赤い手は滅びのしるし第5版-血風のアーヴィ- 第18話
- takataka360
- 198
- 0
- 0
- 0
時間がないとは言え、休憩を取る必要があるため、エルダンは明朝の出発を提案します。 「エルダン、ありがとう。なんとかなるかな?」 アーヴィはエルダンに尋ねます。 「まだなんとも、テレポートで向かうとして、戦力になるのは我々だけだしね」
2020-03-09 23:13:19英雄たちが相談をしていると、城の外から騒ぎの音が聞こえています。 「「我らが神!」「「我らが神!」「「我らが神に捧げ物を!!」」 大声で喚き散らしながら、リザードフォークの一団が城の前に迫っています。 彼らは御輿のように一艘の川舟を担いでおり、舟には沢山の金銀財宝が積まれています。
2020-03-09 23:13:43突如始まったリザードフォーク達のお祭り騒ぎに、城の衛兵は戸惑い、警戒を強くします。 「何者だ! お前たちは! 赤き手の残党か!!」
2020-03-09 23:14:00「おお、忘れておった。黒鱗たちと黄鱗たちよ! どうやら生き残ったのだな!」 ザフガーが二階の窓から顔を出し、リザードフォークたちに腕を振ります。
2020-03-09 23:14:13レスト湖の冒険以来、ザフガーを神と崇めるリザードフォークの二つの部族、黄鱗族と黒鱗族。 彼らが、エルシア河から遊撃隊となり、赤い手の軍勢の補給部隊を叩き、物資を強奪してきたのです。
2020-03-09 23:14:39「「おお、おお、それは吉報! よくぞ戻った民たちよ。俺は嬉しいぞ!」」 負けないほどの大声でそれに応えるザフガー。 かくして、大量の資金と、ポーションや魔術の道具を含む補給物資が手に入ります。
2020-03-09 23:14:53「あぁ、そうか。こっちにも神はいたんだったっけ」 エルダンはおかしそうに笑い、アーヴィやシギィもクスクスと笑い合います。
2020-03-09 23:16:02「我が君、これだけの資金があれば、復興も捗りますな。」 アーヴィに付き従うルマンド伯は、これもアーヴィの人徳と、満足そうに微笑みます。 「いや、これはザフガーの、いや、私たち仲間の物だから、私が勝手にどうのこうのできる物じゃないんだよ」
2020-03-09 23:16:18「我が君のお仲間であれば、つまりはそれは我が君のものと言えましょう」 「うーん、王様ってそう言う感じなのかなあ」 王扱いが慣れないアーヴィは、ルマンド伯の対応にぎこちなさが出てしまいます。
2020-03-09 23:16:33翌朝、一晩休んで英気を養った英雄たちは、ディード姉さんの遠見の術により、ウォークルノーの場所を確認し、瞬間移動の術で一気に数百マイルの距離を移動します。
2020-03-09 23:16:59「ウォークルノー、嬉しい。またお前たちに会えた。ウォークルノー、悲しい。ジョールが捕まった。」 英雄たちとの再会を喜び、友人の苦難を嘆くウォークルノー。 ウォークルノーの大きな肩の上、ジョールの愛犬のキール号も悲しそうです。
2020-03-09 23:17:12「キール。ジョールは俺たちに任せろ」 獣と話せる獣王ザフガーが、忠犬を慰めます。 「俺が案内する。敵の巣は俺がわかる」 主人のため、案内を買って出るキール号。
2020-03-09 23:17:25「ウォークルノーは大きい、強いけど、よく見える。ウォークルノーはここでお別れ。お前たち、大きな幸運を」 大きな友人に別れを告げ、英雄たちは忠犬キールの先導で、険しい山道を進みます。
2020-03-09 23:17:38見つめる先には、忍び装束の異形の者たち。 先のブリンドル攻防戦で、ジャルマース卿らを襲った毒矢の主、ブラックスポーンの忍びたちが行進しています。
2020-03-09 23:18:00「まじかよ。あんなのが何匹も居やがるのか」 シギィは、かの忍びの毒の恐ろしさを思い出して身震いします。 「儀式が終わりに近づいているからかな。スポーンやデビルがいることは覚悟しよう」 忍びたちをやり過ごし、決戦の過酷さを皆に告げるエルダン。
2020-03-09 23:18:14「くそ、じゃあ、とっておきを使っておくか。ビビってちゃ話になんねえ」 そういうと、シギィは一枚のスクロールを取り出します。 「みんな、飯を出すぞ。ただの飯じゃない。英雄専用のご馳走だ」 シギィは奇跡により、神気を備えた素晴らしい御馳走を生み出します。
2020-03-09 23:18:29「おー、美味い! なんでもやれるって言う気持ちになるね!」 アーヴィを筆頭に、大食漢の英雄たちは、贅沢な食事を平らげ、その身に神気を宿します。
2020-03-09 23:18:42高さ数百フィートの崖、その壁面の岩を掘り込んで作られた、高さ150フィートは優にこえる大きさの巨大な竜の彫り物。それは見事な出来栄えで、今にも岩棚から出てきそうな畏怖を感じます。 その竜は五つの首を備えており、これがかの邪竜、女神ティアマトの像であることがわかります。
2020-03-09 23:19:08そして、竜の腹の下には、高さ、幅とも12フィートはあろうかと言う大きな両開きの扉が見えます。 「ふむ、ここが赤き手の巣窟か。ようやく見つけたな!」 ザフガーが吠え、英雄たちは忠犬キールに別れを告げ、細い岩棚の道を進んで行きます。
2020-03-09 23:19:23かの扉の近くまで到達した英雄たち。 石作の扉は立派で、この扉の周囲にも、五本の竜の首が、見事な彫刻で彫り上げられています。 そして、竜の像の隣、岩棚の上の洞窟から、英雄たちを怯えさせるように芝居がかった口調の声が聞こえてきます。
2020-03-09 23:19:35「万色竜ティアマトに何ようであるか、小さき者たちよ。捧げ物を置き、疾く去れい!」 剛雷のような声が轟き、周囲の岩棚がビリビリと震えます。
2020-03-09 23:19:50