≪37の短篇・日本編≫

≪37の短篇≫の日本編をやってみました。
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松井和翠 @WasuiMatui2014

≪37の短編・日本編≫をお送りする。

2011-12-24 21:30:59
松井和翠 @WasuiMatui2014

元ネタは早川書房より1972~1973年に刊行された『世界ミステリ全集(全18巻)』の最終巻「37の短編」。これは現在ハヤカワポケットミステリにて『天外消失』『51番目の密室』の2冊に分冊・復刊されています。未読の方は是非。

2011-12-24 21:31:21
松井和翠 @WasuiMatui2014

さて、グダグダとした説明は一切抜きにして早速始めたいところですが、やはりはじめに断っておかなければいけない点が幾つかあります。

2011-12-24 21:33:47
松井和翠 @WasuiMatui2014

まず、これから紹介していく短編はあくまでも、私個人の趣味嗜好によって選んだものです。選ぶ人間によって選ぶ作品が変わってくるのは当然のことだと思います。「あれが入っていない」「あんなものを」と思われることもあるかもしれませんが、その時は私の浅学を嗤っていただければと思います

2011-12-24 21:35:21
松井和翠 @WasuiMatui2014

また、元ネタとなっている「37の短編」は本格推理に限らず、ハードボイルドやクライムストーリーなどバランスの良いセレクトを見せた名アンソロジーでありましたが、私が選定した「日本編」はそのようなバランスを一切考慮しておらず、本格ミステリを中心にセレクトされています。

2011-12-24 21:36:46
松井和翠 @WasuiMatui2014

よって幻想・ホラーに振れた作品群やハードボイルド系列の作品はごっそりと抜け落ちてしまっています。これらは、非常に無責任ではありますが、ほかの方(無論、いれば、の話です)にフォローをお願いしたいところです。

2011-12-24 21:37:19
松井和翠 @WasuiMatui2014

「37」という数を決めた時、上の20本はまず苦労せずに決まりました。つぎの10本は「この作家は外せないだろう」という気持ちを持ってどうにか選ぶことが出来ました。問題は残りの7枠。

2011-12-24 21:39:06
松井和翠 @WasuiMatui2014

そして、こういう時にこそ、個人の趣味嗜好が出てしまいます。「この作品は外そう。外そう」と思いながらも(そんなシチュエーションがあるのかどうか別として)捨てる事が出来ない。そういう作品が誰しも必ずあると思います。私にとっては、狩久の「落石」がそうでした。

2011-12-24 21:40:52
松井和翠 @WasuiMatui2014

「落石」狩久(1951年発表)  列車の前に身を投げ出して右腕を切り落とした杏子。これを利用して女優として成功した彼女はその後で今度こそ谷底に跳び込んで死んだ。妹葉子は姉の終焉の地に家を建て庭に姉の命を絶った岩を置いて暮らしていたが…

2011-12-24 21:42:16
松井和翠 @WasuiMatui2014

狩久はロマンの作家です。文体こそ、時におちゃらけたり、突き放したように冷ややかだったり、艶っぽく官能的であったりしますが、どんなときでもその下には熱い“思い”が流れています。

2011-12-24 21:44:17
松井和翠 @WasuiMatui2014

「虎よ、虎よ、爛爛と」「訣別」など、アマチュアらしい凝りに凝った作品を残した狩久ですが、“思い”がよりストレートな形であらわれた「落石」を私は偏愛しています。そしてここに登場する姉妹―杏子と葉子は古風でありながら一読忘れ難い強烈な“思い”を持っているのです。

2011-12-24 21:49:45
松井和翠 @WasuiMatui2014

結局、リアルタイムで打つはめに陥っている

2011-12-24 21:50:31
松井和翠 @WasuiMatui2014

さて、こういう選定をすると好き嫌いに関わらず、入れておかなければ恰好がつかない(またはそう思い込ませるだけの力を持った)、作家作品も出てきます。例えば大坪砂男の「天狗」。

2011-12-24 21:54:55
松井和翠 @WasuiMatui2014

「天狗」大坪砂男(1948年発表) 喬子、死すべし!!!ある妄執狂の異様な犯罪。

2011-12-24 21:58:22
松井和翠 @WasuiMatui2014

島田荘司が「時代が生んだかまいたちのような傑作」と評し、都筑道夫が「これ一作で大坪砂男の名は残る」と言った奇矯な作。しかし、個人的には「密偵の顔」や「零人」といった作品の方が好みで、「砂男はこれだけではない!」と言いたかったのですが

2011-12-24 22:02:19
アザラシは隠しキャラ @azarashidayou

砂男全集2巻とも持ってるのに、「天狗」しか読んでなかった。読もう。中井英夫が辛口批評してる月報があったな。

2011-12-24 22:05:18
野田有 @noda_u

創元さま早く大坪砂男全集を出してください。

2011-12-24 22:07:28
松井和翠 @WasuiMatui2014

やはり、あのとり憑かれたような文体とあまりにもぶっ飛んだ思考過程を無視するわけにはいかず、選びました。それにしても、奇矯な物理トリックや人物の思考、その中に流れるロマン(狩とはまた違った形の)など、最近似たような作家がいたなあ、と思っていたら飛鳥部勝則でした。

2011-12-24 22:09:08
松井和翠 @WasuiMatui2014

なので飛鳥部ファンは大坪砂男を読んでみてもよろしいかもしれません。あと、創元は大坪砂男全集を(ry

2011-12-24 22:10:35
松井和翠 @WasuiMatui2014

どうしても入れてしまう作、入れなければと思わされる作と続いて、今度は入れるなんて思いもしなかった作です。「猿神の贄」本間田麻誉。

2011-12-24 22:13:10
アザラシは隠しキャラ @azarashidayou

創元は→× 東京創元社様におかれましては→○

2011-12-24 22:13:42
癖毛ニャーオ @kusegeN

松井さんのは帰ったらまとめて読みますね。

2011-12-24 22:13:43
アザラシは隠しキャラ @azarashidayou

東京創元社様におかれましては、アドニス版虚無への供物を、中井英夫全集にとっとと入れてくれまし。

2011-12-24 22:14:53
松井和翠 @WasuiMatui2014

「猿神の贄」本間田麻誉(1949年発表) 同棲した男を刺して逮捕された女が久我医師にした告白。空襲の晩の空白のときに身を汚され子まで孕んだ彼女は、自身を伝説にある猿神の生贄になぞらえる。頑是ない赤ん坊からその父親の面影を構築するが…

2011-12-24 22:16:46
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