あまたよろず作、140字小説まとめ

興味があった140字小説を始め、当初の第一目標50作品に達したのでまとめてみました。 その瞬間(とき)の画(え)や表情(かお)が浮かぶようなお話づくりが目標です。暗めのお話が多い、かも?時々ジョーク系も…? タイトルが後ろについているのはオチの役割も担っているからです。
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(生活の一場面を切り取った感じのお話)

あまたよろず @amatayorozu

コンビニに来ると同じ種類のアイスを4つ買って行く女性がいるのだけど、ある時からそれが3つになりやがて4つになった。 そして今日は違う種類のアイスを2つ購入。 いつか彼女が来なくなる日も来るのだろうな。 いや、もしかするとまた同じアイスになり増えていくかも知れない。 #140字小説

2023-11-30 07:13:35
あまたよろず @amatayorozu

『お母さんに買って来てって頼まれた玉子、一個ヒビが入っちゃってごめんね』 帰宅するとテーブルの上に娘の置き手紙があった。 冷蔵庫の中ではヒビの入った玉子が一つ、折りたたんだティッシュの座布団を敷いて他の玉子とは離れて座っていた。 今晩は玉子たくさんのオムレツにしよう。 #140字小説

2023-11-30 21:34:07
あまたよろず @amatayorozu

しゃぼん玉を飛ばしていた。 たくさんのしゃぼん玉がふわふわと空に向かっていくのが楽しくてずっと飛ばしていた。 やがて夕方になり夜が近づいて来ると、しゃぼん玉は空に向かわなくなった。 迷子のしゃぼん玉たち。 空のお家に帰れない。 私は暗くなる前にお家に帰るね。 #140字小説

2023-12-02 00:16:06
あまたよろず @amatayorozu

かつて子供の世話に追われて朝のごはんをパンにかえたら「朝はご飯とみそ汁だ」としかめっ面で言い放って手をつけることもしなかったあなた。 そんなあなたが、台所に立てなくなった私の代わりに準備する朝食はパンと具だくさんのスープ 。 私は今朝もカップの中に微笑みを落とす 。 #140字小説

2023-12-04 16:38:07
あまたよろず @amatayorozu

ある晴れた日にどんぐりを拾いに行ったら、みんな土の上で落ち葉のおふとんをかけていた。 そっとめくると、ちょっとじめっとしてちょっと温かかった。 はらり、どんぐりの木から葉が落ちておふとんが一枚増えた。 「暖かくして寝てね」 わたしはどんぐりを拾うのをやめた。 #140字小説

2023-12-07 19:56:56
あまたよろず @amatayorozu

ひ孫がね、高校生になったんです。 早いものですよ。 嫁も孫も働いてたから、幼い子たちの面倒をよく見ました。 最近ね、古いよく夢を見るんです。 眠りが浅くて眠ってばっかりです。 毎日少しずつ睡眠時間が伸びて、ある日目が覚めないんでしょうね。 ほら、また眠りが迎えに来ましたよ。 #140字小説

2023-12-08 16:51:04
あまたよろず @amatayorozu

まだ多くの人が眠りについているであろう時間にふと目を覚まし、隣から聞こえる規則正しい寝息に安堵する。 夜は過ぎつつあるけれどもまだ朝とは呼べない時間。 大切な人が悪夢の底に落ちてゆかないようにと祈りつつ、再び目を閉じてまどろみの縁へと歩んでゆく。 朝はまだ来ない。 #140字小説

2023-12-11 19:08:19
あまたよろず @amatayorozu

大切にしていた手作りマスコットをなくしてして悲しみに暮れた。 落としたと考えられる道を三往復したけど見つからなかった。 翌日、もう一度念入りに探しながら歩いてみた。 道路脇のちょっと高くなったところで私を待っているのを見つけた。 心に温かい明かりが灯るのを感じた。 #140字小説

2023-12-13 13:03:27
あまたよろず @amatayorozu

駅に滑り込んだ電車に乗ったその人は、立ち上がる直前に手に持っていた花束をそれまで座っていたベンチの下にぎゅっと押し込んだ。 去り行く電車の風に煽られてラッピングが微かに揺れる。 花を覗き込むと泣いているように見えた。 受け取ったのか贈れなかったのか。 花に罪はないのにね。 #140字小説

2023-12-14 05:13:55
あまたよろず @amatayorozu

私たち、寮生活をするのが夢だったの。 親しくなったきっかけもね、おちゃめなふたごって言う寄宿学校が舞台の本だったのよ。 でも夢は夢のまま、あっという間にそれぞれの人生を生きたおばあちゃんが二人。 でも夢を叶える方法を見つけたの。 こちらのホームに空きはふた部屋あるかしら? #140字小説

2023-12-16 23:12:42
あまたよろず @amatayorozu

独居の老母が病気で倒れた。 唯一の親族である自分に連絡が来たので病院に駆けつけた。 病状を聞き諸々の手続きをしているうちに終電を逃したので実家を宿とすることにした。 二桁ぶりの実家に足を踏み入れる。 何の気なしに冷蔵庫を開けると、そこには自分の好物が作り置きしてあった。 #140字小説

2023-12-17 23:17:39
あまたよろず @amatayorozu

食器棚の中に並ぶ家族の食器。 お気に入りのマグカップ、一緒に選んだカトラリー。 時と共に増えて行ったそれら。 今日も台所に立ち、一番出番が多いフライパンで定番おかずを調理する。 あれ?あんなに使い勝手が良かったのに…余る。 そしてひとまわり小さいフライパンを買った。 #140字小説

2023-12-19 17:10:41
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