紗羅香執筆『聖夜・５　願い』 #sarassSP

@saraka4237

『聖夜・５　願い』 #sarassSP

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ザーボン王子は一人、自室のベッドに潜り込んでいた。「はぁ…よりによって、あの星飾りが壊れてしまうとは…」と呟き、溜め息を吐く。あれは以前、地球へ行った時に、一目惚れして買ったものだった。しかも今は生産していない。もう二度と手に入らないのだ。 #sarassSP

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「…願い、叶わなくなるかな…」王子は、また溜め息を吐いた。いつもなら、激怒して変身しているはずが、こうまで落ち込む王子も珍しい。周りの人間が心配するのも頷ける。「はぁ…もうダメかも…」王子の溜め息は、しばらくの間続いた。 #sarassSP

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一方、城の地下にある鏡の間では、大広間から走って来た三人が、鏡の前に立っていた。「そろそろ時間だな」時計を見ながら、副店長は言った。三人が静かに待っていると、彼らを映していた鏡は突然、真っ黒に染まった。と、急に騒がしい声が鏡の向こうから聞こえてきた。 #sarassSP

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「…ったく！押すなよ！」「お前こそ、早く歩け！」お前たち！喧嘩するなと、いつも言ってるだろう！ 「お前の声が一番うるさいぞ…」声の主はもちろん、ギニュー特戦隊とザーボンご一行様だ。「あっ！来た来た！待ってたんだぜ！」室長が嬉しそうに言った。 #sarassSP

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「…ほう？感動のご対面…か？」と、ギニューは冗談っぽく言ったが、室長には通じなかったらしい。「違う、違う！ちょっと聞きたいことがあるんだよねぇ〜！」「…なに？聞きたいこと、だと？」顔をしかめるギニューに、副店長は今朝の出来事を話した。 #sarassSP

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「…ふむ、なるほどな。だが…」と、ギニューは両手を腰に当てて言った。「知らんっ！」「そんなぁ…」三人は肩を落として項垂れる。「グルドは時間を止められるが、過去に戻すことはできん。それは、この世界のグルドも同じであろう？」「あっ、超能力か！忘れてた！」 #sarassSP

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ギニューの言葉に、三人は声を上げた。「オレも…忘れてた」と、小間使いは言った。「おい…自分のことだろう？」ギニューは呆れた様子で、自分の部下と同じ姿の男を見た。その横に立っていたザーボンは、冷めた口調で言った。「壊れたものは元に戻らない。当然だろう？」 #sarassSP

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それを聞いた室長は彼の肩を叩き、「なっ？やっぱりそう思うだろ？」と、大きな声で笑った。「笑いごとじゃないって…」副店長は室長を軽く睨む。が、それを気にする男ではない。「でもよぉ…元に戻らないんだから、悩んでも仕方がないだろ？それに準備が終わってないぞ？」 #sarassSP

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室長に指摘された副店長は「そうだな…」と呟き、ギニューたちに向かって言った。「なあ、あんたらも手伝ってくれよ！」その頼み事に皆、呆れた顔をする。「おいおい…オレたちは客だろう？」と、ジースが言った。「いいじゃねぇか！一緒にやったほうが、早く終わるだろ？」 #sarassSP

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細かいことを気にしない室長は、ジースの背中を叩き、「ほらっ！行くぜ！」と、彼の腕を掴んで出て行った。「あっ！おい、待てよ！」バータも慌てて後を追いかける。「まあ…手伝うのも悪くないな。よし！ギニュー特戦隊、出動！」「おーっ！」　#sarassSP

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ギニューの掛け声と共に、残りのメンバーも走り出す。その様子を見て、ザーボンは溜め息を吐く。「大変そうだな…アンタも」副店長は慰めるように、ザーボンの肩を叩いた。「オレたちも行こうぜ」小間使いに促され、三人は鏡の間を出た。 #sarassSP