3.11被害の状況と性質、そしてその構造的な問題(標葉隆馬先生)

標葉隆馬先生のブログ http://d.hatena.ne.jp/r_shineha/ 続・被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/281262 被災地から(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/215844 震災と格差(標葉隆馬先生) http://togetter.com/li/232845
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しねはさん@がんばらない @r_shineha

貧困層、高齢層が災害の被害者、災害弱者になりやすいといったことは阪神淡路大震災をめぐっても度々指摘されてきた事柄であるが、今回においてもそうであった。そして、これらは、日本社会における格差の問題に繋がっている。

2012-01-18 01:39:22
しねはさん@がんばらない @r_shineha

被災地をめぐる被害と経済の格差の問題と復興を考えるにあたり、それらを取り巻く問題については、(これも様々な方が度々言及されていることだが)阪神淡路大震災における長田区の事例が教訓を与えてくれると考えられる。長田は、阪神震災において最も多くの全焼建物が出てしまった地域 (続く)

2012-01-18 01:42:13
しねはさん@がんばらない @r_shineha

震災後、奇跡の復興を遂げたと言われる長田であるが、その復興と再開発の陰で見過ごされて切り捨てられてしまったものは何かを見ることは、今回の震災を考える上で重要な視座を与えてくれる。まずは、長田区における人口の推移を見てみる。  http://t.co/CpqNxvVY

2012-01-18 01:45:06
しねはさん@がんばらない @r_shineha

震災直後、十三万人台だった長田区の人口は九万人代まで減少している。そして、その後、少し回復するが再び減少し、現在までに十万人を少し超えるくらいの規模で推移している。ではこの減少した人口は一体どういう層であったか?

2012-01-18 01:47:23
しねはさん@がんばらない @r_shineha

長田区全体の調査ではないが、例えば、田中・塩崎(2008)による神戸市長田区卸菅西地区の人口動態追跡調査の結果によれば、1994年に長田区卸菅西地区に居住していた382世帯の内、震災後の1995年にはその8割にあたり308 世帯が転出している。

2012-01-18 01:50:15
しねはさん@がんばらない @r_shineha

また田中・塩崎(2008)によれば、現在においても世帯数は震災前の半分程度にとどまっており、しかもその内の約6割にあたる117世帯が地区外からの転入。震災以前から震災以後においても同地区に居住を続けている世帯は震災以前の2 割程度。

2012-01-18 01:51:27
しねはさん@がんばらない @r_shineha

田中・塩崎論文は次のURLから見れる(PDF) http://t.co/u3YbZyOy

2012-01-18 01:55:05
しねはさん@がんばらない @r_shineha

岩崎らによる長田区の鷹取東地区における事例調査においても、震災前の同地区6町内の総世帯数が669世帯であったのに対し、震災後4年を経過した1998年2月点において震災前と同じ地域において生活を再建できた世帯は161世帯と、元の3割に満たないことが報告されている(岩崎ほか1999)

2012-01-18 01:56:27
しねはさん@がんばらない @r_shineha

岩崎ほか(1999)「激甚被災地における住宅再建の現状と課題:阪神大震災4年目の復興区画整理事業: 鷹取東地区の事例."」 (PDF) http://t.co/1JAW977j

2012-01-18 01:58:52
しねはさん@がんばらない @r_shineha

要するに、長田区の事例では復興の際の再開発において、貧困層の排除が発生してしまった。復興に伴う都市計画において、その恩恵が元からの住民にきちんと行きわたるわたるではない一つの事例と言える。復興に際しては、このような都市計画・復興計画に伴うインパクトに注意しなければならない(続く)

2012-01-18 02:01:14
しねはさん@がんばらない @r_shineha

都市計画が持つ政治性については、ラングドン・ウィナーが「人工物の政治性」において論じている問題だが、(意図せずにせよ・意図的にせよ)トップダウンで実行される都市計画と復興計画が持つ(持ってしまう)政治性については注意して見ていきたい。

2012-01-18 02:04:02
しねはさん@がんばらない @r_shineha

今回の震災において、一つの底となる問題は、「格差」であることは今までに述べた通り。被害格差、経済格差、復興格差といった様々な格差の問題が見えてくる。しかし、もう一つ今回の震災で重要な側面として、「情報格差」がある。

2012-01-18 02:05:33
しねはさん@がんばらない @r_shineha

ここで言う「情報格差」というキーワードを巡っては、二つの問いを提起するもの。①「今回の災害において生じてしまった情報弱者とは誰か?」、②「震災・原発事故をめぐる情報の中で生じた話題への関心の集中・格差はどういうものか?」

2012-01-18 02:07:43
しねはさん@がんばらない @r_shineha

①「今回の災害において生じてしまった情報弱者とは誰か?」については、被災地について調査したデータは持ち合わせていないが、総務省による「平成22年度通信利用動向調査」にあるデータが一つの側面を強く示唆していると考えられる。 (PDF注意) http://t.co/pfxF4hzv

2012-01-18 02:10:28
しねはさん@がんばらない @r_shineha

今回の震災・原発事故においては、既存のマスメディアに加え、ブログやWebマガジン、TwitterやFacebookなどのネットメディアが情報の流通に大きな役割を果たした。しかし、総務省の調査を見ると、特に後者のネットでの情報収集・利用については、以下の傾向が見られる。(続く)

2012-01-18 02:12:43
しねはさん@がんばらない @r_shineha

総務省データから見える傾向、①高齢者になるほどネット利用率が落ちる(H22年末調査でh、60-64歳では70.1%、65-69歳では57.0%、70-79歳では39.2%、80歳以上では20.3%)

2012-01-18 02:16:48
しねはさん@がんばらない @r_shineha

総務省データから見える傾向、②低所得世帯におけるインターネット利用率が低い(二百万未満では63.1%、200~400万では68.6%、一方600万以上は軒並み80%を超えている)

2012-01-18 02:16:58
しねはさん@がんばらない @r_shineha

総務省データから見える傾向、③地域別ネット利用率を見た際、(東北三県内でも格差があるが)首都圏や関西都市圏に比べて利用率が低い。特に岩手は低い傾向にある。

2012-01-18 02:18:37
しねはさん@がんばらない @r_shineha

以上3つの事柄、①高年齢層ほどネット利用率が低い、②低所得層ほどネット利用率が低い、③大都市圏に比べ東北地方は全体的にネット利用率が低い、これらの事柄と、先までに示した震災被災地域の社会構造や被害の大きかった年齢階層を考えると、今回の災害弱者が同時に情報弱者でもあったと想像される

2012-01-18 02:21:08
しねはさん@がんばらない @r_shineha

いずれにせよ、この複合的災害において生じた情報弱者への視点は、情報流通、ジャーナリズム、コミュニケーション、いずれの視点においても必要不可欠になるものと考えられる。

2012-01-18 02:23:28
しねはさん@がんばらない @r_shineha

そして「情報格差」を巡るもう一つの側面 「震災・原発事故をめぐる情報の中で生じた話題への関心の集中・格差はどういうものか?」。一つは、こちらのデータがシンプルだけど示唆的。朝日新聞:地震・津波・原発キーワード登場比率の推移  http://t.co/uzaWimqn

2012-01-18 02:28:05
しねはさん@がんばらない @r_shineha

またキーワードネットワークを時系列に描いてみたものをみると、次のことがわかる。①最初の一週間は情報が整理されずとにかく投げ込まれていた状況、②時間にそって話題が整理されていく、②地震・津波・原発に関する話題は緊密なネットワークを形成していたが1月半ほどで分かれはじめる (続き)

2012-01-18 02:30:53
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(承前)これについては、こちらのブログにデータをアップしている。 http://t.co/QbzZwonS

2012-01-18 02:32:00
しねはさん@がんばらない @r_shineha

これらのデータや、早稲田の田中さん@J_Stemanさんが集めているデータなどを見ても、震災発生後直後の1月の間において次のことは言えそう。「災害初期一か月程度において、地震・津波の話題は原発に呑まれてしまった」。(続く)

2012-01-18 02:34:16
しねはさん@がんばらない @r_shineha

(承前)このことは、災害があぶり出し、且つ裏に抱えていた様々な問題を見えにくくしたかもしれない。この傾向はネットメディアにおいても総じて同じであった。このことは、災害があぶり出し、且つ裏に抱えていた様々な問題を見えにくくした可能性がある。また、社会におけるアジェンダ構築の問題でも

2012-01-18 02:35:34