Azar Gat "A History of Military Thought" から、エンゲルスに関して

まだ途中。後で続きを投下します。
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名無し整備兵 @seibihei

「彼がこの時まだクラウゼヴィッツの「戦争論」を読んでいないことも書かれている。しかし彼のナポレオン戦争研究について著述を進めていくと、エンゲルスがこうした戦史研究の多くに以下のような(何故か決して引用されない)評価を与えていることが分かる。」

2012-01-11 00:07:53
名無し整備兵 @seibihei

「最終的な分析において、こうした戦役にはジョミニが最も上手い説明を与えている。多くの良いところはあるのだが、私にはあの『生まれながらの天才:クラウゼヴィッツ』がどうしても好きになれない。」

2012-01-11 00:08:34
名無し整備兵 @seibihei

「ジョミニはエンゲルスの往復書簡において圧倒的に多く引用されている軍事の大家であり、ジョミニの弟子であるリュストウが2番目の座を占めている。しかしエンゲルスのクラウゼヴィッツに対する敬意について我々に説明している多くの書物では、この不利な事実については何ら関心を払ってはいない。」

2012-01-11 00:09:12
名無し整備兵 @seibihei

「全ての根拠となる有名なマルクス-エンゲルス往復書簡の取り扱いにおいても、研究者達はその最初の部分について何も言わず見逃している。(決して引用されないが)最初の書簡はマルクスからだった。」

2012-01-11 00:12:06
名無し整備兵 @seibihei

「トリビューン紙とサイクロペディア編集部からの矢の催促について触れつつ、彼はエンゲルスにこう書いている。「私は”ブリュッヘル”という題で8枚の原稿を送った。”ナポレオン戦争におけるシレジア軍”という副題がつくものだ。(続く)」

2012-01-11 00:13:06
名無し整備兵 @seibihei

「クラウゼヴィッツやらミュフリングやらを読むのに随分時間を食ってしまったので、何らかの埋め合わせを求めるつもりだ。」エンゲルスのよく引用されるコメントはこれに応えたもので、マルクスへ送った通信文の終わりに、彼の上達とサイクロペディアの項目に関する問題について論じている部分である」

2012-01-11 00:13:54
名無し整備兵 @seibihei

(エンゲルスの返信)「私は今、とりわけクラウゼヴィッツの『戦争論』を読んでいる。変わった手法による哲学的研究だが、それ自体は大変良い。戦争の科学を術と呼べるかどうかの問題だが、彼によれば、何よりも戦争は商業に似ている。(続く)」

2012-01-11 00:15:08
名無し整備兵 @seibihei

「(続き)戦争における戦闘は、商業における現金決済のようなもので、現実にはまれにしか起こらないとはいえ、全てはそれに向けられるべきであり、究極的には実行し決定的に遂行できるよう決心しなければならない。」

2012-01-11 00:15:36
名無し整備兵 @seibihei

「明らかに、クラウゼヴィッツの書を賞賛しつつ、彼は他の『戦争論』読者と同様、クラウゼヴィッツのあいまいな知的離れ業の意味も目的も理解していないことを示している。これ以前も以後も、エンゲルスはマルクスの興味を引きそうな分野での衒学的な部分を、友人のために抜き出している。」

2012-01-11 00:17:23
名無し整備兵 @seibihei

「マルクスはこの手際の良さを気に入った。彼はこのように返信している。「私はブリュッヘルの項を書いているとき、多かれ少なかれクラウゼヴィッツを読み込んだ。・・・彼はウィット(Witz)に似た常識を持っている。」」

2012-01-11 00:17:54
名無し整備兵 @seibihei

「これらの文章を捕らえた研究家は、一般的に二つの罪を犯している。ドイツ語の”Witz”はいくつかの矛盾した意味を含む広範な内容を持ち、英語の”Wit”とほぼ同じような意味になる。」

2012-01-11 00:18:55
名無し整備兵 @seibihei

「幾人かの研究者はこの最も自然な英語の同意義語を使っているのだが、他の研究者は、このマルクスのコメントが決定的な真剣さに欠けるように見られると心配したのか、読者にとって解釈の余地の無い語句を選んでいる。最近のマルクス-エンゲルス全集は”Witz”を「独創的な」と訳している。」

2012-01-11 00:19:25
名無し整備兵 @seibihei

「別の大家は「明敏さ」としている。いずれも語彙的には可能だが、先入観の混じった翻訳である。さらに、研究者達は一般にマルクスの賛辞が、「ブリュッヘル」の項を書いているときに「読み込んだ」であろうクラウゼヴィッツの著作全体に向けてなされたものだ、とみなしている。」

2012-01-11 00:20:17
名無し整備兵 @seibihei

「実際には彼のコメントは、エンゲルスが「戦争論」から引用してくれた上手い考えに対して直接向けられたものに過ぎない。マルクス自身は「戦争論」を読んだことは無い。」

2012-01-11 00:20:49
bouninng @bouninng

@seibihei 「クラウゼヴィッツのあいまいな知的離れ業の意味」とは、具体的に言葉にするとどのようなものになるのでしょうか?

2012-01-11 00:24:07
名無し整備兵 @seibihei

@bouninng ガットの本からの引用ですが、具体的にどれ、というのは示されてません

2012-01-11 00:25:49
名無し整備兵 @seibihei

「「ブリュッヘル」の項を書いていたときも、マルクスはクラウゼヴィッツが1812~15年の会戦について書いた戦史関連の書物しか参照していない。どう考えても、こうした戦史書にはクラウゼヴィッツが「ウィットに似た常識」を持つ者だというマルクスの評価を引き出すものは存在しない。」

2012-01-11 00:33:12
名無し整備兵 @seibihei

「彼がそうした戦史書をどう評価したかについては、既に引用した1857年10月31日付の彼の書簡で明らかである。」

2012-01-11 00:33:25
bouninng @bouninng

@seibihei アザー・ガット氏の「A History of Military Thought」ですか、ありがとうございます

2012-01-11 00:34:17
名無し整備兵 @seibihei

「研究者達は長い間、エンゲルスの軍事に関する著作のほとんどは彼らしく”厳密に専門的”であり、マルクス主義的な解釈が事実上されていない、というむしろ驚くべき事実に注目している。彼の軍事研究の経過も、その通りである。」

2012-01-22 00:00:04
名無し整備兵 @seibihei

「彼は職業上の基礎を身につけるよう心がけており、まるで”将校任官試験を準備するように”最も伝統的な方法により系統立って研究している。したがって、彼は彼の時代において受け入れられていた軍事的権威の書物を広範に読むことになる。」

2012-01-22 00:00:35
名無し整備兵 @seibihei

「その中で、クラウゼヴィッツは確かに名誉ある地位を与えられていたが、ジョミニと彼の弟子達が至高の座に君臨しているため、主流からは外れていた。前にも述べたように、エンゲルスの著作の中での引用の多さは、エンゲルス自身が軍事的権威に与えた序列と変わり無かったわけである。」

2012-01-22 00:01:33
名無し整備兵 @seibihei

「エンゲルスによる1866年の普墺戦争の記事は、この点における古典的な例である。「マンチェスター・ガーディアン」紙上のこの知的な記事は、それにふさわしい敬意を払われている。しかしここでは、彼が他の軍事評論家と全く同様に状況を誤判断したという事実は残った。」

2012-01-22 00:02:12
名無し整備兵 @seibihei

「彼は完全に勝ち馬を見誤った。彼はオーストリアの優勢を信じ込み、プロイセンの予備役兵を士気が低く訓練が行き届いていないと評価した。動員後、特に交戦開始後、彼はプロイセン軍が最も神聖たるべきナポレオン-ジョミニの原則に違反したことに衝撃を受け、当惑した。」

2012-01-22 00:03:35
名無し整備兵 @seibihei

「「プロイセンの若い士官候補生が、将校任官試験において、プロイセン軍がボヘミアに進攻する最も安全な案を尋ねられたとしよう。また、その若い将校が、『最良の案は軍勢を均等に二つに分け、片方は大山脈の東から迂回させ、もう片方をその西から迂回させ、ギッチンで合撃する』」

2012-01-22 00:11:37