heisoku著『ご飯は私を裏切らない』（2020）における希望の置き方

tricken（まだ術後だるい週末研究員） @tricken

『ご飯は私を裏切らない』Web連載は断片的に追っていたが、単行本は読んで辛くなりそうなのが怖くて積んでいた。でも141ページのここ、わずかな希望を描いていて少しだけ安堵した。 pic.twitter.com/BqIsdQ5bnC

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heisoku. 2020. ご飯は私を裏切らない. KADOKAWAコミックエース/KADOKAWA. amzn.to/3UB5P9w グルメ漫画のフリはありつつ、固有の魅力を放つのは義務教育からドロップアウトしてしまい実家も頼れない一個人が派遣で食い繋ぎつつ生き延びることを目指す detail の克明さだった。

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同作者の続編では、精神疾患を長らく患って青年期を闘病で過ぎ去らせてしまった女性が定時制高校で年下の子達と学ぶ様子が描かれたが（2023年『春あかね高校定時制夜間部』）、『ご飯は〜』の方はメンタルによるデバフの存在はオミットされている（マスコット侍の幻覚が見えるのは精神疾患かもしれない

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いや雇用保険と国民健康保険と自立支援制度があれば抑鬱と適応障害の治療薬が提案されていそうな様子は多々語られているが、国保に加入できているか、病院に積極的に行っているか怪しいところが怖い。 pic.twitter.com/3PabmcAOs4

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48ページ。中卒の学歴とは別に、学習履歴は中1すぐで止まっていることが明かされる。これがあっての最終話で算数ドリル💯が一つの感動ポイントになるが、なぜ不登校になったかは明かされない。家庭環境や経済状況への言及は薄く手掛かりが少ない。 pic.twitter.com/cZR4qyjiFG

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75–6。大検とは別に、短大専門学校の特修生制度を紹介するところ、著者の福祉への目配せがあるというか、（おそらく当人ないし近しい人の）学歴による階層移動や自助的ライフコースについて調べた来歴があることを感じさせる。苦しい話が多いが、著者はあくまでこの主人公に希望の道を垣間見せている。 pic.twitter.com/n495ztnf53

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もう少し露悪的な終わり方をすると勝手に思い込んでいたが、著者はのちの『春あかね』含めて、苦境は詳細に描くが希望がないと断言するわけではない（むしろどちらかといえば希望がある、ないし希望を置く）作風だった、という気づきがあった。『春あかね』の後の新作も楽しみです。

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単行本未収録話がしれっとWeb公式側にあった。web-ace.jp/youngaceup/con…

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Web公式ページの惹句が「ご飯を食べて、思考を止めて、現実から目を背けよう――。」だったのだけど、最終的には現実を直視して対策まで打ち出そうとする瞬間さえあったので、文字通り受け取ってはいけないマンガだった。

セルゲイ @nippon_sergei

@tricken この作者まだ執筆続けてたんですね！！ 「春あかね〜」知らなかったので買います！

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@nippon_sergei 春あかねもよかったですよ！　試し読みはこちらからどうぞ。web-ace.jp/youngaceup/con…