佐々木司氏による、遊牧民の生活について

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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

軍事・歴史・地理等の分野で呟きます。中世ヨーロッパネタ多め。1番好きなのは、多分東ローマ帝国。1週間に1~2回くらい、歴史解説的なポストをしています。 浮上度:通常動力潜水艦 文章の綺麗さ:野獣先輩

佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

■遊牧民 定住せずに季節によって営地を移動しながら、主に家畜の放牧で生計を立てている人々であり、ユーラシアの歴史にも大きな影響を与えた遊牧民。今日はこちらの生活形態を少し解説します。 -五畜 遊牧民は主に羊・山羊・牛・馬・駱駝の5種類の家畜を軸に飼育している。(1/9) pic.twitter.com/eEdzwnUjbR

2024-03-30 19:57:22
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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

環境によって平原なら羊と馬が多くなり、高原なら山羊が多く、乾燥地帯なら駱駝が多めといったように比率は変化する。各種家畜の雌からは乳を採取してヨーグルト・チーズ・バターに加工し、雄は種つけ用の少数以外は虚勢して肉用あるいは売却用途で生育する。(2/9) pic.twitter.com/AIekSIoeJT

2024-03-30 19:57:23
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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

乳量は牛>山羊>羊>駱駝>馬、毛量は羊>山羊、駄載量は駱駝>馬、騎乗・牽引は馬といったように、各種家畜の利点を組み合わせている。また、多種飼育には疫病によるリスクを避ける目的も存在する。(3/9)

2024-03-30 19:57:24
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

-放牧 放牧の距離は1日15km前後。家畜の種類ごとに牧夫を付けて分け、また牧草を食べつくさないように一定時間で移動しながら行う。放牧の際は柵で囲い込みはしないものの、偶蹄類の強い群性を利用するため、牧草地の範囲の制限がない限りでは統率に余り手間がかからない。(4/9) pic.twitter.com/GGGMTpnXSd

2024-03-30 19:57:24
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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

夜間は家畜用のゲルの中に雄・雌・子で分けて家畜を囲っておく。遊牧民1家族あたりの家畜の飼育数は、羊・山羊においてはそれぞれ100匹を優に超える。(5/9)

2024-03-30 19:57:25
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

-ゲル 羊または山羊の毛(駱駝の場合もある)を織ったフェルトにより作られる住居。骨組みは木材を用い、床には絨毯を敷く。入り口は単純にフェルトや皮を用いた簾状の物もあれば、木製の扉を設置する場合もある。(6/9) pic.twitter.com/liHK3xeQ6G

2024-03-30 19:57:25
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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

調理または暖を取る際には、乾燥させた家畜の糞を燃料に利用。3時間以内での設営が可能で、家族単位で居住する。複数家族から部族でゲルを建てて集住して営地を構成する。(7/9)

2024-03-30 19:57:26
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

-営地 季節によって家畜を率いて移動する。夏季は北に向かい、冬季は南に移動する。トルコ南東部の遊牧民ユルックの一例としては、冬営地・春営地・夏営地・秋営地間の移動が年間で計450kmに及ぶ。(8/9) pic.twitter.com/lr1KUZYx28

2024-03-30 19:57:26
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佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

厳密な土地の所有はないものの縄張りは存在し、近代以前は武力による牧草地の奪い合いがしばしば発生した。定住性が強いと、温暖な冬営地には恒久的な拠点が設けられ、一部農耕を営むこともある。(9/9)

2024-03-30 19:57:27
なぎのすけ @katahira_trp

@TA5vWI4SfJVHCGa 勉強になります。 農耕民の中国とかは豚を飼うのですが、人間と食べ物同じだからか遊牧民は豚を飼育しないというのを改めて認識。

2024-03-31 09:19:07
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

@katahira_trp 豚は森林の生き物ですね。フンまで食べるほどの雑食ですが、牧草地のみでの生育だとカロリーが足りずに餓死、または栄養失調を起こしてしまうようで。 反芻できる偶蹄目は草原向きですね。

2024-03-31 10:14:23
近畿Buffaloes @1019Buffaloes

@TA5vWI4SfJVHCGa 『乙嫁語り』を、少し読んでました。今は、読めてませんが、来年には読みたいです。今年は家の事と国家資格の勉強に集中して、銃後の憂いを無くしてから、来年に思いっきり趣味を楽しみたいですね。

2024-04-01 18:04:51
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

@1019Buffaloes 19世紀の中央アジアを舞台にした作品ですよね。手が空いたら、私も一読してみたいです。農耕民にとって遊牧民の世界はまさに現実に存在する異世界空間ですね。 試験のご健闘をお祈り申し上げます。

2024-04-01 19:26:23
ソエム @YoshidaSoem

@TA5vWI4SfJVHCGa 全員このような住居に住んでいるとしたら、武器や馬具はどうやって作っていたのでしょうか。鍛冶道具とか炉とか、一緒に持って歩いていたのか、それともそういう工人は定住していたのか。だとしたらどういう住居だったのか。(これ、ずっと昔からの疑問ですが、今も分からない)

2024-03-31 14:02:06
佐々木 司 @TA5vWI4SfJVHCGa

@YoshidaSoem 金属の矢尻や刀剣のような金属の武器・鋼材に関しては、基本としては家畜の売却益で得た富を用いて、農耕民から購入(あるいは略奪)する形になります。 匈奴や鮮卑はバイカル湖あたりに農耕民を強制移住させて、完全な自給にはならなかったと思われますが、穀物栽培や金属の生産を行っていました。

2024-03-31 14:15:40