マジカミエイプリルフール企画 MGU小説「マジカミ2」

2023年にサービスを終了した『アイ・アム・マジカミ』の続編、『マジカミ2』というエイプリルフール企画にて投稿したSNSポスト小説です。
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芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

魔法!それは魔法少女が使う超常的なジツを指す! メテオキャスター魔法は、長いリキャストタイムの代わりに強力な遠距離攻撃を放つ『シューティングスター=ジツ』!その射撃はインド象をも一撃で粉々にし、ジョヤ=ベルを吹き飛ばしたという伝説の魔法少女ナス・ヨイチにも匹敵するという!

2024-04-01 01:30:01
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「オタッシャデー!」 メテオキャスターは侮蔑交じりのアイサツと共にシューティングスター・ジツをキャスト! 上空に生成された輝く巨大魔法隕石が、大気を引き裂きながら大地へと落下! DOOOOOM…… 砂交じりの爆風が吹き上がり、シブヤ・ディストリクトの上空まで茶色い空気が巻き上がる。

2024-04-01 01:32:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「歯向かわなければ半殺しで済んだものを。ミヤモト・マサシ曰く『死んだら終わり』とはまさにこのこと」「さすがメテオ=サン!」「ポエット!」「カッコイイネ!」 爆心地に出来たクレーターの周囲で、西軍の魔法少女達が喝采を上げる。 弱肉強食!無理無法!なんたるマッポーの世界!

2024-04-01 01:34:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「さて、次は残党狩りですよ」 意気揚々と廃墟に向かおうとする西軍の魔法少女達の耳に、微かに聞こえる音があった。 「……マホウ……ショウジョ……」 魔法少女のマジカル聴力はモータルの約三倍。それは間違いなく地獄めいた人間の声だった! 「アイエ!?」「ユーレイだ!」「実際コワイ!」

2024-04-01 01:35:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「ユーレイなんて実在しません!クセモノです!デアエ、デアエー!」 メテオキャスターの号令で周囲を警戒する魔法少女達であったが、ユーレイの如き地獄めいた声は再び耳に届いた。 「マホウ……ショウジョ……」 その声の発生源は、巨大魔法隕石の爆心地……クレーターの中心から響いている!

2024-04-01 01:37:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

風によって薄まっていく土煙の中から現れたのは、気絶した赤い魔法少女を抱えた、一人の少女だった。砂漠に似つかわしくないレインコート。頑なで暗い目つき。 「あそこだ!」「あなたは誰ですか!?」「スッゾコラー!」 賢明な読者は既にお気づきのことだろう。そう、あの少女は、ヌルヲ・チリだ!

2024-04-01 01:39:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「モータルが爆心地で生きているハズがありません!貴様、何者だ!」 「マホウショウジョ、コロスベシ!」 チリの羽織っていたレインコートの袖から火の手が上がった!白熱した炎は腕に、上半身に、全身に纏わりつき、段々とその形を変えていく……!

2024-04-01 01:41:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

白い炎が消え去った後、そこに残ったのは白い手甲と装束を身に着けた一人の戦士……いや、魔法少女忍者だ! 「ニンジャ!?」「アイエ、ニンジャナンデ!?」「アイエエエ!」 西軍の魔法少女に動揺が走る!魔法少女は忍者ではない。忍者は魔法少女ではない。では、魔力を持つ忍者とは何者なのか!?

2024-04-01 01:43:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「魔法少女は恐怖しない……魔法少女は絶望しない……魔法少女は諦念しない……魔法少女は堕落しない!」 おお、その地獄めいたチャントの怨念たるや!彼女は魔法少女でもなく、忍者でもない! 「貴様らは魔法少女に非ず!ただ魔技禍(マギカ)を駆る者、決して許すまじ!」 彼女はただマギカを憎む者!

2024-04-01 01:46:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「マギカ滅ぶべし!マギカ、滅ぼすべし!」 魔法少女を滅ぼす魔法少女!マギカをもってマギカを滅す者! 黒い炎をあしらった白い装束に、見覚えのある読者もいることだろう! 「ドーモ、メテオキャスター=サン!マギカスレイヤーです!」 ゴウランガ!彼女こそがマギカスレイヤーである!

2024-04-01 01:48:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「イ、イヤーッ!」 シャウトと共に、メテオキャスターが星形のスリケンを投擲!アイサツを返さぬアンブッシュは実際ヒキョウだ! 「イヤーッ!」 片手を上げたマギカスレイヤーはスリケンを二指の間に挟み込んで止める!もう片方の手のホヘトはずり落ちもしていない!ワザマエ!

2024-04-01 01:49:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「み、皆さんヤッチマイナー!」 メテオキャスターの戦略号令を受け、武装車両とサイバー馬が再び爆走を開始する。 「ケツ・ノ・アナ!」「ヤッチマエ!」「ダッテンジャネッゾコラー!」 KABOOM!KABOOM! 炎、氷、雷、猫、毛玉、重力的歪み、あらゆる属性の魔法が降り注ぐ!

2024-04-01 01:51:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「イヤーッ!」 マギカスレイヤーはホヘトを抱えたまま炎をブリッジ回避! 「イヤーッ!」 氷をブリッジ回避! 「イヤーッ!」 雷をブリッジ回避! 「イヤヤヤーッ!」 猫を撫で、毛玉を取り去り、重力的歪みを軽々と飛び越える! 「イヤァーッ!」 最後に、炎の中から生み出した白いスリケンを投擲!

2024-04-01 01:53:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「グワーッ!」 白いスリケンを受けた魔法少女が、サイバー馬もろともに転倒! それに巻き込まれた後続の魔法少女達が、次々とクラッシュし、上に乗り上げていく! 『戦場ではシャカンキョリ重点』。伝説の兵法魔法少女ツカハラ・トデンが残した言葉通りのシチュエーションである。

2024-04-01 01:56:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「ンアーッ!」「ヤラレター!」「サ、サヨナラ……!」 西軍魔法少女達は次々と爆発四散! 「あ、ありえません……こんなこと、あり得てはならない!」 動揺で後ずさるメテオキャスターの前に、白装束に炎を照り返させるマギカスレイヤーが立ちふさがった。

2024-04-01 01:58:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「マホウショウジョ、コロスベシ!」 いつの間にかホヘトを廃墟の影に安置して来たマギカスレイヤーの両手は、フリーだ! 「イ、イヤ……」「イィヤァーッ!」 苦し紛れにパンチを放つメテオキャスターの拳に、マギカスレイヤーの殺人的セイケンヅキが叩きつけられる!

2024-04-01 02:00:07
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「アバーッ!?」 殺人的カラテを受けたメテオキャスターの拳が、非人間的な方向に曲がっている! 「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」

2024-04-01 02:01:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

メテオキャスターの魔法は全て遠距離攻撃に特化している。それを補うための西軍魔法少女軍団であり、そのために武装車両やサイバー馬の調達までした。 あるいは近距離での戦闘であったとしても、適切な距離まで逃走する自信がメテオキャスターにはあったが……このゼロ距離からは逃れられない!

2024-04-01 02:03:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「最期にハイクを詠め、メテオキャスター=サン」 殺人的カラテによって爆発四散寸前のメテオキャスターへの、最後の慈悲の言葉である。 「ハ、俳句だと……?お前は、何なんだ、この狂人……」 「イィヤァーーーーッ!!!」 マギカスレイヤーの鋭いチョップ突きがメテオキャスターの胸を貫いた!

2024-04-01 02:06:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「本当に……何なんだ……貴様……」 マギカスレイヤーが残身を決めると同時に、メテオキャスターはしめやかに爆発四散! 「スゥー……ハァー……」 後に残った燃え盛る武装車両と地面のクレーターを背に、マギカスレイヤーは深く呼吸を行い息を整えた。

2024-04-01 02:07:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「うぅ……ん」 それは、悪い夢から覚めた瞬間であった。カオリンが目を覚ますと、そこには親友のアソベ・イロハの顔があったのだ。 「イロハ……?」 「カオリン!本当に目を覚ましたんだ!カオリン……カオリン……!」 アベ・ホヘト……いや、魔法少女アソベ・イロハは親友の肩を抱いて涙を流した

2024-04-01 02:11:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「ウチが寝込んでいる間にそんなことが……」 イロハの説明を聞いて、カオリン……トモナガ・カオリは深々と嘆息した。 西軍と東軍の対立。魔法少女の徒党。荒廃した世界。限りある可能性と資源の奪い合うサバトと言う名の戦争。 そして、可能性失調症というカオリが罹患した恐るべき病。

2024-04-01 02:13:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

「魔法少女の世界が一つに統合されたせいで、世界の可能性が窄まってしまった。運命力の低い人間から可能性を失って倒れていく……それしかないと、みんな諦めそうになってた」「そうじゃなかったの?」「ムゲンノカノウセイはね、本当に無限の可能性だったんだよ!」

2024-04-01 02:15:59
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

イロハはそう笑って、手の中にあった一枚の写真を掲げて見せた。 「世界の可能性は無限大。ここは魔法少女が集まり過ぎてマッポーな世界になっちゃったけど、その分今までにない可能性もあるみたい!」 そこには、猫のような耳と尻尾の生えたカオリ似た誰かと、小さく微笑むチリの姿があった。

2024-04-01 02:18:00
芋煮 “a.k.a 芋にお嬢様” @ERR66856734

二人の少女の背後に映っているのは、ネオン輝く多層積層都市シブヤ。写真の右下には『色ハ匂エド散リヌルヲ』と可愛い書体でショドーが書かれている。 「その人がチリちゃんて人?」 カオリの言葉に、イロハは強く頷いた。 「うん!『どんなに儚い世界でも、続く物はある』……なんだって!」

2024-04-01 02:20:00