掌小説語り～自作つぃのべる集～97

リュカ @ryuka511

違うという事は、尊重すべき個性だ。たが、同じ未来を見ていた僕らが、いつの間にか歩く速度も方向も違えていた。気づいた時には、互いに戻れない所まで進んでいた。譲れずに衝突し、同じ未来はもうどこにも見えない。こんなにも違う僕らがなぜ同じ未来を見られたのかさえ、もう分からない #twnovel

リュカ @ryuka511

「今日この恋心は死ぬんだよ」花を手に君は呟いた。「あの人は二度と私のものにはならない。なのに恋し続けるのも辛いから、この恋心も一緒に葬るの」泣きながら白い花を手向けた君の手を取る。驚いて私を見つめる君に、何と言っていいか分からない。君もまた、私のものにはならないのだろう #twnovel

リュカ @ryuka511

タイムマシンで過去へ行く。あなたと僕が辿る悲劇、変わらないその結末が分かっていても諦めきれなかった。もう何度この光景を見ただろう。どうあがいてもあなたを救えず僕も堕ちていく。いつどこで何を間違えたか分かったのに何もできない。タイムマシンなど無ければ、諦められたのだろうか #twnovel

リュカ @ryuka511

仕事が終わると即座に仮想現実空間へ向かう。現実と同じ街並み、同じ我が家。一つだけ違うのは、君がいる事。「ただいま」｢おかえり」思わず抱きしめたら君は驚きながら微笑む。現実の君の微笑みは黒い額縁の向こう側。でも君の温もりはここにある。リアルとフェイクの狭間で、僕は動けない #twnovel

リュカ @ryuka511

雲の上の城に仕えて十年、中庭の泉が枯れ果てる事など無かった。城の誰に聞いても何故なのか分からない。だが、悪い兆しである事は明らかだ。一刻も早く原因を究明し、水を取り戻さなくては。この泉は全ての生命の源、ここから生まれ帰ってくる。帰って来ない生命はどこへ行ってしまったのか #twnovel