NHKスペシャル 「クジラと生きる」回顧　「物語」の暴力

k @kawashim

今年のベストドキュメンタリーNHKスペシャル「クジラと生きる」。鯨の追い込み漁の残虐性を描いた"The Cove"の舞台となった和歌山県太地町のその後を描いてる。捕鯨業組合「いさな組合」の漁師たちの生活が、常駐する反捕鯨団体によって脅かされている。

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自分は捕鯨に対してはメルヴィルの「モビー・ディック」を読んだぐらいの知識と興味が無かったのだけど、一度世界に向けて放たれた「物語」が現実の人々の生活をここまで脅かす暴力になるのかとショックを受けた。

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ヒトラーは彼が提示する「物語」によって、膨大な人数のユダヤ人を殺した。人は「物語」があればこそ、人を殺せる。

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太地町に常駐する反捕鯨団体は、追い込み漁の最終段階の、漁師が入江で鯨の命を絶つシーンを盗撮してyoutubeにアップし、彼らの「物語」を強化する。

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その「物語」によって惹きつけられた反捕鯨団体の構成員が太地町に集まり、漁師たちを罵倒し挑発する。漁師たちを感情的にして、その振る舞いを編集し「鯨を殺す人々」＝「暴力的な野蛮人」というイメージに捏造し彼らの「物語」を強化にするためだ。

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たしかに有能な日本の漁師である「いさな組合」の漁師たちは、頭数制限を受けたくじら漁をしなくても食べていけるかもしれない。しかし、鯨漁は彼らの生まれ育った土地に根付く普通の仕事であり、誇りをもって営んでいる。

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たしかに有能な日本の漁師である「いさな組合」の漁師たちは、頭数制限を受けたくじら漁をしなくても食べていけるかもしれない。しかし、鯨漁は彼らの生まれ育った土地に根付く普通の仕事であり、誇りをもって営んでいる。

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「生と誇り」といってもそれは大仰なものではない。親の稼業を継いで、普通に生活の糧を得て、ささやかな家庭で普通に暮らしている人々の話。