バイオリン名器の音色、現代モノと大差なし?…なわけない。

こういう底の浅い実験に意味がないことがなぜわからないのだろうか。楽器の真価がちょこっとの試演でわかるなら楽器選びなんて誰も苦労しないよ バイオリン名器の音色、現代モノと大差なし?http://t.co/pfXWiLI7
2012-01-04 16:36:24
一応書いておくと、楽器ってのは、使っていくうちに奏者の体も変化していくものなのです。それを「楽器に慣れた」「この楽器の鳴らすコツをつかんだ」という感覚で表現したりしますが、感覚以上に奏者の肉体も物理的に変化しているのですね。
2012-01-04 23:23:27
例えば、今自分が使っている18Kの大変グレートな楽器。これを廉価版の普及モデルの他社製品にパッと持ち換えても、かなりな程度「現在の楽器と同じ音」がします。ですが、それをもって廉価版で十分、あるいは「楽器じゃない、腕だ」という単純な結論に達するかというとそれは違っていて(続く)
2012-01-04 23:26:35
廉価版の楽器で半年、一年と本番を繰り返すうち、いつのまにか少しづつ「廉価版の楽器の音」になっていきます。そして、数年後、今度はパッと18Kのグレート楽器を吹いても、「廉価版の音」がしてしまうのですね。これは、奏者の感覚以上に微妙な筋肉や神経のバランスなどが変化しているせいなのです
2012-01-04 23:29:41
つまり、本当に良い楽器、あるいは相性のいい楽器というのは、文字通り奏者を「育てる」力があるのです。いっときの試演奏で楽器の真価が判断できない理由のひとつがまずこれです。
2012-01-04 23:30:57
特に、大ホールでよく響くスケールの大きな楽器はしばしば、小さな部屋での試演ではノイジーでガサツな音に感じられるときがあります。私自身、比較的小さな部屋で何本も楽器を試してみて、それを本番で使ってみたら全く印象が逆になったことも珍しくありません。
2012-01-04 23:38:45
また、楽器は「シビアな本番の現場」で何度も何度も使ってみなければ決してその本性を明らかにすることはできません。本番にはさまざまな条件があります。ホール(あるいはサロン、スタジオ)の響き、温度湿度、曲想、楽器編成・・・
2012-01-04 23:34:17
例えば、私が勤めているオケで丁度の音色が、同じ曲、同じホールであったとしても、他社にエキストラで行ってみたところ、全く違う結果が出る、などということも奏者なら当たり前に知っている、よくあることですし、
2012-01-04 23:46:18
同じ音量でも、さまざまな楽器と溶けやすい、あるいは立ちやすい音色というのが存在します。これもあらゆる場面でいろいろなケースがありますので、試して結果を分析するのには時間がかかります。
2012-01-04 23:44:43
少なくとも、今回の実験では、そういう経験の少ない若手(なにせコンクールを受けに来るような世代)が、短時間で、本番でもない緩んだ場面でソロで楽器を試して「良し悪し」を判断しているわけで、その信憑性、というより実験の設定自体にムリがあると思うわけです。
2012-01-04 23:49:58
また、演奏は無伴奏ソロを除いていつも誰かと一緒に演奏するわけですが、このときのイメージというのも実際使ってみないとなかなかわからないのが本当です。例えば一人ではとてもおおらかでよく響く音が、オーボエとユニゾンになってみたら突然オーボエの音に消される部分が多くなってしまう、とか
2012-01-04 23:42:28
とはいえ、いくらなんでも弦楽器の値段はボリすぎだとは思いますが・・・何か値を下げるきっかけが欲しい人が裏で動いていたりするんでしょうかね?
2012-01-05 00:11:33