【2】女芸人の百合小説。●<いびき皮>編の【その1】 ジェンダーSF小説「心地よい弾丸 heveanly bullet」
73 だんだんと「あの時の顔」になる割合が増えていき ほぼ初めから最後まで「あの時の顔」でネタを一本するときもあった いびき皮は再度活動を中止することになった 二度目の活動中止のまえ、 ウサギの浮気発覚から精神科に通っているという噂もあった ファンは、キノコが回復するのを願っていた
2024-01-28 21:12:3874 復活したキノコはだいぶ快活としていた ところがツッコミが暴力的になっていた もちろん本当の暴力ではないのだが 客がちょっと引いたりして ネタの邪魔になっているのだ ましになったのかもしれないが 事務所としては結局、使いづらかった
2024-01-28 21:17:1075 楽屋でキノコがウサギに暴力をはたらいている という噂もあった。 舞台ではみね打ちのポーズだが楽屋では実際に殴ったり蹴ったりしているという。 キノコが「お前が悪いんやろ!」と怒鳴りながら ウサギを殴り、ウサギは「ごめんなさい、全部私のせいや」と泣いている声がしたというのだ。
2024-01-29 08:47:5276 キノコは「この脂肪のかたまりが!」とウサギを罵り 楽屋から子供のようにしゃくり上げるウサギの声が聞こえていた 細身で少し色黒のキノコと比べ ウサギは、色白でキノコより少し身長が高く多少むちっとしてた デビューしてから少し体重は増えていたが 世間でいうデブの範疇ではなかった
2024-01-29 08:55:2377 いびき皮のファンは、きのこ派、うさぎ派に分かれ スキャンダル前から敵対しているところがあった ウサギの浮気スキャンダルを機に、うさぎ派の旗色は悪くなっていた 暴力事件の話で、きのこ派も反撃をくらっていた 全てはネット戦の話で、劇場では「ネタを普通に楽しむこと」がルールだった
2024-01-29 09:02:1178 キノコは、コンビを継続したまま ソロで活動することが多くなっていた 天然でさらにいじり方にコツのいるウサギと違って 元気で「普通の人間」のキノコは使いやすかった 放送作家として仕事もするようになっていた
2024-01-29 09:05:3079 ウサギもソロ活動として、ライブハウスで 女芸人イベント「寝る子は育つ」を 共同主催したりしていたが キノコとは収入には大きな差があった キノコが、ウサギに新しい銀行口座を開設させ 「男に貢がないこと」を条件に 生活費を援助しているという話もあった
2024-01-29 09:08:5480 その銀行口座は、キノコとウサギの 共同の財布のような面もあった キノコもパスワードを把握し いつでもネットでどれだけ使ったかなど 明細を見ることができ、多めにおろされてるときは 「これは何に使ったの?」とチェックしているのだという噂もあった
2024-01-29 09:11:5481 キノコは、病状を悪化させることもあったが 自分なりに波を乗りこなしながら活動を続けいた。 その頃から彼女は、xでのネタ発表もやっていたが 波に溺れそうなときは意味不明にも思える投稿をし 「キノコの病状が悪化してる」 「これは新しいネタの実験なのか」とファンを中心に話題をよんだ
2024-01-29 09:17:0282 キノコはxにて「、」と「。」のみで綴る 「ネタ」を発表しはじめた。 「最高傑作ができました。 ーーー 、、、、、。、、、、。、。 。。、。。。。、。、、 。 、 、 。、。」 彼女はそれに随分とハマり、 長短いくつものバリエーションの「作品」を生み出した。
2024-01-29 09:19:5883 「わかる」「わからない」で話題になり 「そうやって話題にすることが狙いだ」という人もいた 「モールス信号化か?」などいろいろな憶測もでた。 一部、彼女の「、。」シリーズに大笑いする人達もいた みな「お仲間」と呼ばれていた。
2024-01-29 09:25:0084 xで「、。」を一番評価して その議論の中心になって「わかる派」を代表してる人が、精神病院の入退院を繰り返しているだったのだ。 またその人のフォロワーや「わかる派」には、そういう人が多いと言われていた。 そうするうちに、だんだんと「わかるようになった」という人が出てきたのだ。
2024-01-29 09:27:0185 「私もわかるようになった!」という人がチラホラ出始めるようになる頃。 松本興業の名誉会長、松本人志が 「ネタバレになっても良かったら、これのなにが面白いのか私が説明してもいいか?」と キノコに直接、リプライを返してきたのだ
2024-01-29 09:28:5286 松本人志は、かつてラジオで 「お笑いの才能があるかどうかは、 いくつもある赤い玉と白い玉を、どういう順番で出すかでわかる」 と言っていたのだ その頃かなりご高齢の松本会長は、「俺のお笑い人生の最期の仕事としても、これについて触れたい」と言っていた
2024-01-29 09:32:1987 その頃、ツイッターで一番議論の中心になっていた 「わかる派」の人が、自殺したことがニュースになった テレビで流れたある女性の自殺から、ネット住人が それが彼女だと発見したのだ 実際、彼女のツイートはそれ以降ピタリと止まっていた
2024-01-29 09:34:2588 それを機に「あれを分かるようになると死ぬ」という噂が流れはじめた 「、。」シリーズは、小説ドグラ・マグラのような扱いになっていた
2024-01-29 09:35:3789 そんなころ松本会長の訃報が流れた。 自殺ではなく老衰だった。 天珠をまっとうした彼の遺書の初めには、 彼の相方、そして幼馴染の放送作家、 そして妻と子供の名前が書かれ、 続いてこんなことが書かれていた。 ---
2024-01-29 10:10:3990 --- それから私の人生で出会ったすべての皆さん ありがとう 私の耳は、世界一笑い声を聞いた耳であったばかりでなく 私自身、口から肛門がでるほど笑わせていただきました ほんまにありがとう 日本、そして世界の平和を願って 松本人志 ---
2024-01-29 10:13:2591 そしてその遺書の横には 漫画「北斗の拳」の1ページ ラオウが天を拳で指して立ち 「我が生涯に一片の悔いなし」 と書かれたものが置かれていたという それは後年、松本会長が自分の人生の終わりを感じ始めたころに 単行本から取り外し、引き出しにしまっていたものだった
2024-01-29 10:17:4192 <「お前が悪いんや!」 キノコ、新宿二丁目の公園で 泥酔、号泣 失禁して眠る> 週刊誌はスキャンダルを報じた
2024-01-29 10:20:1693 新宿二丁目のバーで飲んだあと キノコは公園で寝てしまっていた 地面に大の字になって寝ていた彼女は、 目を覚ましたときに股間に違和感を感じた スウェットのパンツの中に手を入れると 彼女は驚いて声をあげ 慌てて公園のトイレに駆け込んだ
2024-01-29 12:00:3094 彼女は驚きのあまり 一度女子トイレに行こうとしたが、間違えたと思ったのか 男子用に行きかけ 思い直してまた女子用に行った 彼女は個室に入り、ゆっくりと スウェットパンツとパンティを 開けて股間をみおろした そこには小学生くらいのおちんちんがついていた
2024-01-29 12:05:3795 キノコは、おちんちんが ついていることに驚くと同時に おそるおそる元の自分のアソコあたりを触ってみた 玉のむこうには何もなかった 何もないところにおちんちんが付いたという感覚と同じくらいに 自分のアレがなくなったことに衝撃を覚えた 「こんなんで生きていけるのか?」
2024-01-29 12:09:0196 「男はこれで普通なんだから大丈夫なんだろう」 そう思った 人間が鳥になったときに 翼が生えたこと以上に 腕がなくなったことに違和感をおぼえるようなものだろうか キノコは次の瞬間こう思った 「これでウサギと結婚できる!」 キノコは鳥のように、ウサギのマンションに飛んでいった
2024-01-29 12:11:2397 キノコは、ウサギのマンションにつき エレベータのなかでスウェットパンツを開け、 自分のおちんちんを何度も見た。 それがドッキリや勘違いではなく、 「本当についてること」「自分に生えていること」を確かめるためにあれこれと触り、 また元のアソコがツルツルであることも確認した
2024-01-29 12:15:34