森田芳光監督の死去に寄せて、樋口真嗣監督の回想

Làlàstein @Georg_Lalastein

退路を絶たれた崖っぷちに立たされた状態で勝負をかけなければならなかったのです。まあ裏をかえせばこれでダメなら他の方法なんてないよ、やれるもんならやってみやがれという若さ故の自信以外のナニモノでもないのですが、今思い返してみるとなんて恐ろしいことをする奴らだとゾッとします。

Làlàstein @Georg_Lalastein

テストピースの撮影はセットの準備と並行して行われました。紗幕上に配置された雲海の上の階層のみで親線で吊ったB747を飛ばしたもので、すぐに現像に出して監督たちのいる日活撮影所に送るよう手配しました。本来なら私が出向いて説明しなければならないのですが、

Làlàstein @Georg_Lalastein

（万事うまくいったら始まる）明日からの本番準備があるのでセットを組んだ大泉の東映撮影所から動けないので、今回の特撮、合成部門を取りまとめていた視覚効果技師のMさんに一任しました。心臓をバクバクさせながら待つとはいっても紗幕の上下に広がる雲海や嵐を予感させる遠景の積乱雲を作りながら

Làlàstein @Georg_Lalastein

電話連絡を待っていました。まだ携帯が普及していない時代なのでセットの入口脇にある内線電話で第一報を受けました。

Làlàstein @Georg_Lalastein

Mさんの声は明るく、これで行ける、作業を進めてくれ、電話はすぐ代わって監督やキャメラマンの前田さんからよろしく頼む、と次々に話しました。なんかこういう感情をうまく言葉にできませんが、最初にあった不信感が払拭されて、森田組の一員として迎え入れられた、様な気分にさえなりました。

Làlàstein @Georg_Lalastein

それから三日間の撮影で◯雲海を飛ぶB正面受けプルバックフォロー◯積乱雲に突っ込んでいくB送り込みプッシュイン◯その横位置・積乱雲の中を見え隠れするB◯積乱雲を抜けて穏やかな行く先の雲海へ飛び去るB　という必要最小限に絞り込んだカットを撮影し、無事納品しました。

Làlàstein @Georg_Lalastein

テストピースがオッケーになった嬉しさでその後のちゃんとした申し送りを怠り、編集ラッシュを見に行ったら編集に組み込まれているカットがなぜか旅客機が動き出すあたりが使われていて、慌てて編集室に駆け込んで大トロと呼ぶ一番いいテイクの一番いい使いどころを指示させてもらったりしても

Làlàstein @Georg_Lalastein

もう森田監督は全てを我々に任せてもらえました。ところが、それから一ヶ月ぐらいして、オールラッシュという編集作業終了の最終確認になったにもかかわらず、”ミニチュア以外のCGや合成カット”が一向に仕上がる気配がなかったのです。そもそもこの仕事、最初はすべて合成でやる、

Làlàstein @Georg_Lalastein

という前提で当時某商社が肝煎で西麻布に立ち上げたMというポスプロ会社に発注され、そこのスーパーバイザー、Mさんが統括責任者として立ち、旅客機をミニチュアで撮るので我々が発注を受けた形になっていたのです。つまり我々はMさん率いる視覚効果チームの一員という立ち位置だったのです。

Làlàstein @Georg_Lalastein

カット数もそれほど多くもなく、客観的に見てそれほど難易度の高くない内容にもかかわらずオールラッシュに間に合わなかった責任を厳しく追求されることになります。晴れ晴れとした面持ちで図々しくも感謝と労いを期待してのこのこ馳せ参じた我々ミニチュアチームもその誹りを受けることになります。

Làlàstein @Georg_Lalastein

所謂トバッチリというやつですが、あの場に於いては我々も連帯責任を取らなければならない立場に置かれていたのです。結局その後、森田監督から声がかかることもなく一緒にお仕事をすることは二度とありませんでした。

Làlàstein @Georg_Lalastein

それでもあの時、森田組スタッフルームに集まった当時の日本映画を代表するスタッフの皆さんが抱いていたミニチュアワークに対する猜疑心を少なくともあの瞬間払拭できた事は、当時二十代から三十代前半だった、経験も実績もない我々に大きな自信を与えてくれたのです。

Làlàstein @Georg_Lalastein

その自信は翌年渡米して経験する絶望的なハリウッド底辺の製作事情を知ってますます強固になり「ガメラ」の特撮に繋がっていくのです。

Làlàstein @Georg_Lalastein

「未来の想い出　Last Christmas」特撮班　監督■樋口真嗣　操演特殊効果■尾上克郎　撮影■木所寛　照明■林方谷　計測■村川聡　美術■佛田洋　助監督■中崎一嘉　監修■矢島信男　鈴木昶（特撮研究所）　（メインのみ抜粋） 森田芳光監督のご冥福を心よりお祈り申し上げます。

荻々亭主人 @ogiogio89

森田芳光監督、急逝されたのですね。「の・ようなもの」、好きだったにゃあ。御冥福をお祈り申し上げます(*ﾟｰﾟ*)ν http://t.co/nN1vnKfa

@rokufuku95

近所のTSUTAYAでは、早速に森田芳光の追悼コーナーを設けてあったが、90年代後半からの作品がまばらにあるだけで寂しかった。 思った以上に彼の死がショックだったようで、もったいない人が逝ってしまったと、まだぐじゅぐじゅと未練を感じている。

岡田一雄 @kazuoka1402

朝日朝刊。故森田芳光監督の助監督だった篠原哲雄氏の追悼文が沁みた。「映画は俳優とスタッフが一丸となるチームプレーの良し悪しで変わるということは森田組から学び、今も胆に銘じている」

谷口(藤木) 雪絵 @fujikiyuk

そういえば、森田芳光監督の遺作に、はからずも出演していた私でした。衣装さんの超リアルな食品工場の白衣を着ていたら、方言指導の方がマジで社員と勘違いし、製品の質問を受けました。映画は来春封切りです。監督のご冥福をお祈りいたします。

わたなべりんたろう @RintaroWatanabe

今日の朝日新聞朝刊に篠原哲雄監督による森田芳光監督への追悼文が載っている　http://t.co/SR2eRc21　篠田監督は「悲しい色やねん」から「未来の想い出」までの森田作品の助監督をつとめた。抜粋/監督が変更した台詞を僕が事前に俳優に伝えるのを怠ってしまった時、（続く）

わたなべりんたろう @RintaroWatanabe

続き）映画は俳優とスタッフが一丸となるチームプレーの良し悪しで変わるということは森田（芳光）組から学び、今も肝に銘じている。そして映画の出来不出来は全てのカットに精神を注ぐ監督の力量で決まる

video_topics @video_topics

故・森田芳光監督、28歳時の幻の作品 http://t.co/EObhAboH

するっこ @suru323

WOWOWでついに「（ハル）」がやる…ヽ(≧▽≦)ﾉ　HDで見られるぅ、要チェックだっ。でも他に森田芳光監督作品をやる訳ではないみたいなので、偶然みたい＠＠

クラウチ @zyuzep

恥ずかしながら、森田芳光監督が急逝されていたことを今になって知りました。61という若さゆえ、残念の一言です。 ご冥福をお祈り申し上げます。素晴らしい監督でした。

石原有希子 @yucco5271

森田芳光監督に哀悼の意を評して「家族ゲーム」を観て再度感銘を受けていたら、自分が若かりし頃影響を受け敬愛していたエディター川勝正幸さんも同時にツィートしていて驚いた。IT'S a small warld!!