ディズニー映画「ウィッシュ」考察と感想

金剛石 @Golden_ratio_S

まあ脚本がゴミ、というか整合性ガタガタのツッコミどころだらけというのがこの映画の大変残念なところだったが、「ツッコミどころ」とは何かが気になる人もいると思う。 なので今からそれを説明したいところだが、まずはロサス王国とマグニフィコ王の特徴を考察していく必要がある。 #ウィッシュ

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ロサス王国① ・どこかの島国 ・マグニフィコ王は月に1度「儀式」を行い、18歳になったロサス国民は王に「自身の願い」を「記憶ごと」差し出さなければならない。 ・その代わり王はランダムに選ばれた国民の願いを叶える。 ・「願いを叶える国」の触れ込み故か移民が多く存在する国家 #ウィッシュ

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ロサス王国② ・ロサスは観光業が発達しているらしく、主人公アーシャは観光ガイド ・劇中の描写を見る限り、ロサスの経済が困窮しているような描写は無い。国民も見る限りは平穏に暮らせている。 ・一方で軍事は発達していないどころか、そもそも正規軍がいそうな気配すらない。 #ウィッシュ

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マグニフィコ王① ・独学で到達した稀代の大魔法使い ・過去のある出来事から「みんなが安心して暮らせる国を作りたい」という目標を掲げ、映画冒頭に至るロサス王国を一代で築き上げる。 ・ロサス王国の政治体制は恐らくマグニフィコ王による専制君主制（絶対王政の可能性もアリ） #ウィッシュ

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マグニフィコ王② ・18歳になったロサスの国民から「願い」を記憶ごと差し出してもらい、その代わりに豊かで平穏な生活を送らせ、さらに一部の国民の願いをピックアップし、叶えてあげる仕組みを作る。ただし、「ロサスによって不利益になり得る願い」は選定段階で隔離させている。 #ウィッシュ

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さて、この段階でいくつか考察できる要素がある。 まずほぼ確実に言えるだろうことは「映画冒頭のロサス王国は、マグニフィコ王が願いを選別し続けた結果」であるだろうこと。 選別自体にもセンスがいるわけだが、その結果としてあの繁栄ぶりなら、王が有能であることは間違いない。 #ウィッシュ

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次に「ロサス王国に来る移民」について。 王に叶えてもらうために「願い」を持ち込んでくるわけだが、「個人的な願い」をする人もいれば「社会に大きな影響を与えかねない願い」もある事だろう。後者で例えるなら「大金持ちになりたい」とか「この世で一番強い人になりたい」などだ。 #ウィッシュ

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ぶっちゃけそういう願いはほぼ確実にロサスにとって不利益を及ぼすわけで、ましてや「世界征服」など大それた願いを叶えるわけにもいかないだろう。願いを選別する仕組みは、ある意味当然とも言える。 なお「音楽で若者の心を動かしたい」という願いも隔離しているがこれについては後述。 #ウィッシュ

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そしてロサス王国に来る移民の中には、ただ単に願いを叶えてもらいに来た他力本願な人々が集まってくるだけでなく、夢を追い求め、疲れ果て、ほぼ諦めてしまった「夢」を献上して、平穏な生活を手に入れる人もいるだろうと思う。それでもし叶えてもらったら御の字的な感じで。 #ウィッシュ

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まあディズニー作品でそこまでの生々しい描写は必要ないのかもしれないが、少なくとも「悪き願い」の存在は示唆しても良かっただろう。尤も、そんなことしたらただでさえ薄い革命の説得力がさらに削がれてしまうだろうから脚本上の都合で意図的に省いた可能性も考えられる。 #ウィッシュ

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これはあくまで推測だが、マグニフィコ王はガッチガチの「功利主義」で、「最大多数の最大幸福」を目指していたと思われる。 これは社会全体の幸福度増大のために、個人の自由や幸福をある程度制限するのはやむを得ないとする考え方であり、近代の倫理ではメジャーな思想の一つだ。 #ウィッシュ

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ぶっちゃけ建物からして明らかに中世なのにそんな近代的な思想に行きつくのはハッキリ言って異常ではあるのだが、所詮推測でしかないのでそれはさておいて。 ここからいよいよストーリーに斬り込んでいくわけだが、全部話すのではなく疑問に思ったところを抜粋する。 #ウィッシュ

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まず主人公の祖父サバの願いである「音楽で若者の心を動かしたい」と言うものを王に捧げたことについてだが、ぶっちゃけこの時点でツッコミどころはある。 サバとマグニフィコ王の年齢は、マグニフィコ王が若返りの術を使ってない限り、明らかにサバの方が年上だ。 #ウィッシュ

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そして「ロサス王国はマグニフィコ王が一代で建国した」、つまり「ロサス王国の建国前にサバはどこかで生きていた」ことになる。サバが一体いつ「音楽で若者の心を動かしたい」と思い立ったのかは不明だが、ほぼ確実に言えるのは、「楽器の練習はしていた」ということだ。 #ウィッシュ

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いずれにせよ「音楽で若者の心を動かしたい」という願いを持っていたサバが、ロサス建国前までの時点、その「願い」を叶える努力とか全然してないで、その後「夢を叶える国」の噂を聞きつけてロサスに来て「願い」を王に捧げるなんてあり得るだろうか。 絶対何か努力をやったはずだよ。 #ウィッシュ

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もう一つ。 「音楽で若者の心を動かしたい」という「願い」に関しても、結局やることは「楽器弾いて歌うだけ」なので、これ自体は王に預けるまでもなく、その辺のストリートで歌えば済む話だ。願いを捧げなければいけないルールはあるものの、別の願いを捧げることもできたはずだ。 #ウィッシュ

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ロサス王国は別に音楽自体を禁止しているわけでもないので、もしサバはロサスに入っても、王に本命とは別の願いを捧げて、その辺のストリートで歌っていれば、本命の願いは成就されたかもしれない。なのにその願いを王に捧げてしまった。 わざわざ捧げた理由に十分な説明がなされてない。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

100歳のサバはディズニー100周年にかけたものという説もあるらしいが、こんなオマージュもどきのことをされたせいでサバの「願い」に関して「お前今まで何してたんだ」感がぬぐえなかった。 アーシャの友人に「世界に羽ばたく歌姫になりたい」の「願い」を背負わせた方がまだ納得できる。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

メタ的に言えばテーマ的に「願いは他人に任せるのではなく自分で努力して手に入れよう」という感じなのかもしれないけど、さっきも言ったように「夢を追い続けて、疲れ果てた人が願いを捧げて安寧の生活を手に入れた」可能性もあるわけで、サバにはその陰かちらついてしまうのだ。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

というかマグニフィコ王も独学で魔法を習得し、ロサス王国を築き上げているので、ぶっちゃけ「『願い』を自分で努力して手に入れてるの、『人々が安心して平穏な生活を送れる国を作った』マグニフィコも同じじゃね？」となるわけなのだが、制作陣はわかっててあの設定にしたのだろうか。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

そんなこんなで儀式の真実を知ることになるアーシャなのだが、ぶっちゃけここら辺は王の説明不足、というか脚本上の都合でわざと省いたんじゃないかと言うほどのずさんさなのは↓で示した通り。 twitter.com/Golden_ratio_S… #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

で、儀式の真実を知って憤慨するアーシャがなんか歌ってたら空からなんかよくわからんのが飛来してきたけど、こいつの正体も結局よくわかってない。出自も、生態も、アーシャを選んだ理由も、全然わからない。 ジーニーでさえちゃんとした理由をつけてるのにこいつは何もかもわからん。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

結局こいつを使役することでいつの間にか魔法の力を手に入れてしまったアーシャだが、ここら辺は皮肉でしかない。 独学で魔法を学んで大魔法使いになったマグニフィコと、特に努力らしい努力はしてないのに魔法を使えるようになったアーシャ。 ここら辺の脚本、疑問に思わなかったのか？ #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

で、アーシャは住民に「儀式の真実」を教えるわけで、住民は王様に対して反感を抱いていくわけなんだけど、いやいや、ごく少数の願いしか叶えてないのは「既成事実」として広く浸透しているはずだろう。 去年から唐突にやり始めたわけでもないだろうに。 #ウィッシュ

金剛石 @Golden_ratio_S

普通に考えて毎月3人の願いを叶えるにしても、毎年37人以上の人が入ってきたり生まれてきたりしたらどう考えても叶えきれないでしょうに。 そんな簡単な算数ができない愚鈍な国民だから革命に賛同したとか、そんな馬鹿な話信じたくないぞ。 #ウィッシュ