気候変動(Climate change)に関連する時間スケールと用語問題

講義用メモ
1
Takayuki Ogata @s15taka

この問題は時間スケールを含めてどうなのかですよね(短期的には温暖化だが中長期的には寒冷化というような) twitter.com/masuda_ko_1/st…

2023-12-10 18:22:20
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

1970年代の気候変化のみとおしは寒冷化・温暖化さまざまだった。大衆向けのメディアでは寒冷化のほうがよくきかれたが、専門文献ではむしろ温暖化のみとおしが多かった。Peterson ほか 2008 (Bull. Amer. Meteorol. Soc.) が文献の数をかぞえてのべている。macroscope.world.coocan.jp/ja/trans/cooli… twitter.com/Kakiblog/statu…

2023-12-10 18:05:49
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka Peterson ほかの話題は、(1970年代当時の) 今後数十年の気候変化についてです。ただし、そのとき寒冷化説の根拠とされた議論のひとつは氷期サイクルで完新世の間氷期のピークをすでにすぎているはずだという話で、時間スケールがあっていませんでした。

2023-12-10 19:38:40
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 Sawagakiさんのツイートの「氷河期が来る」とあわせて気になってました。ただ大元になってるツイートには「大気汚染で太陽光が遮断されて氷河期がくる」とあるので、Sawagakiさんがおっしゃってる氷河期というのも氷期・間氷期スケールのものではないということなんですかね。 twitter.com/Kakiblog/statu…

2023-12-10 19:43:16
TSawagaki @Kakiblog

今回Ngram viewerに突っ込んだタームに、climatic change を入れたのは「寒冷化」も意図してこれが使われていたから。「温暖化」の文脈ではむしろ使われない。1988以前は「氷河期が来る!」と騒いでいた人の方が優勢だった。

2023-12-10 12:07:23
TSawagaki @Kakiblog

前のtweetを書いて続きを載せようと思いながらしばらくお使いに出かけて、帰ってきてみたら@masuda_ko_1さんと@s15takaさんからコメントが付いていたので、考えていたことを以下に続けます。

2023-12-10 20:03:25
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka 大元の@jirokomoriさんのtweetの意図は「カレンダーやキーリングの永年の研究に対して巷のテレビニュースで」ということだったので、そのずれ具合というかネット記事などない当時の世相もなんとか示したかったというのがあります。

2023-12-10 20:07:51
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori Books Ngram vViewerはgoogleがアーカイブしている出版物からの統計なので、テレビや新聞などの報道でどうなっていたかは分からない反面、学術的にどのようなタームが使われていたかは、わりとはっきりします。バズりの影響を受けない鉄板タームとしてclimatic changeが良さそうだと思いました。

2023-12-10 20:12:37
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori Climatic change は、このグラフのとおり60年台から安定してつかわれていて、90年代初頭にピークアウトした後元に戻ります。一方climate chabgeはglobal warming とほぼシンクロして上昇して88年頃にclimaticを抜きます。これは学術界の言葉遣いがが世間に追従したためのように思えます。 pic.twitter.com/s9tgNcb6GD

2023-12-10 20:17:52
拡大
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori 私の感覚ですけれど、ClimaticはEnvironmental Changeの中の気候的部分、というニュアンスで使われていたのではないでしょうか。それがGlobal Warmingの別の言い方として、Climate Changeが台頭してきたため、NGramに拾われるような文献群でもそれが多用されるようになったのでは、という考えです。

2023-12-10 20:21:06
Takayuki Ogata @s15taka

@Kakiblog @masuda_ko_1 @jirokomori Climate changeのデータは地球温暖化のスケールと氷期・間氷期スケールの両方をカウントしてそうですね。ただこちらの大元のツイートの「氷河期」がどちらを指してるのかはよくわかりません。雰囲気としては前者の時間スケールの感じがしますが。 twitter.com/otsune/status/…

2023-12-10 20:30:35
ǝunsʇo ıɯnɟɐsɐɯ / メタバース炎上対策専門家 @otsune

1971年生まれの俺が小学生の時にテレビのニュースで言われてたこと -石油が枯渇 -大気汚染で太陽光が遮断されて氷河期がくる -二酸化炭素排出で温室効果になって地球温暖化 -日本の人口が2億人を超えて通勤ラッシュや地価高騰で生活破綻

2023-12-09 12:57:43
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori 「氷河期がやってくる!」というのを引き合いに出したのは、地球自身の「変動」の範囲で考えれば遠くない将来に寒冷化するはず、という温暖化懐疑論の中で使われる風潮のこと、それに加えて冷戦時代に危惧された「核の冬」も念頭においていました。

2023-12-10 20:32:20
Takayuki Ogata @s15taka

タモリ、テレビ朝日系大型特番「タモリステーション」で「沸騰する地球」について考える : スポーツ報知 hochi.news/articles/20231…

2023-12-10 20:50:34
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@Kakiblog @s15taka @jirokomori わたしは climatic change と climate change に意味のちがいを感じません。雑誌《Climatic Change》の編集長をしていたStephen Schneider は1975年にはすでに地球温暖化重視でした。なぜかわったのかわかりませんが、climatic は climactic (climaxの形容詞) とまぎらわしいのでさけられたのか?

2023-12-10 20:53:30
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori 私の授業で使っている渡部 雅浩さんの「絵でわかる地球温暖化」の第8章に「地球温暖化」と「地球環境問題」をキーワードにして三大紙の記事の出現頻度を調べたグラフがあります。それでもやっぱり88年以降に急上昇していることが示されています。

2023-12-10 21:00:24
Takayuki Ogata @s15taka

@Kakiblog @masuda_ko_1 @jirokomori その点は疑問ないので、元ツイートの「二酸化炭素排出で温室効果になって地球温暖化」が80年前後に盛んに言われたというのはこの方の記憶違いではと私も思いますが、もうひとつの「大気汚染で太陽光が遮断されて氷河期がくる」が何を言いたいのか。ミランコビッチ・サイクルはもう知られてましたよね。

2023-12-10 21:28:10
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka @Kakiblog @jirokomori 1970年ごろ専門の報告書が出て《科学》などでも話題になった「意図しない人為的大気改変」の議論には二酸化炭素による温暖化の可能性もふくまれていました。大気汚染のエーロゾルによる寒冷化説もあり、Rasool が論文の結論のついでに (うっかり?)「氷期になるかもしれない」などとのべていました。

2023-12-10 21:39:45
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka @Kakiblog @jirokomori ミランコビッチサイクルが氷期サイクルの主要原因だろうという説が有力になったきっかけは 1972年の会議、そして1976年のCLIMAPプロジェクト成果論文でした。それにもとづくと北半球の夏の日射量は1万年前から減る一方なのでそれに対する応答は寒冷化にちがいないのです。

2023-12-10 21:42:33
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 @Kakiblog @jirokomori だんだん状況が掴めてきた気がします。いま言われてる「地球温暖化」の時間スケールで温暖・寒冷のどっちに振れるかという議論が70〜80年代にあって、それは氷期・間氷期スケールの議論ではないのに、世間には寒冷化が「氷河期到来」みたいに勘違いされたというような状況なんですかね。

2023-12-10 21:45:25
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka @Kakiblog @jirokomori しかしミランコビッチフォーシングは千年スケールで変化するものなので、30年ぐらいで大きな応答がありうるとすれば未知の非線形フィードバックを考える必要があるでしょう。

2023-12-10 21:45:45
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka @Kakiblog @jirokomori 雪氷アルベドフィードバックが急速にはたらいて氷期の状態あるいは全球凍結の状態にいたる、というような説をとなえた人がいたようです。現実的なシステムの定量的モデルではなく、定性的な議論か、少数の変量による簡単モデルによるものだったと思いますが。

2023-12-10 21:49:40
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 @Kakiblog @jirokomori 数十年の時間スケールでそのレベルの温度変化をもたらすという考えにはさすがに無理がありますよね。結局は半世紀ほど経過してもその傾向すらみられなかったので否定されたという形になったのでしょうが。

2023-12-10 22:03:33
TSawagaki @Kakiblog

@masuda_ko_1 @s15taka @jirokomori その手のはいろいろありますね。「湾流の弱化によるYD再来説」とか、バレンシア・ザーコバさんの「マウンダーミニマム再来説」とか。こういうのにうかつに「氷期」や「氷河期」を使ってしまうと、世間的にはもっとややこしくなります。

2023-12-10 22:05:46
Takayuki Ogata @s15taka

@Kakiblog @masuda_ko_1 @jirokomori 「小氷期」の感覚でうっかり使って世間には「小」が外され「河」が付く、みたいなことはありそうです。

2023-12-10 22:07:40
MASUDA Kooiti @masuda_ko_1

@s15taka @Kakiblog @jirokomori 英語では「小氷期」は いまでも Little Ice Age なので (おそらく glacial period よりもまえにできた表現)、日常言語では「ちょっとした氷河時代」と区別がつかなくなります。

2023-12-10 22:14:41
Takayuki Ogata @s15taka

@masuda_ko_1 @Kakiblog @jirokomori そこは確かにややこしいですね。授業で説明するときも、丁寧にやる場合や質問が出た場合は英日で用法が異なると言っていますが、ややこしくなるのでスルーしてしまうことがよくあります。むしろ学生にはズレに気づいて質問してほしい部分です。

2023-12-10 22:22:30
Takayuki Ogata @s15taka

こちらのツイートから始まってるスレッドとても勉強になります(途中でいくつも分岐してしまったのでややこしくなってますが) twitter.com/Kakiblog/statu…

2023-12-10 22:27:31
TSawagaki @Kakiblog

Google books ngram viewre で1950-2019のclimate change,climatic change,global warming,greenhouse effectの4つのタームの出現頻度を検索してみました pic.twitter.com/8xeQT1JILx twitter.com/jirokomori/sta…

2023-12-10 08:20:12