- rouillewrite
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「これ以上、この子に負担をかけたくない。あんな椅子を作るくらいの技術があるなら、未来視だって擬似的に可能なんじゃないのか」 『壊れちゃうかもしれないわよ?貴方』 「構わない!この子が未来を見た事で、精神的に負担がかかるよりは、異能の副作用で壊れちまうよりは、よっぽどいい」
2024-04-07 22:08:48『…───ふっ、あははっ、あはは! いいわ、それじゃあ、エイダン。あれを用意して』 「はぁーーい!!もう持ってます!!!」 『用意がいいのね。いい子いい子』
2024-04-07 22:09:44スカーレット夫人に褒められて上機嫌になったのか、エイダンは舞台袖から取り出してきたそれをギルバートに渡す。
2024-04-07 22:10:26『その子が副作用でダメになっちゃった時のために、一応用意したの。誰も悲劇を見れないなんて、そんなの面白くないでしょう? 擬似的に未来視が可能な装置よ。原理は企業秘密。 さぁ、つけてごらんなさい。 そして、椅子に座って目を閉じて。』
2024-04-07 22:12:44『……なんで、お、おかしいよ。どうして、許さなかったの…?』 『────キャリーは悪くない、でしょ…?』
2024-04-07 22:15:45『……ひどいよ。みんな』 『ねぇキャリー、たすけてよ。 ぼく、 死にたく ない、 な』 pic.twitter.com/ZqXoG1WNDF
2024-04-07 22:16:57周囲の声と共に、ギルバートは顔を上げる。どこか夢見心地なまま、現実味のない視界で汗ばんだ手を握りしめた。 これが、ずっとシャールが見ていた“あったかもしれない未来”か。
2024-04-07 22:20:12すぐに椅子からよろよろと立ち上がり、ヘルメットを少し乱暴に外した後壁に寄りかかると、しばらくそれを見つめていた。 どれだけの恐ろしい未来。悲劇の痣。 それを1人であの子は見てきたのか。
2024-04-07 22:20:53そっと隣にいるシャールを見つめる。 なんでもないような表情で────いや、正確には目元は見えないのでなんとも言えないが。平然と立っている彼女を見ていると、自分が情けないような、そんな気がしてさえくる。
2024-04-07 22:22:17混濁する記憶の中で、赤い色がチラついた。喉からせり上がってくるそれをぐっと堪え、壁につけた手を握りしめる。
2024-04-07 22:23:18誰もがギルバートの様子に着目していたそんな中、オースティンの声がした。 レストランの出入口の方だろうか。 見れば、そこから出ていこうとしている茶髪の少女を、オースティンが引き止めているようだった。 椅子の周りに集まっていた者たちも、慌ててそちらに駆け寄る。
2024-04-07 22:25:00「…なんですか」 「君…怪我をしてるじゃないか。火傷を…せめて応急処置くらいしないと大変なことになる!」 「大丈夫です。1人でもできます。…どうして、そんなに関わるんですか」
2024-04-07 22:27:16オースティンの提案を断固拒否し、少女は光の宿さぬ瞳で彼らを見つめた。 あの時は一見して分からなかったが、確かに少女の服の下の足首には火傷跡がある。 偶然火の粉を被ってしまったのだろうか。
2024-04-07 22:27:51