- uf_arkadia
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「ふぃー、やぁあっと完成したぜい!」 ヤンが思わず感嘆の声を上げてしまう程、目の前には立派な橋が完成していた。 プティが空島エリアに逃げ込み、交通手段の問題が出ていたが、ヤン…というよりコメットさんの能力により草原エリアから空島エリアへのワープ装置が現れた。
2023-11-05 21:31:00前回の武器修復も合わせて、プティからすればたまったものではないだろう。 しかし、不幸中の幸いか、1か所だけどうしても転生者たちが訪れることのできない浮島があり、それがプティの逃げ込んだ場所でもあった。
2023-11-05 21:32:00その浮島の周りは強大な魔物も飛び交っており、マーテルやルナなどの空を飛べる能力を所持している転生者も迂闊に近づけないでいた。 ということもあり、ヤンや憲史が中心となってその浮島への橋作りに努めていたわけである。
2023-11-05 21:33:00「お疲れ様でした、皆さん。さて、これでプティさんの元に辿り着けます。……わたくしとしてもプティさんを傷付けたくはありません、しかし、作戦通りにいかなかった場合、戦闘は避けられないでしょう。その時は…躊躇などしないように。」 「……っ」
2023-11-05 21:34:00自分たちを裏切ったプティだが、今まで共に戦い、共に笑い合った仲間である。 思うことのない転生者などこの中に誰一人いない。 「更に相手はプティさんです。わたくし達が橋を作成しているのも気づいているでしょう。迎え撃つ準備も当然しているはず。」
2023-11-05 21:35:00前の戦いでもかなりの数武器を壊された、今回もプティは何か仕掛けてくるだろう。 そう予想ができるからこそ、本来こちらも★兎の能力で対策を行う予定であったが、この浮島を囲む魔物の中にはふあんふあんも混ざっており、未来予知を無効化されてしまった為、いつものような作戦は組めないでいた。
2023-11-05 21:36:00それでもある程度プティの性格を考慮したうえ、なるべく戦闘にならない作戦は練ってきた。 この場にいるメンバーは、★兎、ルナ、ブロン、カナタ、そして橋を作っていたヤンと憲史。 プティにとって相性の悪い能力を持つ者を用意した。 「それでは皆さんミスのないよう、そして後は…祈りましょう。」
2023-11-05 21:37:00「や!みんな、久しぶり!」 「そうね、プティちゃん。」 まるで何事もなかったかのような笑顔で転生者を迎えるプティ。 「プティは…僕たちとは別の存在だったんだね。」 「うん、そうだね、私はこのNONAMEでボスとして役割を与えられた存在。つまり君達の敵だね。」
2023-11-05 21:39:00「ねえ、貴方は何がしたいのかしら?」 「うん、そうだね、せっかくの親友からの質問だ。ここまで来たなら私が知ってること教えてあげるよ。まあ、全部NONAMEが教えてくれたことだけどね。」 カナタの質問ににこやかに答えるプティに、★兎が口を挟む。
2023-11-05 21:40:00「プティさんそれは」 「★兎さんは黙ってた方がいいよ、何を言ってもこの場じゃ、ね。」 「……。」 口を閉ざし1歩後ろへ下がる★兎、そして、カナタが1歩前に出て質問する。 「なんでアタシたちの武器破壊を企てたの?」 「それはね、武器を壊すことでみんなをこの世界から追い出すためかな。」
2023-11-05 21:41:00「?武器を壊すことがアタシたちを追い出すことに繋がるの?」 「うーん、それを説明するにはパッチ……いや、天界の目的を話さなきゃだね。」 「パッチさんの…目的?」
2023-11-05 21:42:00「そう、確かにパッチが言っていた突如現れた世界の調査、これも嘘ではないんだけど、もう1つあるんだよね、君達がこの世界に連れて来られた理由。」 「…もったいぶらずに話してもらえるかい?」 煮え切らないプティに思わず口を挟むルナ。
2023-11-05 21:43:00「はいはい、まあ簡単に言うと天界の人材を増やす為、そう、みんなを天使化する試験だね。」 「「「は?」」」 プティの告白に唖然とする転生者たちだが、気にも留めず話を進める。
2023-11-05 21:44:00「常に人材不足の天界。そんな現状を打破するため、既存の魂から天使化のできそうな魂を選び、鍛える。試験の内容は、神の力が宿った武器を与え、それに慣らすことで身体と神の力の親和性を高めていくこと。神の力ってね、危機的状況で使用すればするほど高率よく馴染ませることができるんだよ。」
2023-11-05 21:45:00「じゃあ、プティが武器を破壊したのって。」 「うん、その元を破壊して資格を剥奪するため。」 その言葉を呟くと同時にゴゴゴゴッと地面が蠢く。 尋常ではない揺れ、おそらくプティが仕組んだ罠であろう。 「っ!何かをする前にプティさんを!」 「あいわかった。」
2023-11-05 21:46:00ルナが手をかざすとプティの周りを岩が囲み、動きを封じる。 「疾っ!」 と同時にブロンが矢を放つ。矢の材料にはクイーンふあんふあんの鏡を材料としており、その矢が肩に突き刺さる。 「んぐっ!」 「ごめん、プティ…。」
2023-11-05 21:47:00これで能力を封じたはず。ボスが使用していた力も神の力であることは、ミシュカトルが以前プロトタイプと対面した時に見抜いている。 能力無効化が効くのはプティだって同じだろう。 「これでもう抵抗はできない…と思ったんですがね。」 能力を封じた今も地面の揺れは収まらない。
2023-11-05 21:48:00「この空島はね、丁度真ん中あたりに核となる浮遊石が埋まって浮いてるんだよね。」 「プティ!剣持ってないよ!」 「まさか……。」 「剣がその浮遊石のあたりまでようやく届いたようだね。」 「長々と話していたのは時間稼ぎが目的か!」
2023-11-05 21:49:00転生者たちの計画は単純、能力が中距離攻撃系のメンバーを集めて、相性の有利で押し込む、動きを止めたらブロンが能力を無効化、そしてルナが捉える。 重症を負わしてしまってもカナタの能力で回復できるというものだ。 しかし、島ごと道連れにしてくるとは誰も想定していなかった。
2023-11-05 21:50:00「落ちても下は海のはず!ルナさんの能力があれば…。」 「だめだ、ちゃんとそのあたりは対策してるみたいだぜ。下見てみろよ。」 冷や汗を垂らしながら下を見ているヤンと同じよう、下を覗き込むと見えたのは、巨大な雲…いや、 「ふあんふあんの群れ…。」
2023-11-05 21:51:00もはやそれは島と言っていい程の塊。あれが全てふあんふあんでできているなど考えたくもないが、あの不気味な鳴き声が現実を突き付けてくる。 「ちなみにふあんふあんにはみんなの武器を全て奪うように指示してあるよ。さあ、どうする?」
2023-11-05 21:52:00どんどん島ごと落下していき、白い塊との距離もぐんぐん近くなっていく。 紛れもなくピンチ。あの塊に触れた瞬間ゲームオーバーになることは明白だ。 でもそんなピンチなんて、 「最早日常茶飯事だよね~。」 ブロンが辺りをキョロキョロ見渡し、目的の物を見つけた後、指示を出す。
2023-11-05 21:53:00「あった…1番近いのは…ナイス!けんじ!その割れてる光ってる石拾ってルナの方向に投げて!」 「え、あ、う、うん!」 近くにあった島の欠片にネクタイを巻き付け、憲史はブロンの指示に従って光った石の元へたどり着く。 「ル、ルナさん!」 見事にキャッチして見せた憲史はその石をルナに投げる。
2023-11-05 21:54:00