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北の渡り鳥が南のお花にちょっかいかけたよ
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@fooko1204 耳に触れた感触に体をひく。「――いただけませんわ、」 「もらう、理由が、……ありませんもの」箱の中からひやりと伝わる空気は、知らない国のものだ、私のしらない、どこかの国を閉じ込めたそれだ。「大切な、ものなんでしょう?」
2012-01-21 23:30:14![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu そっと肩へ手を触れ、僅かに引き寄せる。「俺が持っていても、輝きを曇らせてしまうだけだろうからな」精一杯、慣れぬ笑みを浮かべ、「貴公のような方に貰っていただける方がその花も喜ぼう」そっと、花のような女性の髪を撫でる。
2012-01-21 23:38:05![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 「わ」 目線より上から落ちてくる声音に体がこわばる。どうしたんだろう、いつもと違う感じがする。「私には、似あいませんわ」
2012-01-21 23:50:22![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu ああ、どうすべきか。怖がらせてしまったのだろうか。安心させようと、髪を梳くように頭を撫でる。「……大丈夫。ユーリ殿になら、きっととてもよく似合う」貴女はとても美しいのだから。そう、小さく呟く
2012-01-21 23:57:03![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 「そうではなく、あの」「街のしがない本屋が持つには荷がかちすぎていると、」姉上、との言葉が残る。この方が誰よりも尊敬してやまない方、その方からの贈り物だ、大切に大切にしてきたのだろう。そんな思い出を受け取ることなど。「それに」
2012-01-22 00:16:18![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 「……俺は、」僅かに躊躇う。一瞬、整った顔をじっと見つめ、……そっと、細い身体を抱き寄せる。「俺は、それを貴女に貰っていただきたいのだ」先のない俺が遺せるものとしては、これが、彼女に最も思い出として心に留めてもらえるだろうと思ったのだ。
2012-01-22 00:33:39![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 やっぱり今日のこの方は変だ。甘え方をしらないこどものようだ。しがみついてくる頭に手を伸ばし、なでる。「そこまで仰るなら」断れない。「私、あなたが口にするほどできた人間じゃありませんのに」
2012-01-22 06:56:26![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 自分に魅力がないのは十分に理解している、表面の言葉が嫌で、家を出てきたのだから。「贈り物よりも、向こうの話をしてくださいませ」
2012-01-22 06:57:43![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu このように頭を撫でられるなど、幾百年ぶりか。暖かい掌。抱き寄せる手に、思わず力が入る。「……そんなことは。俺にとって、貴女が特別な女性だから…それだけです」
2012-01-22 12:15:27![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 「なら、……私と。俺と共に、北に来ていただけないか」見せたいものは、いくらでもある。時間などいくらあっても足りない。彼女と見たいものもある。……もっと、傍にいたいと。身に余る願いだが、「あと百年、貴女に早く出会いたかった」
2012-01-22 12:15:31![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 「北」 話でしか聞いたことのない、その地に?自分が? 「私は、百年も生きれるものじゃありませんわ。」百年前の、この国はどんなものだったのだろう。そう考えるだけで、心が動くのは本当に不思議だ。「――旅行というのも、楽しそうではありますけども」
2012-01-22 21:27:13![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 「ああ、……知っている」異なる時の流れを生きていることは理解はしている。それでも。「あと百年早ければ、…俺は貴女に妻に欲しいと言えたのだが」叶わないと解っていても、そう願わずにはいられない。「旅行でも、構わない。僅かの間でも良い。北へ行かないか?」
2012-01-22 21:52:35![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 妻、と聞こえた。ああ、成程。王弟ともなると許嫁の方もいるのか、――そこまで考えて、そういうひとがいてもこの人は寂しい思いをしているのだと悲しくなる。「そうですわね、少しくらいなら」 王となった弟のことを考える。向こうではうまくやっていると、そうきいたから。
2012-01-22 23:06:37![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 少しなら。……俺は、本当にそれでいいのだろうか。これ以上望むなと、言い聞かせていただけでは。「失礼」そっと、唇を重ねる。嫌われてしまったのなら、それ構わない。美しい顔を、正面から見つめて「愛している。ずっと、貴女に惹かれていた」再び、口付ける
2012-01-22 23:51:58![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 理性と罪悪感から目を逸らして、触れるだけのキスを幾度か繰り返す。「愛しているんだ」今であれば、何度でも口に出来るだろう。「俺はあと、……10年生きていられるかわからない。それでも、貴女と共に生きたいと願っている」
2012-01-23 00:45:46![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@fooko1204 くらくらする、息ができない。抱きしめられている腕の間のやっと隙間を使って、体を離そうともがくが、上手くいかない。こんなに力強いひとだったか、それすらわからない。「――この、」 手にしていた小箱をおもいきり相手に向かって振り下ろした。 #pyx
2012-01-23 21:36:38![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu ガツン、と側頭部に鈍い痛み。思わず、抱きしめていた手を離し――赤い雫とともに、手放しかけた理性が戻る。「……あ、ああ、……すまない」ああ、傷つけてしまっただろうか。思わず、背を向ける #pyx
2012-01-23 21:46:31![](https://s.togetter.com/static/web/img/placeholder.gif)
@yotsuyu 「う、……あ、ああ」背中越しの強い言葉に、反射的に振り向く。混乱。このまま腹を切るべきか、俺は。渋々言うとおりに座り、見上げる #pyx
2012-01-23 21:56:06