3.11被害の状況と性質、そしてその構造的な問題(標葉隆馬先生)

標葉隆馬先生のブログ http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/ 続・被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/281262 被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/215844 震災と格差(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/232845
復興 震災 格差 科学技術社会論
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
東北三県被害状況概要アップデート(1月12日データ版)  http://t.co/qWcQUK7d
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今から、ただ今執筆中の原稿のためのメモもかねて、震災・原発事故等について連投をします(またその内容は同時並行的にブログにまとめていきます)。連続ツイートになるので、悪しからず。。。(続く)
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(承前) 尚、今からの内容は、早稲田の田中幹人さん(@J_Steman)さんのグループとの議論や共同でやっている調査を背景にしております。ということで、以下、連投
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今回の3.11複合的災害は、地震・津波・原発事故という異なる性格を持った被害とリスクが入り混じっている。しかし、一つ必要な作業としては、被害の状況と性質、そしてその構造的問題を把握すること。それは今後の復興を考える上でも一助となると考えている。議論の足しになれば幸いである(続く)
しねはさん@がんばらない @r_shineha
まず主な被災地である東北3県の人的被害・建物被害の状況を確認しておく(2012年1月12日までに自治体が公表したデータに依拠)。東北三県だけで16000人を超える方が亡くなられ、数多くの建物被害、また経済面への被害がでている  http://t.co/FEX2KxA5
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これらの甚大な被害、まだまだ続いているという認識が全ての議論のスタート地点になる。(例えば写真は2011年11月時点での野蒜の瓦礫集積所)。  http://t.co/3dRVePWx
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瓦礫の山や丘は津波被災地の各所で見られ、まだまだ進んでいない。また破壊されたままになっている場所も数多い。(例えば写真は11月時点での宮城の野蒜駅)  http://t.co/5gzae24E
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地震と津波の甚大な被害に加えて、原発事故が事態をいろんな面で厄介にしている。先ほどあげた東北三県被害概況でも分かるように、多くの避難者がいる状況。図は福島県における県内・県外避難者数の推移(推定)   http://t.co/x4Ul0zpq
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o0(但し、避難の問題については、仮設住宅の問題などは忘れてはならない。。)
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繰り返しになるが、今回の複合的災害は、被害範囲と被害の種類が広範囲に渡ることが特徴だが、場所によってその性質は全然異なること、またいずれにせよまだまだ多くの問題や課題が残っていること、現在進行形の問題であることは忘れてはならない。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
さて、ここで被害の状況とそれを巡る背景にもう少しだけ立ち入ることにする。その際の私の最初の問いは、特に大きな被害に見舞われた地域は一体どのような場所だったのか?ということ。そこで、ひとまず雑な調査だけれど、特に津波の被害に注目して各自治体の経済状況と人的・建物被害の割合を調べた
しねはさん@がんばらない @r_shineha
ここには、リスク社会論で言われるような階層や階級に応じたリスク分配の不平等構造の話が念頭にある。阪神大震災の時に、生活保護受給者の死亡率が兵庫県平均の5倍にもなったという話も嫌な話だが想起せざるを得ない。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
具体的なデータに移る。この図は、東北三県沿岸部37自治体の人的被害の割合(人口に対する死者の割合)と一人当たり市町村民所得(自治体の総所得を人口で割ったもの:事業所所得も入るので、あくまで自治体全体としての所得の指標)。  http://t.co/6fsjHKXz
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
次は、各自治体の人的被害率と建物被害率をプロットしたもの(自治体名の下は一人当たり市町村民所得(千円))。当然というと嫌な気分になるが、高い相関関係にある。では、特に被害の大きかった地域はどのような地域背景をもっていたのか?  http://t.co/u5bUQBAH
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
先にアップしたデータでは、一部の比較的財政に恵まれた自治体(残念ながら福島の原発立地自治体であるが、これらを巡る構造的問題はひとまず置いておく)がデータを見にくくしているので発電所というインフラの無い東北沿岸部の自治体に絞ったデータを今から二つほどアップする。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
(非原発立地地域における)人的被害割合と一人当たり市町村民所得  http://t.co/LGEA4mZ2
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
(非原発立地地域における)住宅被害割合(半壊+全壊)と一人当たり市町村民所得   http://t.co/gbeS1faG
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
なお、これらの二つのデータの傾向は別の財政指標(自治体の財政指数)で取っても同じ傾向になる。勿論、また津波の高さなどの影響もあると考えられるが、(観測地点によって異なるものの)分かる範囲での津波の高さや浸水面積割合といったデータでは被害と明確な相関は見出しにくい所もある(続く)
しねはさん@がんばらない @r_shineha
(承前)しかし、津波の浸水範囲概況にかかる人口割合と死亡率の間には高い相関が認められる(自治体名の下は、一人当たり市町村民所得(千円))  http://t.co/npCHnKM4
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しねはさん@がんばらない @r_shineha
これらの結果から、少なくとも、被害の大きかった自治体は相対的により経済的に脆弱な地域であったということが分かる。経済的な脆弱性がそのまま被害の原因に直結するとは限らないが、一つの重要な背景にあったとも考えられる。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
シンプルにまとめすぎではあるが、災害の被害/リスクの大きさはハザードの大きさと被災地域の社会的脆弱性による(e.g. Wisner 2004)。災害の被害を考える際には、社会構造上の問題、地域が抱えてしまっている脆弱性に目を向ける必要がある。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
また被害の大きかった地域では、浸水地域の面積における人口密集度が大きいことも、被害のあった地域の状況の一面を表している。
しねはさん@がんばらない @r_shineha
被害の大きさと自治体の産業構造・年齢構造には、次の傾向にあることが分かる(相関が高い)。「第一次産業従事者が多い自治体ほど被害が大きく、高齢者が多い自治体ほど被害が大きく、第一次産業/高齢者が多い自治体ほど財政的に貧困である」 
しねはさん@がんばらない @r_shineha
今回の被害の裏には、被災地域(第一次産業地域)における高齢化と貧困の問題があると言える。また実際に、今回の東日本大震災で亡くなられた方のおよそ65%が、60歳以上の方であった(内閣府2011防災白書) http://t.co/GYoM4IHd
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コメント

順三朗 @junzabroP 2012年1月19日
長田区の例をあげていましたが、あそこは木造の非常に小さく家屋が密集していて消防車も入れないような地域が多く、そのままの形での再開発が不可能であり、地権者にもその資本は無かったものと思われます。
しねはさん@がんばらない @r_shineha 2012年1月19日
kei_sadalsuudさん、まとめていただきありがとうございます。
しねはさん@がんばらない @r_shineha 2012年1月19日
頂いたコメント、重要な側面をいくつか含む点と思います。例えばトップダウン的な再開発がなければどうだったか、(少なくとも今のような形の)復興もできなかったのではないか?という問いは、おそらく一面の真理であり、非常に重いものであり、事態の難しさを示していると思います。また地権者にもその資本はなかったというのもおそらく多くの場合事実でしょう。
しねはさん@がんばらない @r_shineha 2012年1月19日
しかし一方で、災害とそこからの復興・再開発を機に土地や家といった資本、地域にどういう形で流れて行ったのかは問い続ける必要はあると思います(勿論、復興しないで、そのままでよかったなどというつもりはありません。念のため)。しかし、従来より住んでいた人の少なからずが長田を出ていくことを余儀なくされたという事実はやはり重いと言わざるをえません。実際、阪神震災前後の長田で居住を続けられた層の多くは「持ち家」があった層とみられています(例えば、まとめ中にあげた参考文献でも言及されています)。今回の震災でも復興の過程で
sivad @sivad 2012年9月21日
ネットでは津波の話は原発より少なかったですが、比較的沿岸部に住んでいた私の周辺ではこの一年圧倒的に津波の話題が多かったです。賃貸でも引っ越しが相次ぎ、一年たたずに上下両隣がいなくなりました。その後私も越しました。津波に対する意識を論じるのであれば、沿岸部の住宅状況などを調査すべきでしょうね。
sivad @sivad 2012年9月21日
あとですね、一次産業って産業の性質として、もともと沿岸部に多いということはありませんか。おそらく長くそこで暮らしを営んできた方が多くて、貧しくなったから危険な沿岸部に移ってきた、というケースは少ないのでは。もしそうなら、格差が居住地を決めたのではなく、産業が居住地を決め、一次産業の衰退に伴って結果的に格差が生じたということになると思います。
しねはさん@がんばらない @r_shineha 2012年9月21日
@sivad 様 ありがとうございます。話題の関心については、今回はあくまでメディア上での言論傾向に注目しております。本のほうで詳しく述べている事柄ですが、ここまでにやってきた分析では、地方紙まではきちんと把握できていません。あくまで中央メディアとネットの分析というバイアスがかかっています。
しねはさん@がんばらない @r_shineha 2012年9月22日
@sivad 様 また、地域と一次産業の関係の詳細については、歴史的な検討が不可欠であり、ここではそれが欠けております。そのため、例えば、最近出た本の中では、因果関係について論じるというよりも、あくまでどのような地域が被災地になってしまったのか?ということの記述にしています。ただ、すでにあったある種の格差、そして今回の被害における格差が今後どのような展開を生んでしまうのか、という危惧はありますが・・
sivad @sivad 2012年9月22日
お返事ありがとうございます。津波の話題に関して、中央メディアとネットのバイアスというのは非常に大きなものではないかと思います。津波リスクを被るのは主に沿岸部の住民ですし、また原発事故対策と違って専門知識が少なくとも内地に引っ越したり避難経路の確認などは可能ですので、被曝防護政策のようにネットで議論することも少ない。堤防の整備は自治体ごとに違うので、ネットの話題になりにくい。などなど。したがって、「災害初期一か月程度において、地震・津波の話題は原発に呑まれてしまった」は早計かと。
sivad @sivad 2012年9月22日
また、歴史的な検討が欠けているのであれば、「本当の意味で震災からの復興やら対策を講じ」ているとはいえないでしょう。地方における「格差」や「貧困」の問題も、それぞれの歴史的経緯があります。それらを見落とさず、切り捨てないようお願いしたいと思います。
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