クラシックの和声とPopのコードの考察

和声 と コード について考察をしている方がいらっしゃったので、 軽くまとめました。
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tadzio @tadzi0

さて… これは、いつか連ツイせねば と思いつつ放ったらかしていたのだが… 〝和音〟の話。 フォローして頂いている方にポピュラー畑の方が結構いらっしゃるようだし、音楽理論を学んだことのない一般の方は たぶんコードネームは知っていてもクラシックの和声理論はご存知無いだろうし…

2012-01-07 00:54:38
tadzio @tadzi0

…ということで、ヴァルテッリーナをチビチビやりながら、クラシックとポピュラーの〝和音の考え方〟の違いと 夫々のメリット/デメリットについて、だらだら書いてみようと思う(寒いけど…)。

2012-01-07 00:58:23
tadzio @tadzi0

[和音1]クラシック(和声)とポピュラー(コード)の考え方は、ごく基本的な部分を共有しているだけで、まるっきり違う。全く別のもの と考えた方がいい。以後 前者を[C] 後者を[P]と記す。

2012-01-07 01:03:45
tadzio @tadzi0

[和音2]共有しているのは「3度の積み上げ」(3度 とは3度音程のこと。音程とは二つの音の高さの隔たりのこと。同音が1度)という最も基本的な部分のみだ。「根音」の3度〜5度 と積み上げて和音を作るのだが、その「根音」の選択から 枝分かれしてゆく。

2012-01-07 01:09:48
tadzio @tadzi0

[和音3][P]では、先ず任意の根音が選択される。その根音上に如何に(如何なる音程で)3度5度を積み上げるかが「M,m,dim,aug」で決まっている。任意の「根音」上に決まり通りに3度5度を積み上げることで、〝三和音〟が作られる。

2012-01-07 01:15:46
tadzio @tadzi0

[和音4][C]の和声理論は、先ず「調」ありき。特定の「調」(長調,短調 の二種が 夫々12ある)が選択され、その「音階音」が〝三和音〟の構成音となる。つまり、調(例えば D-dur =ニ長調)→音度(例えば V =音階の第5音)を根音として三和音が作られると、D-durのV度、

2012-01-07 01:26:12
tadzio @tadzi0

[和音5]…D-durのV度、つまりa-cis-e(a-c#-e)という三和音になる訳だ。この三和音は[P]なら「A」とただ一つの記号にしかならない。が、[C]では「調」を基に和音を考えるため、全く同じ三和音である「D-durのV度」が「A-durのI度」になったり、

2012-01-07 01:34:49
tadzio @tadzi0

[和音6]…「cis-moll =嬰ハ短調 のVI度」になったり、はたまた「e-mollのドリアのIV度」になったり「gis-mollのナポリのII度」になったりする訳だ。ややこしい。が、この「ややこしさ」が重要なのだ。これは、後述。

2012-01-07 01:40:19
tadzio @tadzi0

[和音7]話を少し前へ戻すが… [C]では、先ず「調」ありき、その音階音を基に三和音を作る、のだが、短調の「基になる音階」を「自然短音階」に置くか「和声的短音階」に置くか、二つの考え方がある。主に 前者は仏系 後者は独系といわれ、日本では 和声の理論書は前者が一般的になったが、

2012-01-07 01:47:18
tadzio @tadzi0

[和音8]…楽典の本では 後者で書かれていることがある。どちらにもメリットはある、が 例えば 前者でブラームスの和声を説明するのは難しい。日本の音楽の専門教育の主流が 大きく独系から仏系へ推移したため。

2012-01-07 01:52:00
tadzio @tadzi0

[和音9]さて、 [P]では ある和音を唯一の記号で特定できるのに対して、[C]では「何調か」によって 記号が多数存在して、ややこしい。 が、これは、[C]の理論が、夫々の和音の有機的な関連性を基に 高度な体系を構築する為の 必然的な ややこしさ、なのである。

2012-01-07 01:59:16
tadzio @tadzi0

[和音10]…例えば、音楽が転調によって、幾つかの調を渡り歩く、というケースを考えてみる。[C]では、ある特定の和音が 夫々の調の和声的機能ごとに変貌する様を把握できる。ある特定の和音を ある調の枠組みの中で働かせつつ、且つ転調による区分を超えた その和音の働きも 俯瞰できる。

2012-01-07 02:10:17
tadzio @tadzi0

[和音11]それに比べると[P]では、夫々の和音の有機的な関連性が 希薄にならざるを得ない。「コード進行」で 複雑で高度な体系を構築するのは、無理がある。

2012-01-07 02:17:53
tadzio @tadzi0

[和音12]また[C]には、「通奏低音(保続音のことでは無い)の時代」から「和音の時代」へ受け継がれた〝転回〟という考え方がある。基本的には「どの構成音がバスか」だから、それなら[P]にもある。が、[C]では、夫々の転回形の用法から 配置 声部進行まで、理論化されている。

2012-01-07 02:26:38
tadzio @tadzi0

[和音13]和音相互の有機的な関連性を高度に体系化した[C]の理論からみれば、[P]の「コード進行」は、はっきり言って 幼稚だ。 しかし[C]には、欠点もある。先ず「和音の種類」に鈍感になる可能性がある、という点。

2012-01-07 02:32:08
tadzio @tadzi0

[和音14][P]では、任意の根音上に「如何に」3度5度を積み上げるか が、三和音の基本のキ。つまり「和音の種類」は根源的だ。 それに対し[C]では、まず「調」ありき の為、その調の中での機能が基本のキであって「和音の種類」に対する感度があまり重要視されない側面がある。

2012-01-07 02:39:08
tadzio @tadzi0

[和音15]また [C]は、「調」という体系に強く拘束されているため、それを駆使できるレベルにならないと、和音の自由な発想が し難いかもしれない。その点[P]は、コード進行に関する理論が希薄な為、「勘」で 自由に発想できる(?)かもしれない。

2012-01-07 02:45:51
tadzio @tadzi0

[和音16]今日的に見た双方の欠点は、「3度の積み上げ」の呪縛にある、と言えるだろうか。 [C]には、「和音の時代」以前の「対位法」の理論の蓄積があるし、19世紀末から和声理論の拡張や新しい様々な試みが為されて来た。 [P]の方がむしろ「3度の積み上げ」の呪縛が強いかもしれない。

2012-01-07 02:56:19
tadzio @tadzi0

[和音+]さてと… 所謂「テンションコード」についての、[C]と[P]の考え方や用法の違い、対位法由来の考え方〜現代のソフト・クラスター云々 まで書こうかな?と思ったのだけれど… また、そのうち~…

2012-01-07 03:01:25