紗羅香執筆『聖夜・６　成就』 #sarassSP

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『聖夜・６　成就』 #sarassSP

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その日の夜。パーティーの準備も整い、招待客が次々と大広間に集まる。もちろん、ギニュー特戦隊もザーボンもいた。だが、彼がまだ来ていなかった。「おい、ザーボンはどうしたんだよ」室長が副店長に訊いた。「それが…」と、副店長は答える。　#sarassSP

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「不手際があったらしくて、宇宙船の到着が遅れているんだ…」小声で話したのだが、聞こえたらしい。「ええっ？マジかよ！」と、後ろから驚く声がした。振り返ると、店長が立っていた。「オレがあの星飾りを壊したから…」店長は沈んだ顔で言った。 #sarassSP

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「お前のせいじゃない。それに、わざと壊したわけじゃないだろう？」副店長が慰めるも、店長は浮かない顔のままだ。と、そこへ「ジース！何をしている！早く持ち場に戻らんかっ！」と、料理長の激が飛んできた。「は、はいっ！」店長は大慌てで、その場を離れた。 #sarassSP

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二人は、走り去る店長の後ろ姿を見ていたが、「大丈夫かぁ…？」と、室長が言った。「うーん…かなりマズいな」副店長は渋い顔をした。「王子も…だろ？」「ああ…」そう言ったきり、二人とも押し黙ってしまった。 #sarassSP

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パーティーが進むも、王子は一向に姿を現さなかった。主催者である王子が不在であることに、会場はざわめき始めた。『ザーボン王子がいらっしゃらないな…いつお見えになるのだろう』『どうしたのかしら？』『お身体の具合がよろしくないのでは？』そんな声が囁かれていた。 #sarassSP

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会場の様子を窺っていた副店長と室長は、「こりゃあ、無理矢理にでも連れてこないとな…」と言った。顔を見合わせる二人に、聞き覚えのある声が聞こえてきた。「誰を無理矢理に連れてくるんだ？」「えっ？」見ると、到着が遅れていたザーボンだった。 #sarassSP

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「全く。仕方のないヤツだな…」話を聞いた兄は、険しい表情を浮かべた。「王子は私が呼びに行く」と言い残し、その場を立ち去った。兄を見送った二人は、これから王子の身に起きる事を想像する。 #sarassSP

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「…落ちるな」「ああ。間違いない」と言葉を交わしていたが、突然、副店長が叫び声を上げてツリーを指差した。「あれを見てみろよ！」 #sarassSP

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その頃。王子は、まだベッドの中にいた。相変わらず溜め息は止まらない。「このまま寝ちゃおうか…」と呟いた時だった。急に扉が勢いよく開く。「おい！いつまで拗ねているんだ！」「っ！！兄さん！」ガバッと飛び起き、久しぶりに見る兄の顔を眺めた。 #sarassSP

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「主催者であるお前が出席しないでどうする！」兄はベッドへ近づくと、布団を引き剥がした。「早く着替えろ！」「だ、だって…星飾りが…」「そんなことより、招待客に挨拶もしないとは…王子としての自覚が足りんぞっ！」「星飾り…」「くどいっ！」 #sarassSP

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しばらくの間、押し問答が続いた。が、やはり兄の方が一枚上手である。結局、王子は正装させられ、パーティー会場へ連れて行かれた。 #sarassSP

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ツリーの上には、金色に輝く星飾りがあった。それを見た店長も驚く。「あ、あれ？何で？」星飾りは、彼が触れる前と寸分変わらぬ姿で煌めいていた。王子が店長に問う。「これは…どういうことだ？」「さ、さぁ…オレにもさっぱり…」予想外の出来事に驚く二人に、兄が言った。 #sarassSP

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「私が飾った」「ええっ？」更に驚く二人。「ど、どうして…」王子の質問に、兄が答える。「私の部下に、お前と同じ地球マニアがおってな…」と、兄は話を続ける。「仲間がいて嬉しかったらしい。お前に渡して欲しいと、その星飾りを預かったのだ。珍しい物なのだろう？」 #sarassSP

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王子は兄の顔をじっと見る。「ここへ着いた時、ツリーの上に何も無かったのでな。勝手に飾らせてもらった」兄は店長を見て言った。「まさか、壊れた星飾りと同じ物だったとはな…」「兄さんっ！」王子は兄に飛び付いた。「コ、コラッ！抱き付くなっ！」「ありがとう！嬉しいよ！」 #sarassSP

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「礼なら部下に言ってくれ。私は届けただけに過ぎん」「でも嬉しいよ！」王子の願い。それは、この『幸福』の星飾りを兄に見せること。常に極限状態にいる兄に、どうしても見せたかったのだ。 #sarassSP