上智は転落しているか?

結論:長く続く上智の良さは確実に続いている。
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相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

この記事、比較的専門に近い研究をしている関係者からちゃんとコメントしておかないと歩留まりに影響するので(苦笑)、コメントしておきます。気が向いた時に連続呟きを追加します。 結論を先に申し上げると、長く続く上智の良さは確実に続いているということ。 gendai.media/articles/-/124…

2024-02-22 22:03:24
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

もう一つ先に申し上げておくべきことは上智は合う合わないがMARCHよりもはっきりしているので、合わない人にはお薦めできないけど、合う人には強く薦められる大学であるということ。合う人は、学風もさることながら、上智は学科を細かく分けて入試をするので、その当該学問分野が合うかに依存する。

2024-02-22 22:05:31
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

「学科を細かく分けて入試をしていること」を長く続けていることが入試で形成される上智の特徴で、法学、経済学、総合グローバルの3学部を除くと基本的に単位の小さな学科の集合体で、1学科単位で入学定員が200人を超えるのは総合グローバル学部しかない。拡大路線の早慶MARCHとは基本路線が違う。

2024-02-22 22:10:58
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

この学科の小さな単位で募集をしていることにより、合格最低ラインを高く設定できることが受験生の人口規模の多かった80年代、90年代には偏差値向上にとても強く働いた。これが早慶上智と早慶に偏差値として食い込めるきっかけを作った。

2024-02-22 22:14:47
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

もう一つ上智の地位向上を語るにあたり、女子学生の果たした役割抜きには語れない。上智は歴史的には男子の修道院のイエズス会で、日本で最後まで残った男子大学だが、世界に先駆けて共学化したカトリック大学である。男性中心だった大学ヒエラルキーの破壊者として上智は「女東大」とまで言われた。

2024-02-22 22:17:11
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

ちなみに上智の女子比率が男子を上回るのは90年代後半。つまり第二次ベビーブーマーまでのできる女子高校生は東大早慶ではなく上智という構図ができ、これが「早慶上智」というヒエラルキー形成に大いに寄与していた。

2024-02-22 22:20:01
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

以上より、90年代の東京の私学の全盛期に「早慶上智」という言葉で、諸々の超えられない歴史のある早慶に肩を並べるに至ったのは、学科単位で専門学科の見えやすい入試のあり方と女子学生の積極的な進学に支えられてきたところが大きい。90年代までの上智はそのあり方が全部波に乗れていた。

2024-02-22 22:25:08
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

ところが多くのメディアが指摘するように2000年代に入ると陰りが見える。よく「国際系」「外国語」人気の陰りと言われるが、私はそれは副次的だと見ている。むしろ全体の18歳人口のパイが縮小するなかで黙っても受けてくれた優秀な女子生徒が早慶他大へも行くことになったことが大きいと見ている。

2024-02-22 22:30:06
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

上智はその設立経緯からして広告やマーケティングに積極的な学院ではないし、その姿勢は今も変わらない。学科のあり方もむしろ伝統的な学問枠組を重視している。ここに上智の強みも弱みもある。18歳人口減少が迫り、他の私立が積極的に攻める中、良くも悪くも特に変えなかったのが上智である。

2024-02-22 22:37:42
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

この結果、18歳人口の減少で上智で目立って問題化してきたのは「上智に入りたくてきたけど、当該学科内容とマッチングしていない学生」の存在である。そしてこれは選抜方法からいって一般選抜の方が顕著に出てくるようになった。しかも大学の学修を強化する管理が強まるなかで益々可視化される。

2024-02-22 22:44:07
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

結果的に上智は学科単位の偏差値を一般入試で維持しつつ、学科の学修内容と合う受験生を選抜する推薦入試に比重をかけていくようになった。これが上智が推薦比率が高いと言われる理由の一つである。あと上智の推薦比率が高いもう一つの、そして最大の理由は附属校が長く存在しなかったことである。

2024-02-22 22:48:01
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

一般受験をした受験生に割と強く言っておきたいが、早慶MARCHだとどこ入っても附属のネットワークが既にできている(当方慶應卒)。上智はそれがないから人間関係をリセットできるのは上智の良さだと思う。 上智はイエズス会の系列校を同一法人にしたが、そこで一番来る学校でも30人程度しか来ない。

2024-02-22 22:56:38
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

上智が良くも悪くも広告しないところだと思うのは、首都圏の大学に関心ある人々を超える形でのアピールも全然してこなかったところ。なので上智は大学に行かない人たちでかつ首都圏外の人々にはほぼ無名の存在となる(前任校東海圏なので経験済)。

2024-02-22 23:03:24
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

結果的に上智は21世紀になると、1都3県の私立高校(ほとんどが中高一貫校)から多く集まる大学に変容する。また女子校比率は高い。所在地域の学校に集中が強まる傾向と現役比率の高まる傾向は全国的な傾向だが、地方入試をするMARCHはここに一定の歯止めを打つが上智は良くも悪くもそれはしない。

2024-02-22 23:13:12
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

つまるところ、上智の良いところは110年の歴史で変わらず、長い歴史で培われた学問を体系的あるいは根源的に学べるところだと思う。例えば、当方所属の教育学科は設立以来ずっとドイツ教育哲学の伝統を引き継いでいる。社会学科の国際的な社会学の研究発信の伝統も長い。

2024-02-22 23:27:15
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

逆に「スポーツで全国にアピール!」みたいなことは全く関心がない。早慶に逆立ちしてもそこは勝てないし、MARCHにも絶望的に勝てない。ただこれは翻ると、参加するスポーツとしては開かれていることを意味している。同程度の難易度では部活にアスリート枠加入者のいない唯一の私大だと思う。

2024-02-22 23:35:34
相澤 真一 (Shinichi Aizawa) @isaactruth

先述の「国際」「外国語」の優位性が揺らいだ説に疑問を投げかけた理由の一つは、キャンパス全体に普通に国際的な雰囲気が存する東京の私大は上智とICU位だろうという確信があるからです。ある学部や学科だけ国際化してもあとはドメのままというところと上智との違いは大きいと勤務して強く感じます。

2024-02-23 00:27:07