【2】女芸人の百合小説。●<いびき皮>編の【その1】 ジェンダーSF小説「心地よい弾丸 heveanly bullet」
48. 女芸人コンテストで優勝した 女漫才師 いびき川(旧名、いびき皮、いびきの時のなかで) 優勝ネタは、「私は人工子宮になりたい」だった。 youtube.com/watch?v=ffH_Mp…
2024-01-28 16:16:4049. <いびき皮> 「私は人工子宮になりたい」というネタで優勝した 女芸人 いびき皮(いびき・がわ) ・ボケ うさぎ(宇佐美優子) ・ツッコミ きのこ(木下かえで) 二人は、YouTube出身の芸人だった。 twitter.com/dsa0/status/17…
2024-01-28 17:10:0550. いびき皮の二人は、 ボケのウサギが勝手気ままにボケて、 ツッコミのキノコがどうにか形になるように それを整えていくというスタイルだ
2024-01-28 17:19:5551. はじめ彼女らは、YouTubeで ダブルボケのような感じで わけのわからないことを言い続けていた それは二人の単なる遊びとしてはじまったことだった 二人はガキ使のハガキコーナーとうそぶいていたが そんなものではなく まったく意味不明なものだった
2024-01-28 17:21:1752. キノコはネタを作りたかったが 作り方はわからず ボケのウサギは、そもそも ネタをろくに覚えることもできなかった だから「人のコピーで練習」することもできなかった ウサギはシュール系というか、天然で やるたびに言う事が変わるのである
2024-01-28 17:23:2053. だから「練習」はつねに お互いアドリブでやるしかなかった それでも二人のなかでは「進化」していて、 その練習という遊びは続いていた 膨大な無駄にも思える時間を費やし キノコは、「アドリブでやりながらそれをネタに書き起こす」というよくあるスタイルの一つを 偶然自分で「発見」する。
2024-01-28 17:28:5454. そこで逆に問題が生じてくる。 キノコは、ネタを作って書き直し、最高の完成作をやりたいが ウサギは、絶対にネタを完全に覚えるなどできないのだ。 キノコは、3歩すすんだつもりが、2歩さがるような気分になっていた
2024-01-28 17:32:4155. ウサギはネタを覚えることができず、 やるたびに違うことを言う 結局、ウサギがネタどおりにやるということは諦めて キノコは大筋をつくっておくが ウサギがそこから外れたら、その都度 そのときの気分、客の反応で 対応していくというスタイルに落ち着いた
2024-01-28 18:36:5156. やがて、いびき皮は 幸いにも芸能事務所から声をかけられ 「いびき・かわ」と呼ばれるという理由で 「いびき川」に名前を変えた
2024-01-28 18:39:1357. そもそも、もっと前のコンビ名 「いびきの時のなかで」 その「いびき」はどこから来てるかというと 中学生時代に、Youtubeでやっていた「ネタ」から来ている
2024-01-28 18:41:2758. デビュー後も彼女たちのチャンネルはそのままで 検索すると彼女たちの 中学生時代の黒歴史が見れた --- 優子「いび~きのぉ、ときぃのな~かでぇ~え~!」 かえで「いいよ、いいよぉ!」 優子「いび~きのぉ、とき-のな~かでぇ~えぇえ~♪」 かえで「いいですよ、ゆっこさん!」
2024-01-28 18:43:4759. 女芸人コンテストの決勝で いびき皮は、ネタ「私は人工子宮になりたい」をやった --- ウサギ「あたし人工子宮になりたいねん! ほしたら、なんも考えんでええやろ?」 キノコ「今でもなんも考えてへんやん!」 ウサギ「まぁ」 キノコ「まぁて、その返しがなんも考えてへんねん」
2024-01-28 18:49:41漫才はシメに近づく こんなので優勝できるのか? -- ウサギ「じゃあ諦めて、地蔵になるわ」 キノコ「もう夢あきらめるんか! コロコロ変わりすぎやろ」 ウサギ「ほいでな、頭のとこに切れ込みが入ってて そこからグレープフルーツの薄い皮むいて 食べやすくしたやつがのぞいてんねん」
2024-01-28 18:53:08キノコ「気持ちわるっ ていうかそのグレープフルーツは あんたが食べたやつなんか、 誰かが食べるためなんかどっちやねん! あんたとおったら、こっちまで頭おかしなるわ」 ウサギ「えー」
2024-01-28 18:56:01キノコ「もう、顔もみたくない…」 ウサギ「え…そんなん」 キノコ「嘘やんか~、大好き!」 ウサギ「嬉しい~」 --- 「こっちまで頭おかしなるわ」 「顔も見たくない」からの「大好き」 これがいびき皮の代表的なシメだった
2024-01-28 18:59:5263 昔は「次の患者さんどうぞ-」でシメていたが 放送コード的にと、こっちのほうが客の反応がいいのでこっちになった。 キノコは当初から恥ずかしがっていたが、 事務所のすすめもあってこれをやっていた。
2024-01-28 19:03:3564 そうこうして、いびき皮は女芸人コンテストで優勝した ファンは大喜びし、面白いと言ってくれる人もいたが ネットでは批判や疑問の声も少なくなかった。 ・出来レースだ ・あれはシュール系じゃない ・子供の学芸会レベル ・あんなもんゴールデンタイムに流すなよ ・ウサギは天然じゃなくて計算
2024-01-28 20:17:3065 うさぎはスマホで自分たちへの声を見ていた 「うん、なるほどねぇ」 きのこ「ほぉ、なにか面白い意見ありましたか?」 うさぎ「いろんな意見があるねぇ」 きのこ「それだけかいな」 キノコは褒められて喜び、貶されて気にするタイプだが ウサギは褒められてもどこふく風 つねに飄々としていた
2024-01-28 20:21:5566 そうして彼女たちは優勝を機に、どんどんテレビに出るようになっていった。 番組で、いびき皮の魅力はどこにあるのかと聞かれ 少し間をおいて、ウサギは自分の鼻を指さした きのこ「喋らな」 じゃあ売れたのは、ウサギさんの力が大きいのかと問われると、ウサギは首をかしげた
2024-01-28 20:27:5967 きのこ「誰のおかげで売れたのかって」 ウサギは手のひらを上にして キノコのほうを指した -- そんな彼女たちの成功への道は スタートした途端にスキャンダルが発生した ウサギが恋人とのデートを週刊誌がスクープしたのだ 相手はマネージャーの男だった
2024-01-28 20:32:5068 恋人発覚くらい大したことない これも話題作りではないかとの声もあったが 問題は大きかった いびき皮の二人は「できている」というのは昔から ファンのあいだでは噂になっていたのだ つまり、ウサギの浮気発覚ということになる
2024-01-28 20:34:5969 いびき皮は、(どちらがという説明もなく) 「急病のため」ということで突如、休業することになった。 スキャンダルは関係ないという事務所の説明だったが、 真相はわからない。 ファンのあいだでは、解散するのではという心配もされた。
2024-01-28 20:36:4370 しばらくして いびき皮は活動を再開した。 マネージャーは変更されたが、前のマネージャーはウサギと交際を続けているようだった。 「絶対にスキャンダルの話をしないこと」を条件に 番組に出演していた。
2024-01-28 20:52:3371 一度、破天荒が売りの芸人が 彼女にほのめかすようなボケをぶっこんだ 彼は、いびき皮より遥かに先輩の売れっ子だったが キノコはそのボケを無視した 彼女は完全に横をむいて冷えたような固まったような顔をしていた 先輩はとっさに振りを変えた キノコ「すいません!今ぼーとしてましたwやば」
2024-01-28 21:00:11それから二人は活動を再開したが ネットでこんな声が聞こえだした キノコの「顔がおかしい」というのだ フリートークでも、ネタ中でも キノコが硬直したような、心ここにあらずのような 独特の顔をするのである 先輩の話を無視した時とあの顔と同じだと言われ 「あの時の顔」と言われるようになった
2024-01-28 21:04:47