しろちち氏によるナウシカ考察、上人編の続き、ナウシカの内なる虚無、世界の秘密

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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

城と各国歴史、提督業等を嗜むお兄さん。TLとサークル「異端審問官城」にてビザンツ&金沢城研究・ナウシカ考察を展開中。 BOOTH⇒shirochichi.booth.pm メロブ⇒melonbooks.co.jp/circle/index.p…

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今宵の漫画版 #ナウシカ 考察は上人編の続きで、ナウシカの内なる虚無が「わしたちは同じもの」と言ったことの意味を掘り下げてみたいと思います。実はそこには期せずして、この世界の「秘密の核心」に迫るものがあるのですが…以下順に見ていきましょう。 pic.twitter.com/mXv05NJvqP

2024-02-23 21:02:52
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前回考察した通り、死を救済と捉える「虚無」vs.それに生の肯定を以て否定・対決するナウシカの内面は、生と死を対置し、後者を否定する点で「どう生きるべきか」を見失いかねない危険があり、それは実際の上人自身の在り方とはかけ離れていました。 twitter.com/shirochichi070…

2024-02-23 21:06:58
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とすると、上人が「虚無」として立ち現れるのは、ナウシカ自身の問題が大きいと言えそうです。もう一度、ナウシカの上人への反駁を読んでみましょう。彼女は上人に対し「違う、私の信じる神は生きろと言っている。私は生きるのが好きだ」と返しています。 pic.twitter.com/RIVabLsWgc

2024-02-17 19:08:11
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その点では、ナウシカの虚無としての上人像はあくまで「虚像」であり、虚像としての上人の語り(≒ナウシカにおける内面化)と「虚無」の囁きが同じになるのはある意味当然と言えます。どちらもナウシカそのものなのですから。ですが、ここで考えたい「虚無=上人」はこれとは別の観点となります。

2024-02-23 21:09:22
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

再度、上人がナウシカに語った内容を見てみましょう。上人は「土鬼の祖先が奇跡の技をシュワの地下に封印し、それを神聖皇帝が解いてしまった」と語っています。ですが、これは実態ー世界浄化計画の核として墓所に奇跡の技が残されたーとは真逆です。 pic.twitter.com/DGlk1vqvxf

2024-02-23 21:15:48
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これは寧ろ、以前考察したように、土鬼王権側のプロパガンダー墓所のパペットでしかない王権の実態を糊塗する演出としての「封印」という虚構ーに沿ったものであり、いわば土鬼王権(と墓所の合作)による「虚無」の産物です。 twitter.com/shirochichi070…

2024-02-23 21:18:26
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ここで特に興味深いのが、前ツイの1枚目、「上人さま」が語る「シュワの封印」で、ここでは恰も墓所に封印されていた超技術を土鬼皇帝が能動的に復活させたように言及されています。墓所に依存して超技術を提供「してもらう」(そしてパフォーマンス的に「封印」を宣言する)実態とは真逆なのです。

2023-12-01 22:05:18
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

何より上人が語る「世界は浄化の過程にある」という教え自体が明らかに墓所ー或いは墓所の知識を元に土鬼王権が組み立てた信仰教義の中に位置づけられるものでした。 pic.twitter.com/TZjBiYKKok

2024-02-23 21:25:44
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ですが、こうした信仰教義は実際には人々に「虚無をはびこらせ」、来世での救済≒厭世願望と現世絶望を深めるだけでした。ここにもまた、上人にまつわる「虚無」が存在します。 pic.twitter.com/ewy38CZtpb

2024-02-23 21:31:48
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以上の点からは、上人の語りや信仰は、図らずもナウシカの内なる虚無が語る様に「同じもの=虚無そのもの」から生まれ出ているという、割とえげつない姿が見えてきます。では上人の語ったこと・存在は無意味なのか?といえば、然に非ざるところが本作の魅力であります。

2024-02-23 21:36:13
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

ナウシカは墓所と対峙して語ります。「王蟲のいたわりと親愛は虚無の深淵から生まれた」と。そしてまた「どんなきっかけで生れようと生命は同じ」「いのちは闇のなかのまたたく光だ」とも。 pic.twitter.com/anZR2XVrSY

2024-02-23 21:40:51
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即ち、ナウシカにあっては、たとえ虚無・欺瞞に源があろうとも、そこから生まれる真実・光はあり、それはその「ルーツ」故に否定されるものではない、となる訳です。生・希望/死・虚無の対置構図からは決して生まれてこない、一種の「止揚」があると言えます。

2024-02-23 21:43:55
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

そしてそれは、自らの信仰に対し「違う!私は生きるのが好きだ!私は諦めない!」と反駁したナウシカを肯定も否定もせず、「永く待った甲斐があった、優しく猛々しい風が来た」とあるがままに受け止めた上人の姿勢にも通じます。 pic.twitter.com/F4xoQKus2O

2024-02-23 21:47:24
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しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

その意味で、ナウシカは(大海嘯による絶望とそこからの復活と言う試練を経る必要があったとはいえ)上人の「教え」を受けた弟子であり、シュワの墓所という最終決戦の場で、その真価を発揮した…と見ることが出来るのですが、いかがでしょうか。

2024-02-23 21:49:33
しろちち@C103日曜西け28b委託 @shirochichi0707

今回の考察はこんなことこで。以下宣伝。これまでのナウシカ考察総集編を下記BOOTHとメロブで絶賛頒布中ですので、ご興味のある方は是非。なおBOOTHの方には総集編Ⅰ~Ⅴの電子版もあります…! BOOTH shirochichi.booth.pm メロブ melonbooks.co.jp/circle/index.p…

2024-02-23 21:50:37