否定者側・ユニオンが敗北するほど、リアル世界に近づく…ってコト? アニメ「アンデッドアンラック」10話の感想。
これまで断片的に語られてきた世界観が、登場人物の前で実際に「現象」として起き、作品設定の根幹が見えてくる回だった。
クエスト成功の報酬で、「言語の統一」(英語に統一)がなされる。
シェンの部下で、いかにも中国系キャラのムイに中国語が通じなくなったことを、シェンは確認した。
一方、クエスト失敗の「ペナルティ」として、「ギャラクシィ(銀河系)」が追加される。突然銀河の星々が「できた」のではなく、否定者以外には「はるか昔からそれが存在していた世界」になった。ニコが確認。
これは数々のSF…、近年の作品では「シュタインズ・ゲート」がやっていたように、「(銀河系の存在する)並行世界に移動した」ということだろう。
※ところでニコが電話をつなげた女性は、「パピー」と言っていたからニコの娘だろうか? 血色悪い顔がちょっと似てる。ただ、あばら骨の浮き出たニコに対し、娘(?)の体つきはいい。まぁそこが似てない親子って、現実にもいるし。
風子たちがユニオンに加入した時、リーダー格のジュイスは、「神」によって追加されていったルールを口早に羅列していたが、我々ノンフィクションのリアル世界では普通の現象ばかりだったね。
「否定者」も、リアルの方で自然に存在する「死」とかを否定するフィクション能力であるし、つまりアンデラ世界では、否定者たちが勝利するほど「言語の統一」とか、私たちのリアル世界から遠ざかり、敗北するほど「銀河系の追加」とかリアル世界に近づいている。
まぁ“ペナルティ”というだけあって、宇宙人が大軍率いて降伏を迫ってくるとか、まったく現実で起こってないこともついでにやってくる。
UMAもそうだ。スポイルくんが暴れてなければ、腐食はただの自然現象なんだけど…。
関連して書いたこと
古代の人類は、どのように方角を把握していたか。
アンデラのストーリーとは関係ない話だけど、「月と太陽以外の星がない地球の歴史」とは、どんなものになるだろうか。特に古代。
古代の人類は、夜間になると空の星から方角を確認した。「北極星があそこに見えるから、あっちが北だな」とか。
個人単位では、冒険心あふれる行商人が、星空を頼りに旅をしていただろうが、集団レベルで、あたりの見えにくい夜でも、多少無理して進むのは、軍事遠征となる。
というわけで、「星のない並行世界(パラレル・ワールド)」では、軍事と戦争の歴史が大きく変わるんじゃないかと想像。
もっとも、星は雨や曇りですぐに見えなくなってしまう。
磁石に南北を示す性質があることを発見した記録は、中国が最も古い。戦国~先秦時代(「キングダム」の頃っすね)には、方位磁石(磁針、磁気コンパス)で方角を割り出していたという。
※あくまで原始的なもの。「世界三大発明」と呼ばれる形で有名な、遠洋航海にも使える方位磁石は、もっと後な模様。一方で、小島毅「中国の歴史07 中国思想と宗教の奔流」は、中国人は迷わない内陸水路や沿海航路を利用していて、あくまで遠洋航海の必要がなかったためとしている。(260ページ。私が持っているのは、オリジナルのハードカバー版。しかしオリジナルが絶版なので、下に張り付けたのは文庫版。)
磁石の科学的性質と、人類が方位磁針を発見し、遠洋航海等に利用していった小史は、佐藤健太郎「世界史を変えた新素材」(新潮選書)も良い。
文章が読みやすいし、選書なので値段もほどほど。