横浜市・川崎市・藤沢市域の衆議院総選挙予測。神奈川8~10・18・19・12区。2023年統一地方選挙のデータを使用。

敬称略 参考まとめ 「横浜市域の衆議院総選挙予測。神奈川1~3・5~7区。2023年統一地方選挙のデータを使用。」 https://togetter.com/li/2344637 続きを読む
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 むしろ、維新の添田氏のほうが草間氏に迫る可能性があります。添田氏自身が県議に当選したので、維新の統一地方選挙の数字は添田氏自身が出したものです。惜敗率65.42%は今回予測の11選挙区の維新候補者中トップです。従って比例復活は間違いないと言えます。添田氏自身が出した数字なので本番でもそのまま生きてきます。添田氏は都筑区にも行っているので、今の所順調です。しかし…。

 維新川崎は揺れています。市議会が震源地で、採決を巡って造反が出て7人中3人が離党しました。離党した人の中に、宮前区の飯田満氏がいます。添田氏と飯田氏はともに中田宏代議士の秘書で、両方とも維新に入ったのは最近で、無所属での活動が長かったのです。あくまで私見ですが、今回の川崎市議会の分裂には、金村龍那氏が率いる「大阪維新の会」と、松沢成文氏が率いる「神奈川維新の会」との主導権争いがありそうです。松沢氏と中田氏はウマが合い、維新では一緒にならなかったのですが、2014年から2018年にかけて、「次世代の党」で一緒でした。離党した3人の中に松沢氏の元秘書もいます。しかし、主導権は「大阪維新の会」が取りました。こちらは金村氏と金村氏の元秘書の高戸友子市議のラインが中心です。高戸氏は宮前区です。あくまでも私見ですが(2度目)、高戸氏が添田氏を支部長から降ろす可能性があります。後任には高戸氏か、「大阪維新の会」の人を入れます。添田氏は県議ですので、「県議職に専念してほしい」と言われれば反論できません(高戸氏が出るのなら大いに反論できますが)。そして、添田氏が好調なおかげで比例復活枠が添田氏に行き、金村氏に行かない可能性があります。内輪揉めの最たるものですが、金村氏としてはこれは対策するかもしれない。

 まあ今の所、添田氏で行くでしょう。都筑区の磯部尚哉横浜市議は添田氏に協力しているし、自分の実力でいい数字を出している添田氏は代え難い。

 19区には国民の深作ヘスス氏がいます。しかしいかんせん基礎票が足りないし、立民も維新も共産も候補者を出しているので他の党に支持を広げることができません。比例復活狙いですが、果たして国民は南関東ブロックで比例枠を取れるかどうか…。1議席取れたとしても千葉県で既に2人、恐らく3人目が立候補を予定しており、その内千葉7区の平戸航太氏は電機連合推薦で、同区に立民候補者が不在で、この人が惜敗率1位を取る可能性が高いです。
 草間氏は小選挙区当選が可能でしょう。鈴木氏は「風」が吹けば比例復活が可能ですが、そうでなければ落選の可能性が高いです。添田氏は比例復活は固いでしょう。

神奈川12区(藤沢市・高座郡寒川町)

2024年 星野剛士(自民・菅)、阿部知子(立民)、水戸将史(維新)、江岡貴宏(参政)

2023年 投票率38.76% 期日前率28.5%
 与党系(県議)91676 野党系(県議)46801 維新(県議)15673
 野党系惜敗率 51.05% 維新惜敗率 17.10%
 与党系回復率 100.57% 野党系回復率 49.26% 維新回復率 41.51%
 ※松長泰幸氏は与党系に含めた。佐藤正憲氏は野党系に含めた

2023年 藤沢市長選挙 投票率34.69% 期日前率27.3%
 鈴木恒夫(無所属)59941 国松誠(無所属)38261 相原倫子(無所属)26802
 鈴木(県議)69103 国松(県議)36825 相原(県議)0 公明(県議)20211 共産(県議)15062

2021年 投票率56.14% 期日前率31.0%
 星野剛士(自民)91159 阿部知子(立民)95013 水戸将史(維新)37753

週刊現代2024.4.27-5.4
(角谷浩一氏・青山和弘氏・本誌予想得票数の順)
星野剛士氏 やや劣勢 劣勢 82043
阿部知子氏 優勢 優勢 104129
水戸将史氏 やや劣勢 劣勢 37753
江岡貴宏氏 記載なし 記載なし

 見なきゃよかった…。今まで横浜市・川崎市で予測していたことが根底から崩れたような気がします…。
 統一地方選挙の時点で与党系は前回総選挙まで回復しているのに、野党系は神奈川2区よりも回復していない。もちろん野党系の惜敗率も神奈川2区以下。今までなら「野党系、特に立民は候補者を擁立することは難しい」と書いています。投票率が前回総選挙では56.14%で統一地方選挙では38.76%。つまり残りの17.38%分は全部野党系にいかないと野党系は勝てない計算になる。しかし、ここは阿部知子氏の選挙区なのですねえ。
 県議選の候補者の出しかたが政令指定都市と一般市とでは違うのでしょうね。定数2までだったら与野党で同じような数字が出ますが、定数5(藤沢市)だと与党系が通りやすくなる。
 政令市以外で総選挙で野党系が強い所は、大体このような結果が出るのでしょうね。「個人票」を持っているとされる。しかし、「個人票」は今回の予測ではわかりません。

 今年の2月18日に藤沢市長選挙がありました。元自民県議現職の鈴木恒夫氏が、自民一部と立民の支持を得て自民一部と維新藤沢の支持を受けた元自民県議の国松誠氏と、まとまった支持を受けなかった相原倫子氏とを破りました。県議ベースでは、脇礼子・松長泰幸・市川和広各氏が鈴木氏を、吉田淳基・塩坂源一郎各氏が国松氏を支援しました。ただ、この鈴木氏を支援した自民支持層が総選挙ではそのまま阿部氏に投票するとは思えません。前回総選挙の出口調査では、阿部氏は自民支持層の14%を取っています。これは比較的非常に高い数字なのですが、統一地方選挙の基礎票を考えると、14%取っても勝てるのかなあ、と思ってしまいます。
 しかも、相原氏の存在です。共産の支持を受けていないので、どの党からも満遍なく票を得た形になります。この人、「社民党を出た当時の阿部知子氏」を彷彿とさせるのですね。阿部氏の個人票の中には、藤沢市長選挙では相原氏に投票した人もいるかもしれない。もし、相原氏が総選挙に出たら、阿部氏の個人票が崩れるかもしれない。

 与党系の星野剛士氏は相当有利だと思います。これで選挙期間中に東海道線もしくは国道1号線で菅義偉前首相が都度都度応援弁士できてくれたら盤石でしょう。前回の藤沢市長選挙で動かず(だからその後の総選挙でも動きが悪かったはず)、今回はフル回転した国松-吉田ラインも頼もしいでしょう。
 星野氏は比例復活以上は確実ですが、小選挙区勝利を第一に考えたい所。阿部氏は「風」が吹いても比例復活以上の展望が見えない。相原氏の出馬等悪条件が重なったら、落選の危機を想定しないと行けません。