赤い手は滅びのしるし第5版-血風のアーヴィ- 第04話

赤い手は滅びのしるしをD&D5版で遊んだときの記録!
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takataka @takataka360

「この案山子は一体何かな。だれが作ったのかわかるかな」 「カカシってなに? 作ったのはウォークルノー。ピヨピヨ」 「ウォークルノーは何かな? ホブゴブリン?」 「ウォークルノーはウォークルノーだよ。そう歌ってたもの。ピヨピヨ」

2018-12-10 19:33:42
takataka @takataka360

小鳥の知能ではこれが限界と、会話をいったん打ち切り、案山子の様子を皆で調査します。 すると、これが巨人族の縄張りを示すしるしであることがわかります。

2018-12-10 19:33:58
takataka @takataka360

「ウォークルノーは巨人の名前かな? 赤い手の仲間?」 「捕虜にしたホブゴブリン達は、軍勢に巨人がいると言っていたわね」 「もし、赤い手の仲間じゃないなら、むしろ仲間にしたいね」 「小鳥が怯えていないし、悪い巨人ではなさそうだけど」

2018-12-10 19:34:10
takataka @takataka360

英雄達は、踏み分け道の先を確認することにしました。 敵ならば倒さねばならないし、そうでないならば味方にできるかもしれないと思ったからです。 踏み分け道を進むこと数時間、木々が開けた小山のふもとについたとき、 低く唸るような歌声が聞こえてきます。

2018-12-10 19:34:32
takataka @takataka360

『今日もいつもと同じ朝。はたきで火釜を消した後 こんぼう持って縄張りめぐり。エサを捕まえ、仕事終わり 仲間たちの歌を歌い。森の中の墓を飾る 細工、焼き物、料理をする。いつまでもひとり。 ウォークルノー ボロボロ。明日はもっとボロボロ 早く仲間の所に行きたいな。』

2018-12-10 19:34:49
takataka @takataka360

悲しい歌を歌っていたのは、腰が曲がり、背中は吹き出物で赤くただれた、1人の老いた巨人でした。 彼、ウォークルノーはジャイアントボアを巨大な焚火で炙りながら、独り言を続けます。

2018-12-10 19:35:09
takataka @takataka360

「アウルベアより落ちるが、この年ではこれも有りがたいて」 「はよう焼けろはよう焼けろ、ウォークルノーは腹が減った」

2018-12-10 19:35:19
takataka @takataka360

「私はアーヴィ。ウォークルノー。話をしたい」 アーヴィが声をかけ、英雄達が近づくと、老い、病に侵された巨人は棍棒を握ってふらふらと立ち上がります。

2018-12-10 19:35:43
takataka @takataka360

「出たな木っ端ども、わしは仕留められんぞ。わしの妻や一族はやられたがわしは仕留められんぞ。おお、その手に持つのは忌まわしき斧槍、幾多のわしの同胞の命を吸いし憎き斧め」 言葉は勇ましいが、ウォークルノーの声からは老いと病による疲れが感じられます。

2018-12-10 19:36:23
takataka @takataka360

「私たちは戦いに来たのではない。ウォークルノー。これは砦で拾ったもので、私たちはあなたを知りに来た者だ。いくさは200年前に終わっている」 アーヴィの言葉に誠実さを感じ、ウォークルノーは巨大な木の切り株に腰を下ろします。

2018-12-10 19:36:38
takataka @takataka360

「そうかそうか敵ではないか。いや、敵でもよい。もういくさなど遠い昔のことだ。人間への憎しみは枯れてしまった」 老人は小さな人々に溢れる言葉を吐き出します。 「だが、寂しさはいつまでも溜まり続ける。ほれ、もっとちこうよれ。火に当たれ、ボアの肉が焼けたころじゃ。ほれ食え食え」

2018-12-10 19:36:55
takataka @takataka360

英雄達はウォークルノーに猪の肉を分けてもらい、代わりにザフガーがアウルベアの燻製を、 エルダンがヴラース砦で見つけた巨人用の棍棒をウォークルノーに譲渡します。 「これはつれあいの棍棒。返してくれてありがとう。今はただ、懐かしい。そして、くんせいというものは、なかなかに旨いものだ」

2018-12-10 19:37:18
takataka @takataka360

英雄達とひとりの巨人は、1つの火を囲み、食べ物と思い出を分け合います。 ウォークルノーによると、200年ほど前、レスト王国の貴族、アメリ・ヴラース達の一党が、 この「ハゲ山」のフォレストジャイアントの一族「曲がり牙族」を襲ました。

2018-12-10 19:37:41
takataka @takataka360

一族の多くは討ち取られ、生き残りは山奥で再集結しました。 そして、一族の生き残り達はヴラースの砦を強襲し、大きな犠牲を出しながらも、復讐を遂げたのです。

2018-12-10 19:43:38
takataka @takataka360

一族の僅かな生き残りたちは、「ハゲ山」を不吉な場所として、山の奥へと居地を移しました。 しかし、ウォークルノーは、自らが生まれた地で死にたい。それまでは仲間の墓守をしたいと思い。 たった一人で森の奥、200年もの時を過ごしてきたのです。

2018-12-10 19:43:54
takataka @takataka360

「うぅ、あんたも苦労してきたのね。わかる。わかるわ。孤独って、どうやっても癒せないのよ」 苦労話にめっぽう弱いディード姐さん。ウォークルノーの境遇にハンカチを濡らします。

2018-12-10 19:44:12
takataka @takataka360

「そうだわ。ほら、シギィちゃん。何ぼうっとしているの。砦で見つけたロッドで、ウォークルノーの腰と背中を直してあげて!」 貴重な魔法のアイテムを使うよう、シギィを促します。

2018-12-10 19:44:29
takataka @takataka360

「ちょ、何言ってるの姐さん。こんな変な巨人に、大事なロッド・オヴ・リザレクションを使いたくない。それ、壊れかけでリチャージしないんだって」 「もう、けちんぼね。いいわ。ザフガー、今度お店の可愛い子紹介してあげるから、ロッド使って治してあげて」 「いいのか。わかった。えい!」

2018-12-10 19:44:54
takataka @takataka360

ザフガーがロッドを振ると、ウォークルノーの曲がった腰はピンと伸び、爛れた背中は健やかな張りを取り戻します。 「ああ! 貴重なチャージ回数が!」 シギィはしょげてしまいましたが、ウォークルノーは元気になり、英雄達にお礼を言います。

2018-12-10 19:45:10
takataka @takataka360

「活力が戻ってきた。ありがとう。人間たち。何かお返しをせねばならない」 アーヴィは答えます。 「お礼はいらない。沢山話してもらったから。ただ、森の平穏を脅かすホブゴブリン達、赤い手の軍勢が迫っている。私たちは赤い手と戦う。あなたも赤い手と戦ってほしい」

2018-12-10 19:45:43
takataka @takataka360

ウォークルノーは答えます。 「わしは病魔から逃れたが、老いからは逃れられん。戦いでは足手まといとなろう。だが、わしは生き残りの一族を探してくる。故郷の森を守るため、一族の誇りを取り戻すため、曲がり牙が帰ってくるのだ」

2018-12-10 19:46:18
takataka @takataka360

そう言って、小さく逞しいアーヴィの手に、大きく老いた巨人の指が重なります。

2018-12-10 19:46:39
takataka @takataka360

「ありがとう。小さく逞しい人。今宵は200年で最も良き日であった。わしの命にまだやることがあると知ることができた。心の寂しさを埋めることができた。」 「ありがとう。老いた巨人。人間たちを許してくれて。森の為に戦ってくれて」

2018-12-10 19:47:16
takataka @takataka360

そして、ささやかな宴が続き、夜明けとともにウォークルノーは旅立ってゆきました。

2018-12-10 19:47:27
takataka @takataka360

英雄達は、出立前にジャルマース卿にセンディングの呪文で状況を報告します。 ディード姐さん「先遣隊撃破し情報入手、小出し送信。地図は早馬にて。敵本陣2日後出発。北よりの軍勢の概要をくれ。今から髑髏橋の軍勢を威力偵察・遅滞防御。がんばるわ♡」

2018-12-10 19:47:50