もう心は決まった #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

中に入って話を聞くと、特に部費もないし、セレクションもないし、楽器の強制もないとのこと。部室もいつでも使っていいらしい。バンドサークルってこんなに緩いん？と思ったが、大歓迎だ。入る方向で考えていることを伝えると、土曜の夕方にここで部会やってるから来れば？と誘われた #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

土曜の夕方、部室に向かうと既に明かりがついていた。緊張しながら部室に入ると、先日部室にいた先輩Iがいた。今日はDwarvesの血まみれ女体Tシャツでなく、山野一のヒヤパカTシャツを着ている。普通なら引くところだが、当時の私はこんな変人とこの大学で話せることがただただ嬉しかった #tarosanote

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部室に来る前に寄ったディスクユニオンの袋を見た先輩Iが「何買ってきたの？」と聞いてきたので、発売したばかりのハイスタの1stアルバムを袋から出すと、「お、ハイスタ」と即反応。すると、革ジャンを着た小汚い先輩も満面の笑みで「俺、ミニアルバム持ってるよ☺️」と割って入ってきた #tarosanote

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革ジャン先輩KWは根掘り葉掘り好きな音楽を聞いてくるのだが、答えるたび「うーん、3rdもいいけどやっぱ1stなんよね☺️」「あんま好きじゃないけどライブ見たことあるよ☺️」「おれも持ってるよ☺️」と満面の笑みでマウントを取りに来る。そんなKW、実はサークルのシンボリック的存在であった #tarosanote

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そんな先輩KWはRamonesをこよなく愛する男で、サークルの外ではBlack Metalバンドもやっていた。口癖は「Carcassは1st」「Sepultraのライブでダイブして追い出された」「この革ジャン、中学の時から着ている」などなど。Gauzeのライブに誘ってくれたのもこの先輩だ #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

初めての部会はもはや記憶が曖昧だが、とにかくこの先輩2人の記憶が強烈だった。部室で買い込んできた酒を飲みながら、ぐだぐだと音楽好き同士で雑談する場はたまらない。当然ながら、初めての部会で入部を正式に宣言した。やっと大学に居場所が見つかった気がして、嬉しかった(つづく) #tarosanote

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【第2話 キャンパスライフ】 大学の居場所は教室や食堂しかなかったのに、突然部室という選択肢ができた。当然暇があれば部室に行くようになり、メシも近くの肉屋でお弁当を買って部室で食べるようになった。部室に行けば誰かしらいた。テレビもあるし、スーファミもある。CDも聴ける #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

部室にはいつも先輩Iがいた。Iは学校内の寮に住んでおり下手すると夜も部室にいた。寮は完全にアングラ化しており、勝手営業していたバーに夜に飲みに行ったりした。寮の風呂場では時々ライブがあり、上々颱風も出た。よそ者らしき怪しげなアート集団もいた。キャンパスライフが激変した #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

先輩Iはアングラを絵に描いたような男だ。好きな音楽はGoregrind、好きな漫画は山野一に根本敬、エロゲは遺作。お気に入りのフリースは元々長袖だったが暑すぎるからとハサミで袖を切り落として着ていた。そんなとある平日、Iに面白い所があると池尻大橋の行きつけの店に連れて行かれた #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

そこはNG Galleryという小さなギャラリーで、ちょうど釣崎清隆氏の死体写真を中心に展示していた。先輩Iはにこやかに店主と談笑していて、圧倒された覚えがある。こんな変人の彼だが、なぜかサークル内では愛されキャラで、おれもかなり仲良くなり、同い年ゆえ呼び捨てする仲になった #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

なんだかIの話ばかりで暗黒キャンパスライフのように書いたが、入部したのは秋。文化祭シーズンだ。バンドサークルにとっては一大イベント。練習スタジオを兼ねている部室には毎日のようにバンド練が入り、既に別キャンパスにいる先輩たちも続々と部室に来て楽しい毎日だった(つづく) #tarosanote

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【第3話 文化祭(1年生・秋)】 サークルに入部してほどなく、文化祭シーズンが始まった。うちは比較的少人数だったため、オリジナルバンドはサークル外で組み、文化祭はコピーバンドがメイン。1年生でその頃残っていたのは男6人女1人のみ。楽器も偏っていたため、同級生バンドは組めず #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

その頃、1年生男女7人はお世辞にも仲がさほど良くもなく、それぞれ強烈な個性の持ち主だったため、同級生の馴れ合いという単語は我々の辞書になかった。紅一点となると普通は恋愛関係の中心になろうものだが、誇り高きオリーブ少女だった彼女がそんな陳腐な存在に落ち着くはずもなく… #tarosanote

たろさ(tarosa) aka ぼん @tarosanikki

男の1人はメタラーだった。おれが初日に間違えて入ろうとした斜向かいにあるメタルサークルになぜか入らず、こっちに入った男。遠目に見ると伊藤政則そのものだった彼は、壊れたラジオと称されるほどのマシンガントークで場をかき回し、盟友の鶴瓶似の高校の同級生とコンビを組んでいた #tarosanote