金塚貞文自慰論三部作読書メモ集

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荒木優太 @arishima_takeo

手とか、物などによる性感帯への摩擦刺激を、自慰する人は、意味のない物理的な力として経験しているわけではなく、それを性的な空想世界の使者として経験しているのである。by金塚貞文『オナニスムの秩序』74

2024-04-14 15:35:16
荒木優太 @arishima_takeo

「結論として、娼婦とは、性的なものでしかあり得ない存在であり、そのかぎり、自慰者の空想のパートナー=自分の手と同じ存在であり、それ故、買春とは、自慰の延長であると言ってかまわないだろう」(金塚貞文『オナニスムの秩序』105)。うーん、そうかなあ?

2024-04-14 16:10:08
荒木優太 @arishima_takeo

私の記憶が正しければ、純文学の世界で女性器を表わすとき「スリット」や「割れ目」の時代があった。いまだとあまり使われない気がするが、あの隆盛はどこを頂点にいつから消えたのか。メモ。

2024-04-14 16:22:21
荒木優太 @arishima_takeo

自慰が、萎えた私が、学生運動という形で明確な政治的主張をもち、社会的行動たり得たことは、幸運であったし、逆に、学生運動は、そんな「私」たちの深部にまで関ることによって、あれほどラジカルになり得たのではあるまいか。by金塚貞文『オナニスムの秩序』167

2024-04-14 17:37:53
荒木優太 @arishima_takeo

金塚貞文『オナニスムの秩序』読了。自慰論のなかでは評判の高い三部作のうちの第一作。メルポンで押すあたり、時代だなあと思った。いや、面白かったですよ。続編も読む。

2024-04-14 17:40:26
荒木優太 @arishima_takeo

オナニーとは、いわば透明プラスチックでできた自律身体が、欲情(身体の偶然性のことをそう呼ぶことにしよう)で曇らされないようにするための自己浄化作用――禊ぎ――である。by金塚貞文『オナニズムの仕掛け』30

2024-04-23 14:03:00
荒木優太 @arishima_takeo

「先に、ポルノが鏡、それも単なる鏡ではなく、裏からも見えるマジック・ミラーであると言ったのはこの意味である。私はビニ本の女の子の裸身を見つめ、同時にその女の子から見つめられながらオナニーするのである」(金塚貞文『オナニズムの仕掛け』48)。なんか深いこと言ってるような気もする。

2024-04-23 14:09:11
荒木優太 @arishima_takeo

18世紀のオナニー有害論を、フーコーを援用しながら知と権力の新たなる侵犯として描き出すのを認めたとしても、ならば、オナニーは医学的に無害であるだけでなく精神衛生上メリットしかない的なオナニー有益論もまた、医療化・健常化を通じた生権力の発現として読むべきではないか。メモ。

2024-04-23 14:17:13
荒木優太 @arishima_takeo

「フーコーの権力論を、何でもかんでも権力なのだと曲解し、それをもって、反核や反原発運動を揶揄するどこそこかの知識人とは何たる違いであろうか」(金塚貞文『オナニズムの仕掛け』71)。これって吉本隆明?

2024-04-23 14:27:59
荒木優太 @arishima_takeo

「例えばの話、オナニーをじっくり人一倍長く愉しみたいからといって、ビデオの回転を遅くしたり、短時間ですませたいからといって、倍速にしたりして、ビデオを愉しむことができるだろうか」(金塚貞文『オナニズムの仕掛け』138)。ここの議論はとても面白い。

2024-04-24 12:13:48
荒木優太 @arishima_takeo

タイパ批判言説は、10秒送りと倍速再生を一緒くたにしがちだが実は全然違う操作なんだよな。現代のアダルトビデオ鑑賞においてもタイパ論がはびこっているかどうかは知らないが、その受容論(なにを再生しているかではなくどういうふうに再生しているか?)は研究しがいがあると思う。

2024-04-24 12:18:10
荒木優太 @arishima_takeo

なんか拡散してるので宣伝しておきますね。私のオナニー本こと『サークル有害論』を買ってください。読んで「ムズすぎ! こんなん著者のオナニーだろ」って言いましょう。よろしくお願いします。 amazon.co.jp/%E3%82%B5%E3%8…

2024-04-24 19:45:42
荒木優太 @arishima_takeo

金塚貞文『オナニズムの仕掛け』読了。前作よりもずっと遠くまで進んでいてすごい。視聴覚メディアの発達にともなって、自慰するという消費的態度に留まらず、自慰させるという生産的(?)文化の開花は、今日のSNS世界と一直線につながっている。いまこそ再読されるべきだと思う。

2024-04-24 12:26:04
荒木優太 @arishima_takeo

自慰に対応できないほどの自慰イメージの氾濫が常態化したとき、人の性意識はどのように変化するのだろうか。「アイドルとは、オナニー・イメージのストックの場から、オナニーそのもののストックの場となるのだ」(p79)という一節はマルクス主義的にもなにか重要なことを言っている気がする。

2024-04-24 12:29:59
荒木優太 @arishima_takeo

男根はオナニズムの器官となり、オナニズムが世界制覇の戦略となる。オナニズムは挿入を目的としないが故に、もはや勃起は男根にとって本質的なものではなくなる。勃起に代わって、女の肉体を情報として処理する能力、それが男根に不可欠の本質的能力となるのだ。by金塚貞文『オナニスト宣言』118

2024-04-25 00:17:22
荒木優太 @arishima_takeo

「課題とすべきはむしろ、性的存在の引き受けではなく、性的存在からの脱却ではあるまいか。「性の解放ではなく、性からの解放」が、「労働の解放ではなく、労働からの解放」とパラレルに主張されるべきなのだ」(金塚貞文『オナニスト宣言』153)。ふーむ。

2024-04-25 00:31:15
荒木優太 @arishima_takeo

金塚貞文『オナニスト宣言』読了。うーん、こっちはあまり買わない。フーコーに依拠しながら性的欲望がイデオロギー装置で、要するに歴史的な産物にすぎないとする。さらに、情報社会下のオナニズムの徹底によって性からの解放され、すべての差別を根絶しなければならない。

2024-04-25 00:42:37
荒木優太 @arishima_takeo

オナニズムの徹底がなぜ性からの解放に結ばれ、性への耽溺に堕さないのか。デリダ的なオリジナルなきコピーが、アウラ喪失に帰するからかもしれないが、ベンヤミンでだってアウラの代わりにショックがでてきたわけであって、本物らしさが残存するだろと率直に思う。

2024-04-25 00:46:14
荒木優太 @arishima_takeo

この辺の議論、面倒だから、人間もまた生物学的条件に縛られているのだ、と一言で終わらせればいいと思う。フーコー援用の悪癖かもしれないが、なんでもかんでも相対化すりゃいいってもんじゃねえだろ。

2024-04-25 00:48:42
荒木優太 @arishima_takeo

どうでもいいけど、「本質」の対義語として当てられているのが「現象」で、時代だな、って思った。いまだと確実に「構築」だよな。

2024-04-25 00:50:56