未完成の理想郷12話「斬れるものと斬れないもの」

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未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「ルナ!その石を修復してできるだけ島の破片を集めて!」 「……なるほどな。」 ブロンの言う通りに光輝く石に向かって破片を集めていく。 「浮遊石を修復して、空島を復活させるつもり?そんな時間なんて…。」

2023-11-05 21:55:00
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「時間がないならできるだけ作業を効率化すればいいだけの話ね。★兎さん!」 「そういうことですね。」 そう言うとカナタは蹴りで、★兎は腕力で大きい島の破片をなるべくルナの方向に投げつける。

2023-11-05 21:56:00
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「ねえ、俺は!?俺は何すればいい!?」 「ヤンは適当に能力使っといて、なんかいいこと起こるかもしれないし。」 「俺の扱いだけ雑ぅっ!」 能力使用して米俵と戯れているヤンをほっといて、ブロンはルナに近づいてきたふあんふあんに目を向ける。

2023-11-05 21:57:00
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「っていうか僕たちももう飽きる程ふあんふあんと戦ってきたんだよねえ。」 塊から外れたふあんふあんがルナの発する神の力に引き寄せられて集まってきているが、それをブロンは“普通の矢”で射ち落とす。

2023-11-05 21:58:00
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「……ああ、やっぱだめだったかあ。」 そうこうしているうちにこの場の全員が乗れる程の空島が作られる。 そんな光景をプティは諦めたように眺めていた。 「当たり前です、この程度でどうにかなるわたくしたちではないと、プティさんもよく知っているはずです。」

2023-11-05 21:59:00
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「降参だね。★兎さんの言う通り、そもそも私1人でみんなをどうにかできるとは思っていなかったから。」 ふあんふあんの群れに衝突する前に空島は浮力を取り戻す。 修復した浮島に数匹寄ってくるが、ブロンがすかさず射ち落としている。 この分ならもう安全だろう。 「じゃあここまでかな。」

2023-11-05 22:00:02
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「え。」 今の騒動でプティを囲んでいた岩が崩れさり、身動きが取れるようになっていた。 そんなプティが取った行動は、 「飛び降り…馬鹿な真似を…。」 真っ逆さまに落ちていくプティ。 「…どきなさい。」 そう呟くとふあんふあんの群れは落ちていくプティを避ける。

2023-11-05 22:01:00
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(根本的な解決にはならないけど…みんななら最後の試験も大丈夫だよね。) 自分なんていなくても、いや、いた方がみんなの邪魔になるだろう。 (ああ、でも、楽しかったな…。)

2023-11-05 22:02:00
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「このメロディイイイ!記憶に残しなさいっ!」 「ピ、ピギィッ!?」 「なっ!?」 信じられないという風にプティは目を見開く。 浮遊しているラジオくんを足場にしてカナタがプティをキャッチしたのだ。 pic.twitter.com/8joBPEjEOM

2023-11-05 22:03:00
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「や、やめて!カナタちゃん!そんなのじゃ全くもたない!カナタちゃんも落ちちゃう「うるさい!!」っ!」 「絶対死なせない!貴方はこんなところで死んじゃだめだから!」 「カナタちゃん…。」 今まで見たこともないカナタの様子に戸惑うプティ。

2023-11-05 22:04:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

いつものカナタであれば余裕があり、どこか達観した様子でどんな状況も乗り越えていた。 そんなカナタと今の必死で感情的なカナタはまるで別人のようだ。 「はぁ、いつもと違くても、無茶をするのはいつもと変わんないなぁ。」 「まあ、当然私たちも見捨てるなんて選択肢はないがな。」

2023-11-05 22:05:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「カナタさん!捕まって!」 ルナが風を操り2人の落ちるスピードを緩め、ブロンが憲史のネクタイを矢に括り付けカナタの元に放つ。 「よしっ!」 そのネクタイをカナタがしっかり掴み、落ちた2人を空島へと引き戻す。

2023-11-05 22:06:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

カナタが飛び込まなければ間に合わなかっただろう、そんなギリギリの救出劇であった。 こうして全員無事でこの騒動は終わりを迎えた。

2023-11-05 22:07:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

自分の手を握っては開いて、その様をぼんやりカナタ見ていた。 (この手で友だちを救うことができた。こんな私の手で…) 今まで自分に自信を持ったことなど1度たりともないが、今回この手で友だちを救うことができた。

2023-11-05 22:09:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

もちろん今でも自分に期待などしていない、それでも友だちを救えた事実が自分の中の何かを輝かせる。 そんな輝きが空っぽな四月一日彼方の心をほんの少しだけ動かした、そんな気がした。

2023-11-05 22:10:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「そんなに警戒しなくてももう何もできないよー。」 そんな声が聞こえてくる方向を向けば、ネクタイでぐるぐる巻きにされてプティは転生者に囲まれていた。

2023-11-05 22:11:00
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「プティ、僕たちはまだプティを仲間だと思っているよ。プティが戻ってくることに異議を唱える人なんて僕たちの中にはいないよ。ねえ、戻ってこようよ。」 「無理だよ。」 「……。」

2023-11-05 22:12:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「私はNONAMEから生まれた存在。そのNONAMEからのどう足掻いてもそこから抜け出すことはできないよ。解放した瞬間、多分私はまた君たちを出し抜く計画を立てる。そういう風に作られてるんだよ。」

2023-11-05 22:13:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「でも、でも、プティが僕たちを殺すって手段じゃなくて、武器を破壊するって手段を選んだのは、僕たちを傷つけたくないからでしょ!」 「っ……!」 そう、引っかかるかは別として、食事の中に毒を入れるなどした方がまだ勝率は高かったはずだ。それを取らなかったということは、そういうことだろう。

2023-11-05 22:14:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「確かに私はみんなを傷付けたくなんかない、だからといってそれは君たちの元に戻れる理由にはならないよ。次は本当に傷つけることになってしまうかもしれない。」 「いや、なにか手があるかもしれないよ!諦めるには早いよ!」

2023-11-05 22:15:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「そんなこと!私だってみんなといたいに決まってるじゃん!みんなと同じ時間にこの世界に来て!みんなと同じ場所で過ごして!それなのに、生まれた理由が違うから敵対しなきゃってそんな理不尽に今までずっと抗ってきた!それでも、でもっ!どうしようもなかった!今更そんな都合が良いことなんて」

2023-11-05 22:16:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「あるかもしれませんよ?」 「え、」 「神、さま?」 突如現れたパッチ。手元には炎のようなものを掲げている。 「何しに来たの?貴方に今この場でできることなんてあるの?」

2023-11-05 22:17:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「確かに俺は天界のルールによって君たちに対して力を行使することはできません。まあ、プディングが色々とべらべらしゃべっちゃったからもしかしたら何かできるかもしれませんがね。」 「じゃあ、私を殺す?」 「ま、待ってよ神さま!それは!」

2023-11-05 22:18:00
未完成の理想郷(完結) @uf_arkadia

「いやいや皆さん早まんないでくださいよ。冗談、冗談です。俺の用事はただ君に会いたいって魂を運びにきただけですよ。」 そう言ってゆらゆら動く炎のような魂をプティの前にかざす。 「この魂は「改変」……え?」 その魂は突如プティを包み込む程の大きな光を発生させる。 pic.twitter.com/mHgIf95Y25

2023-11-05 22:19:00
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