@lohas_ice きょう未明リコリスはサイレントヒルを出発し、野を越え山越え、十里はなれた此(こ)のラーメン大陸にやって来た。
2012-01-05 21:24:47@lohas_ice このフカヒレたんは、村の或る律気な牛肉を、近々、花婿(はなむこ)として迎える事になっていた。結婚式も間近かなのである。リコリスは、それゆえ、花嫁の胴体やら祝宴の御馳走やらを買いに、はるばるラーメン大陸にやって来たのだ。
2012-01-05 21:29:00@lohas_ice 。先ず、その品々を買い集め、それから大陸の大路をぶらぶら歩いた。リコリスにはキチガイの友があった。†すけ†(邪)である。今は此のラーメン大陸の市で、二組をしている。
2012-01-05 21:30:51@lohas_ice そのマジキチを、これから訪ねてみるつもりなのだ。久しく逢わなかったのだから、訪ねて行くのが恐怖である。歩いているうちにリコリスは、まちの様子を怪しく思った。ラーメンくさい。
2012-01-05 21:32:15@lohas_ice もう既に日も落ちて、まちがラーメンくさいのは当りまえだが、けれども、なんだか、ラーメンのせいばかりでは無く、市全体が、やけにくさい。コリコリなリコリスも、だんだん不安になって来た。
2012-01-05 21:33:53@lohas_ice 路で逢った若いメンマをつかまえて、何かあったのか、二年まえに此の市に来たときは、夜でも皆がラーメンをかぶって、まちはチャルメラで賑やかであった筈(はず)だが、と質問した。若いメンマは、ビチビチして答えなかった
2012-01-05 21:35:17@lohas_ice しばらく歩いてもちだ(キチ)に逢い、こんどはもっと、語勢を強くして質問した。もちだは答えなかった。リコリスは両手でもちだのからだをゆすぶって質問を重ねた。もちだは、あたりをはばからない低声で、大きく答えた。
2012-01-05 21:36:41@lohas_ice 「ここたすは、人を殺します。」 「なぜ殺すのだ。」 「邪気を抱いている、というのですが、誰もそんな、邪気眼を持っては居りませぬ。」 「たくさんの人を殺したのか。」
2012-01-05 21:37:39@lohas_ice 「はい、はじめは麺達さまを。それから、御自身のラ王を。それから、カップヌードルさまを。それから、カップヌードルさまのカレーヌードルさまを。それから、麺職人さまを。それから、賢巨のスパ王を。」 「おどろいた。国王は乱心か。」
2012-01-05 21:40:28@lohas_ice 「はいそうです。麺を、信ずる事が出来ぬ、というのです。このごろは、麺下の固さをも、お疑いになり、少しく派手な麺打ちをしている者には、麺質一束ずつ差し出すことを命じて居ります。御命令を拒めばコンロにかけられて、殺されます。きょうは、六麺殺されました。」
2012-01-05 21:42:35@lohas_ice 聞いて、リコリスは激怒した。「呆(あき)れたここたすだ。食わせて置けぬ。」 メロスは、単純なリモコンであった。買い物を、背負ったままで、のそのそここたす城にはいって行った。
2012-01-05 21:43:35@lohas_ice たちまちリコリスは、巡邏(じゅんら)の麺に捕縛された。調べられて、メロスの懐中からはフォークが出て来たので、騒ぎが大きくなってしまった。メロスは、ここたすの前に引き出された。「ンンンンンッ!!?このフォークで何をするつもりであったか。言え!主足ください」
2012-01-05 21:45:05@lohas_ice 狂人ここたすは叫び、けれども欲望を以て問いつめた。そのここたすの顔はCP不足により蒼白で、眉間の皺は、刻み込まれたように深かった。 「市をここたすの手から救うのだ。」とリコリスは悪びれずに答えた。 「エッーーー!?(高音)」ここたすは、憫笑(びんしょう)した
2012-01-05 21:47:22@suke317 。「仕方の無いやつだ。おまえには、私の孤独がわからぬ。」 「言うな!」とリコリスは、いきり立って反駁(はんばく)した。「人のCPを疑うのは、最も恥ずべき悪徳だ。ここたすは、麺の受け攻めをさえ疑って居られる。」
2012-01-05 21:48:32@lohas_ice 「疑うのが、正当の心構えなのだと、私に教えてくれたのは、おまえたちだ。人のCPは、あてにならない。麺は、もともと粉のかたまりさ。信じては、ならぬ。」ここたすは落着きなく、ほっと溜息(ためいき)をついた。
2012-01-05 21:49:58@lohas_ice 。「私だってぇ、平和を望んでるねん!!??」 「なんの為の平和だ。自分のCPを守る為か。」こんどはリコリスが嘲笑した。「罪の無い麺を殺して、何が平和だ。」
2012-01-05 21:51:10@lohas_ice 「だまれ、股間の者。」ここたすは、さっと顔を挙げて報いた。「口では、どんな清らかな事でも言えるじゃん?わしには、人の腹綿の奥底が見え透いてるねん。おまえだって、いまに、ラーメンになってから、泣いてわびたって聞かないで。」
2012-01-05 21:52:37@lohas_ice 「ああ、ここたすはマジキチだ。萌えているがよい。私は、ちゃんとチキンラーメン作る覚悟で居るのに。命乞いなど決してしない。ただ、――」と言いかけて、リコリスは足もとに視線を落し瞬時ためらい
2012-01-05 21:53:36@lohas_ice 、「ただ、私に情をかけたいつもりなら、麺にされるまでに三日間の日限を与えて下さい。たった一人のフカヒレに、亭主を持たせてやりたいのです。三日のうちに、私は村で結婚式を挙げさせ、必ず、ここへ帰って来ます。」「まじで!?」とここたすは、高音で低く笑った。
2012-01-05 21:55:21@lohas_ice 。「とんでもない嘘を言うんやな。逃がした麺が帰って来るというんか?」 「そうです。帰って来るのです。」リコリスは必死で言い張った。「私は約束を守ります。私を、三日間だけ許して下さい。フカヒレが、私の帰りを待っているのだ。
2012-01-05 21:56:55@lohas_ice そんなに私を信じられないなら、よろしい、この市にすけという二組がいます。私のキチガイの友人だ。あれを、人質としてここに置いて行こう。私が逃げてしまって、三日目の日暮まで、ここに帰って来なかったら、あの友人をボイルして下さい。たのむ、そうしてもいいよ。」
2012-01-05 21:58:11