マジカミエイプリルフール企画 MGU小説「マジカミ2」

2023年にサービスを終了した『アイ・アム・マジカミ』の続編、『マジカミ2』というエイプリルフール企画にて投稿したSNSポスト小説です。
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マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

関東大砂漠、シブヤ・ディストリクト。 かつての高層ビル街は見る影もなく、崩れたコンクリートと背の低い廃墟が広がるだけの不毛の地である。 辛うじてコンクリートが見える程度の砂の道を、今、一人の人間が歩いていた。

2024-04-01 00:42:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

太陽照り付ける砂漠に似つかわしくない、レインコートを着た少女だ。 「マホウ……ショウジョ……」 少女は、そう呟くと道路の真ん中にドサリと倒れた。 「大変だ!大丈夫!?」 それまで人の気配の無かった廃墟から、人の声が響き渡った。少女は一言「マホウショウジョ……」と呟いて気絶した。

2024-04-01 00:44:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「ハッ……!?」 レインコートの少女が意識を取り戻した時、そこは砂漠のど真ん中ではなかった。掃除の行き届いた室内。最近まで人が住んでいた形跡のある空間だった。 「大丈夫?行き倒れなんて珍しいから、びっくりしちゃった」 少女の側にいたのは、襤褸を纏った茶髪の女の子だった。

2024-04-01 00:45:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「すまない。助けられた」「気にしないで!大変な時はお互い様だよ!」 そう言って笑う女の子に、レインコートの少女は姿勢を正して深々と頭を下げた。 「そうはいかない。恩には礼を返すのが魔法少女だ。私はヌルヲ・チリ。本当にありがとう」「そ、そんな……!」 赤毛の女の子は困った顔をした。

2024-04-01 00:47:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「あたし、困った人は放っておけないんだ!だから気にしないで!」 赤毛の少女がそう言っても、チリは頭を下げたままだ。 「じゃあ、友達同士の助け合いってことにしよう!あたしの名前はアソ……アベ・ホヘト!」 ホヘトはそう言うと、チリの手を優しく握った。 「あたしとキミは今から友達!」

2024-04-01 00:49:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「ありがとう、ホヘト」「ううん、気にしないで、チリちゃん!」 しかつめらしい顔をしていたチリの口元が、自然と笑みの形を作った。 「うぅ~ん……」「あ、カオリン!?ちょっと待っててね」 隣の部屋から呻き声が漏れ聞こえると、ホヘトが慌てて隣の部屋へと駆け込んでいった。

2024-04-01 00:51:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

隣の部屋にはフートンが敷かれており、やつれた顔の少女が苦しげな寝顔を浮かべていた。 「いろは……いろは……」「大丈夫だよカオリン。安心して。あたしは側にいるよ」 ホヘトがフートンの横でカオリンと呼ばれた少女の汗を拭いている。 「その子は?」「この子は……あたしの大切な友達なんだ」

2024-04-01 00:54:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

そう言ってホヘトが寂しげな笑みを浮かべた、その時である。 「スッゾコラー!」「ドグサレッガー!」 ヤクザスラングめいた大音声と共に、武装車両が大地を駆けるエンジン音が外から飛び込んできた。マッポーと化した世界にヤバレカバレになった、山賊めいた魔法少女の一団だ! コワイ!

2024-04-01 00:56:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「……!」 咄嗟に立ち上がったチリを、ホヘトが「待って」と言って押しとどめた。 「ここは包囲されている!」「ここに人が存在するのはご存じです!」「無抵抗重点な!」 廃墟の周囲から、ネゴシエーション・プロトコルに則った投降勧告が投げかけられている。タタキ・クライムのプロに違いない!

2024-04-01 00:57:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「あたしが行く」 戸惑うチリと、未だ悪夢にうなされるカオリンを残して、ホヘトは廃墟の外へと駆けだした。 「遅セーゾコラ!」「時間的損失いくらカナー!」「謝罪賠償重点!」 廃墟の周囲を走り回るのは、複数台の武装車両と砂漠踏破用のサイバー馬。全員が武装ドレスを着た魔法少女に相違ない。

2024-04-01 01:00:06
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「ドーモ」 爆走する武装車両の一台から、魔法少女の一人がひらりと地面に飛び降りた。 「はじめまして。このシブヤ・ディストリクトの統括を任されたメテオキャスターと申します」「は、はじめまして。アベ・ホヘトです……」「どうか緊張しないでください。私はちょっとした勧告に来ただけです」

2024-04-01 01:01:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「勧告?」 「そう、この地を支配する西軍からの勧告です」 メテオキャスターはそう言って、ドレスに施された星の意匠を誇示するように、自らの胸を反らした。その胸部は実際豊満である。 「このディストリクトの食料・飲料は全て西軍が管理します。あなた方が持っている物を、一度全て供出しなさい」

2024-04-01 01:03:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「そ、そんな!それでは死んでしまいます!」「それはあなたたちの問題です。西軍には関係ありません」「待ってください!」「私は決定事項を伝えに来ただけです。交渉をしに来たわけではありません」 メテオキャスターが右手を上に掲げると、周囲を走る車両の魔法少女が一斉に法器を掲げる。

2024-04-01 01:06:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「あなた達がそうくるなら、あたしも手加減しないよ!」 ホヘトはそう言うと、羽織った襤褸を脱ぎ去った。襤褸の下から現れたのは学生服……そしてそのポケットから取り出されたのはスマートフォンだ! 「スマッホ? このマッポーの世で誰に助けを求めるというのですか」 メテオキャスターは嘲笑する

2024-04-01 01:08:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「誰の助けも呼ばないよ!皆を助けるのが、あたしの……魔法少女の役目だから!」 ホヘトは「変身!」と叫んでスマッホにキスをした。すると、おお、見よ! 光に包まれたホヘトの身体に生成されたのは、紛れもなく赤色の魔法のドレスだ! 「ドーモ、メテオキャスター=サン。アンガーフィストです!」

2024-04-01 01:09:59
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「ヌゥー……!」 アンガーフィストのオジギにメテオキャスターは一瞬怯んだが、 「ドーモ、アンガーフィスト=サン。メテオキャスターです」 と丁寧なオジギを返した。魔法少女は礼儀正しくなければならない。それは古代ニチアサからの不文律であり、これを破る者は実際失礼としてムラハチにされる。

2024-04-01 01:11:59
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「貴方は、カミサマンシステム由来の魔法少女ですか」 メテオキャスターが右腕を掲げたまま、怒りの表情を浮かべた。 魔法少女は二つに分かれる。一つは魔力を持って生まれた天然の魔法少女。そして、もう一つはカミサマンシステムの世界線保護によって誕生した、十二人の魔法少女だ。

2024-04-01 01:13:59
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十二人の魔法少女はカミサマンシステムの崩壊と共に解放された。それは内包されていた無限の可能性の分だけ、無数の同位体が世に解き放たれたという意味である。 世界線統合という厄災を齎した原因がカミサマンシステム由来の魔法少女であるという噂は、今でもまことしやかに囁かれている。

2024-04-01 01:15:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「そう、あたしはカミサマンシステムの中に居た魔法少女」 「炎の魔法少女……アソベ・イロハの同位体ですね」 メテオキャスターは憎しみの籠もった笑みを浮かべた。 「ならば、無駄な抵抗などせず、ここで仲間共々懺悔して散るべきでは?世界をこんなにした責任を取るべきです」

2024-04-01 01:17:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「それでも……あたしは立ち向かう!イヤーッ!」 アンガーフィストが地面を蹴り、一瞬でメテオキャスターとの間合いを詰める。 「イヤーッ!」 メテオキャスターは大きく跳躍!筆の一撃を回避すると空中で掲げていた右手を振り下ろす! 「ヤッチマイナー!」 それは、死刑宣告にも等しい戦略号令だ!

2024-04-01 01:20:00
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「ズガタッキェー!」「スッゾコラー!」「ナンオラー!」「ワドルマゲッコラー!」 周囲を爆走する車両から次々に魔法が射出される! KABOOM!KABOOM! 炎、氷、雷、猫、毛玉、重力的歪み、あらゆる属性の魔法が一カ所に集中し、砂漠に曰くしがたい爆煙が上がった!

2024-04-01 01:21:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「イヤーッ!」 突如、爆煙の中からアンガーフィストが飛び出した!メテオキャスターとの距離は一瞬でゼロ! 「イヤーッ!」「グワー!」 アンガーフィストの正拳突きがメテオキャスターの腹部に突き刺さる! 「イヤーッ!」「グワー!」 アンガーフィストの突きが更にメテオキャスターに突き刺さる!

2024-04-01 01:23:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

アンガーフィストとメテオキャスターの距離が近すぎるため、周囲を爆走する魔法少女達は援護射撃を行うことができないでいる! 「イヤ……」 「マジカルッ!」 魔法少女チャントを唱えたメテオキャスターが地面に光子を放ち、周囲に土煙の煙幕を発生させた。

2024-04-01 01:25:59
マジカミ2連載アカウント(芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様”) @ERR66856734

「タゼイ=ブゼイ・シチュエーションでの悪あがき、実際見苦しいですよ」 アンガーフィストが土煙に怯んだ隙に、メテオキャスターは大きく跳躍して爆走する車の囲いの外へと逃れていた。 「あなたはここで処刑し、残党狩りは時間をかけてでもこちらでやるとしましょう」 その掌には魔法の気配がある!

2024-04-01 01:27:59