「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

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GMBO2008 @GMBO2008

具体的には、コミュニケーション機能、意味性、超越性、継承性、習得可能性、生産性、経済性、離散性、恣意性、二重性という10個のキーワードから、オノマトペが一人前の言語の一員であるかを検討する。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 19:35:50
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経済性以外は、20世紀半ばにアメリカの言語学者チャールズ・F・ホケットが、人間の言語と他の動物のコミュニケーションがどう異なるかを論じた際に含めた指標である。「言語の大原則design features of language」のゴールドスタンダードとして言語学界隈で今なお広く論じられている。 「言語の本質」

2023-10-01 19:35:51
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1歳を過ぎた赤ちゃんに、知っている単語を聞かせ、モノを見せたとき、モノが単語と合っているときと、合っていないときで、違う脳波のパターンが見られるのだ。 「言語の本質」今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 19:51:16
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たとえば「イヌ」という音なのに、絵はネコの絵だとする。すると、「イヌ」という音と同時にイヌの絵が見せられたときに比べ、音の始まりから0.5秒くらいたったところ(400ミリ〜600ミリ秒)で、脳の左右半球の真ん中付近、正中線上に沿った部分の電位が下がる。 「言語の本質」今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 19:51:17
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これは大人でも単語と指示対象が不整合だったり、文脈に合わなかったりしたときに見られる反応で、一般的にN400と言われる。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 19:51:17
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ことばを使うとき、脳は、ピンポイントで想起したい単語を一つだけ想起するわけではない。同じ概念領域に所属する似た単語や似た音を持つことばが一斉に活性化され、活性化された単語たちの間で競争が起こり、生き残ったことばが最終的に意識に上って「想起」される。 「言語の本質」 今井 秋田

2023-10-01 20:02:18
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想起する候補を無意識の情報処理の過程で選択しているとき、似た意味で似た音を持つライバルの単語が多数あったら、情報処理の負荷は非常に重たくなってしまう。想起にかかるスピードが遅くなるだけではなく、言い間違い、聞き間違いも多く起こるようになる。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 20:02:19
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単語に音とつながりが感じられるというのはいいことばかりではない。音と意味のつながりがないほうが、情報処理に有利なこともあるのだ。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 20:02:19
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英語は「オノマトペ語彙が貧弱」というより、もともとオノマトペだった表現が、動詞として文構造の中核に取り込まれ表現されるようになった結果、オノマトペ性を失い一般語化されてしまった、という仮説が真実味を帯びてくる。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-01 20:05:35
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言語を学習することによって、抽象的な関係性や同じパターンで使われる関係性など、もともとは「似ている」と思わなかった概念にも類似性を感じるようになる。乳幼児期から子どもは、知覚的な類似性を検出することができる。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:33:28
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その「似ている」感覚を足がかりに、動詞の持つ抽象性を緩和し、動詞を学習する。さらに、動詞を学習することで、抽象的な関係性にも「似ている」と感じることができるようになるのだ。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:33:29
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言い換えれば、動詞を知らなくてもわかる知覚的な類似性を利用して、大人のように、抽象的な関係性を「似ている」と見なせるようになる。自らをブートストラップしているのである。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:33:29
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しかし、ヘレンは、手に水を浴びたときに、サリバン先生が手に綴ったwaterが、この冷たい液体の名前であると理解した。これは単純な洞察と思われるかもしれない。しかし、ヘレンはそこから「すべてのモノには名前があることを理解した。」と述べている。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:43:24
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冷たい水を掌に感じ、同時に掌に綴りを感じたとき、彼女は、過去に遡及してこれまでの経験がみな「同じだった」ことを理解したのである。そして、そこからさらにアプダクションを進め、「すべての対象、モノにも行為にもモノの性質や様子にも名前がある」という洞察を得たのである。 「言語の本質」

2023-10-11 08:43:24
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これがいかに大きな洞察であることか。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:43:25
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(チンパンジーの)アイが「黄色い積み木は△、赤い積み木は◇」と学習しても、「△は黄色い積み木、◇は赤い積み木」と選べないのは、論理的にはまったく正しいのである。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:55:36
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対象→記号の対応づけを学習したら、記号→対象の対応づけも同時に学習する。人間が言語を学ぶときに当然だと思われるこの想定は、論理的には正しくない過剰一般化なのである。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 08:55:36
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人間は、アプダクションという、非論理的で誤りを犯すリスクがある推論をことばの意味の学習を始めるずっと以前からしている。それによって人間は子どもの頃から、そして成人になっても論理的な過ちを犯すことをし続ける。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 09:05:36
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しかし、この推論こそが言語の習得を可能にし、科学の発展を可能にしたのである。 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 09:05:36
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・言語は、特定の言語コミュニティにおいて、共時的↔︎通時的、慣習の保守↔︎習慣からの逸脱、アイコン性↔︎恣意性、多様性↔︎普遍性、身体性↔︎抽象性など、複数の次元における二つの相反する方向に向かうベクトルの均衡点に立つ 「言語の本質」 今井むつみ 秋田喜美

2023-10-11 09:21:06