Wolfgang・Gottenberg氏による、現代の小銃の標尺装置が500m程度の理由について

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Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

なろうにおいては『異世界で大元帥』を連載してあり 我々戦闘を直接知らずに戦を語らんとするものはまさに性的行為について学ばんとしある童貞のごとくある 然るにや我はそれを誇らん

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現代の小銃の標尺装置は概ね500m程度までのものが一般的である これは5.56mm弾薬の性能に由来すると勘違いする向きもあるが誤りである 元々5.56mm弾薬は1000m先で米国M1型鉄帽を射貫し得る能力があり、また、米国のミニミ機関銃では標尺装置は1200までの目盛を有する つまり弾薬の性能に由来しない

2024-04-20 11:05:09
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

では何が理由で現代の小銃の標尺装置は500m程度までのものが一般的であるのか そしてなぜ大昔の小銃は1000mを超えるような標尺装置を有するのか この辺を酒呑みの話題にしよう 先込めの時代 この時代は下手したら照門さえなく、敵に向けてべべべーんと部隊で弾を投げるのが一般の小銃であった pic.twitter.com/z8OjuVhPGl

2024-04-20 11:08:40
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兵隊が銃身後端にノコかヤスリかで照門を自作した例やら銃身基部のねぢの溝を照門に見立てて扱う例もあったようであるが、まあとりあえずそんなもんである この時代は兵隊が肩を接するほどに並んでおり、敵の兵隊を狙うというより敵の隊列に鉄砲を向けてべべべーんと撃つものである pic.twitter.com/ufaUJwVPRA

2024-04-20 11:15:21
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照門がついたり標尺装置がついたりしたけど、これは大して変わらないままアメリカの南北戦争までやる この時代は軍隊に演習場などなく、年間60発も撃つことがない(年間60発も打てるのは世界一お金のあった英国の精鋭だけ)そんで演習も中隊以上の部隊を動かすものがあまりできず、こう、タイヘン pic.twitter.com/xl6Unu40o5

2024-04-20 11:26:01
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いきおいまあなんだ 標尺装置の扱いを知らなければ、正しい照準を知っているとも限らない 地獄か? まあ概ね地獄 pic.twitter.com/p1QtGZRUGI

2024-04-20 11:30:37
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さて、このころヨーロッパでは鉄砲に面白い革新が入った 鉄砲は伏せて射撃を迅速にできるようになったのだ 伏せて撃つとき、銃口は実用上地面とゼロで計算して差し支えない つまりは小銃は弾道を全て活躍できるようになった pic.twitter.com/GlJHePsIK9

2024-04-20 11:54:54
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ここに村田単発の弾道の表がある 黒色火薬の末期あたりの鉄砲の性能なんかだいたいどこでも変わらんのでコレで実用上差し支えなく遊べる表だ 立射の場合銃口は地面と140cmくらいのところにある そして兵隊は割とアホの子なので(この時代軍隊は兵隊の性能に期待してない)、標尺を一度決定したら pic.twitter.com/KmQjbSMsOx

2024-04-20 11:58:47
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標尺装置は濫りには変えられない アホの子なので アホの子なので さて、銃口が地面から140cmの位置にあって標尺を300mにとるとき 兵隊の立姿は概ね150cm位と見なされる そうするとどこかで弾丸が敵の立姿を飛び越す瞬間がある こうなると弾道の全てを活かせていないということになるのだ

2024-04-20 12:03:34
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

伏せて撃つとき、300mに標尺をとれば相手が立って移動する場合300m以内の全ての距離でそのシルエットの下際をめがけて銃を水平にして撃つだけで当たる (理論上は) 伏せて撃つことの一般化だけで有効射程がチョット伸びる とても効果的に鉄砲が扱えるようになるのである pic.twitter.com/WhDzKrxJRg

2024-04-20 12:09:19
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ということで(距離がそれなりにある場合アホの子でも標尺を変えることができないこともないので)単独兵の独立射撃の場合、その性能は村田単発の場合以下のように著される  なんか気がついたかもだ そう、単独歩兵の独立射撃の限界は現代の鉄砲とも変わらないなと そう、変らないワニな pic.twitter.com/6KZ3eeyCqI

2024-04-20 12:16:36
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さて、散兵 散兵とはどんなふうに見える? こんな感じだ まず感想を述べてほしい pic.twitter.com/2XfzCBY64J

2024-04-20 15:01:15
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遠くの隊列も見えるんだな、という感想を抱いてくれたら嬉しい 隊列を目掛けて撃つのがこの時代の部隊戦闘射撃である この頃は散兵と言っても中隊長の号令の届く範囲でしか戦争をしないのでこのように遠くの散兵線が容易に発見できる それを目掛けて照尺を取り、射撃することができるとされたのである

2024-04-20 15:16:01
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

さらに後に無援火薬が登場して弾丸の初速が増してかつ口径を小さくした これによって弾道は更に低伸するようになった 例えばこれが村田連発銃であるが、照尺を500mにとっても立姿兵を飛び越すことはほぼなくなり、600mまでも『近距離』と言われるほどの進歩に至る しかも銃は弾倉を有するようになり pic.twitter.com/nEpXKBwYrg

2024-04-20 15:28:57
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その火力は大きくなった これにより歩兵は2000m以内の目標を撃てるようになった 当時は大砲はまだ駐退器というものがないので撃てば反動でゴロゴロ下がってしまう 次の射撃をするために砲を元の位置に押し出して、狙いをつけ直して、撃つ それは頻度が高い作業であるため砲は軽量でなければならない pic.twitter.com/kBEQ9PsArh

2024-04-20 16:02:40
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日露戦争のときの軍事雑誌で大きなトピックとして扱われたのが野砲まで無煙火薬となったことであった つまりそれ以前は野砲は黒色火薬や褐色火薬であり、発砲のたびに大きな爆烟を上げた その爆烟目掛けて、あるいは砲の少し向こうに見えるであろう大砲輓馬目掛けて射撃をすれば砲手を制圧できるだろう

2024-04-20 16:14:21
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

事実日露戦争の頃では射距離1100m程度のところの露助の砲兵を歩兵大隊の集中射撃で追い払うのに成功したことがある 露助のこれは駐退器がなかったわけではないが、機能性の不適切がありそのメリットがまだ活かせていなかったのである それが活かせる大砲は日露戦争の後まで普及しない pic.twitter.com/0u0Sw4pqvO

2024-04-20 16:18:59
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Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

最近競馬を見始めたふよよわも多いだろう 競馬は1マイルくらいのレースが多く、そして馬が疲れすぎないようにしつつ位置取りであるとか色んな駆け引きがあって見ていて楽しい さて軍馬は乗っているものが競馬の騎手より重たくてさらに武装している そして襲撃して離脱するための力も残さねばならない

2024-04-20 16:23:35
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

勢い余程の条件でなければ襲撃は1000メートル以内でおこなわれるものである(例外もある) 乗馬目標の高さは概ね2m半である ここに三十年式の射撃表などがある 三十年式の場合標尺を600mに選びあれば、600m以内で騎兵のシルエットの下際を狙い撃てばこの乗馬目標のシルエットを飛び越すことがない pic.twitter.com/wx80Fv1h90

2024-04-20 16:28:03
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先も云うように騎兵の襲撃は長くても1000m程度の見積もりであるから、理論上その襲撃の全ての距離で小銃は有効に脅威となり、部隊にその白兵を届かせることなく破砕できると当時の歩兵射撃の教材に著された 騎兵に対抗する密集の方陣はこの頃には廃れ、散兵の銃火によってこそ騎兵を粉砕するのである

2024-04-20 16:34:24
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

このとき小銃は万能であり、その威力は闊大であった しかし、時代はすぐに小銃を引きずり下ろす 大砲は駐退器の普及によって砲身だけが退却するようになった 砲をいちいち転がす必要がなくなったから重たくなってもいい 防楯をつけても差し障らなくなった さらに駐退器によって砲の位置は保持される pic.twitter.com/rTNvdqZGFB

2024-04-20 16:48:57
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砲の位置が保持され、狙い直しを一発ごとにすることなく、数発にいっぺん狙い直しをすれば続けざまに狙った地帯に砲弾を投げ込むことができる 強力な砲弾と無煙火薬による大射程化と爆煙の低減により砲兵は歩兵を撃ち滅ぼせるようになった 日露戦争のように小銃でそれを追い払うことはできなくなった pic.twitter.com/RckLXRNgJI

2024-04-20 16:54:16
Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

防楯つきの大砲に小銃弾は効かないのである そのための防楯なんだから仕方ないね さらに別の新兵器も普及するそれはベルト給弾圧倒的強いライフル…ではない pic.twitter.com/7Nrj4a9j5F

2024-04-20 17:02:36
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Wolfgang・Gottenberg【残余一万八千八百文字】 @C11katao

それは機関機関銃であった 機関銃は小銃弾を散布する兵器としては小銃よりも最適であり、遠距離でも強い なぜなら銃は十分に重たく安定した三脚架に保持されており、狙い直しをする頻度が少なく決められた範囲にずっと弾を散布する事ができるのだ 遠い目標になれば機関銃のほうが小銃に優るのである pic.twitter.com/QTTUVwr4oy

2024-04-20 17:06:59