もし仁美が魔法少女になるとしたら (二次小説風)
魔法少女としての「才能」ってのは、そのひとが持ってる「因果」の強さ、つまり、境遇の重さに比例するのよね。かみじょーの未来を背負い込んださやかや、父親の理想を叶えたかったあんこが強いのは当然で、「出会いをやり直したい」という内向きな願望から始まったほむ公が最弱なのは自明の理。
2012-01-22 22:39:32才能、ってのはいわゆる「基本スペック」のことだと思っている。因果が重ければ思いほど高い性能を叩き出すけど、そのぶん精神的な消耗も激しい、と。マミさんも、才能自体は、かなり低いんではなかろうか。「生きたい」という、もっとも内向きで、広がりのない願いだったから。
2012-01-22 22:43:03で、だ。設定上では、仁美ちゃんには魔法少女の才能がないらしい。「因果」をほとんど持っていないと言うことだな。なにも望まず、なにも困らず、平和な常識の中で生きている、ということだ。彼女にははっきりとした夢や願望がない、ということだ。……少なくとも、あのときまでは。
2012-01-22 22:46:20かみじょーを落とした。そこまでは良かった。宣戦布告をして、ハンディキャップを与えた上での、完全なる勝利だった。後ろめたいことはなにもなく、幸せな日々が、これからも続くとばかり思っていた。それなのに、さやかが、死んだ。自分の一押しで、さやかが、死んだ。
2012-01-22 22:50:27仁美ちゃんが、どんな気持ちでかみじょーに迫ったか。それは当人じゃあないのでわからないけれど、少なくとも、本気で、恋に挑んだのだろう。計算して計算して、人間関係を壊さず、完膚なきまでに自信の勝利を見せつける方法を、考えたのだろう。かくしてそれは成就した。友人の命と引き換えに。
2012-01-22 22:52:44飲み込めなかったと思う、事態を。こうなるとは夢にも思わなかったと思う、現実が。それでもさやかは死んだ。自分の計略の末にさやかが死んだ。仁美ちゃんは、自分が殺人を犯したと、震えながら気付いただろう。さやかを気遣って選んだ方法が、さやかのいのちを、潰してしまったと。
2012-01-22 22:57:09魔法少女の才能は背負い込んだ因果で決まる。仁美ちゃんが、友人の蘇生を願ったとき、インキュベーターは喜んで現れるだろう。「どんな願いでも、叶えてあげるよ」かくして乙女がまた一人、無限地獄におちてゆく。
2012-01-22 23:01:08仁美ちゃんの願いで生き返ったさやか。しかし彼女は生前の人格を失っていた(魔女ってパリーンしたときに魂が壊れてしまったのだ!)。名前も忘れ、友人の顔も忘れ、日本語すらも忘れたさやか。病院のベットで呆ける彼女のもとに、仁美ちゃんはあしげく通う。
2012-01-22 23:09:02空ばかり見ているさやか。一人で喋り続ける仁美ちゃん。ある日、上條がお見舞いにやって来た。やあ、と上條がおそるおそる声をかけた。ピクリとも動かなかった、さやかの顔が、ゆっくりとこちらを向いた。「きょーすけ」キョトンとする上條。仁美ちゃんに電流が走る。
2012-01-22 23:19:13人格は相変わらず崩壊したままなのに、さやかは上條にやたらとなつく。上條も、まるで猫のように甘えてくるさやかを、慈しむように優しく構う。仁美ちゃんは唇を噛む。
2012-01-22 23:22:10ある日さやかがポツンという。「すき」「きょうすけ」 ははは僕も好きだよ大好きさーなどと、デリカシーの欠片もない返答をする上條。仁美ちゃん、とうとう血管が切れる。自分が生き返らせてやったのに。正当な方法で手に入れた上條に、いまさら手出しするなんて。濁るSG。次第に呪いを振り撒き出す
2012-01-22 23:26:17とうとうさやかをぶん殴り、訳のわからないことを喚きだした仁美ちゃん。やめろと上條に遮られ、自分がリング・アウトをしたと知る。「最低ですわ……私って、最低ですわ……!」奇しくも外は大粒の雨。かつてさやかが浴びた雨。
2012-01-22 23:29:04人知れず、仁美ちゃんは死に絶えた。仁美ちゃんの願いで動いていた、まがい物のさやかの残骸は、泡になって消え失せた。空になった病室。取り残された上條。とおくのせかいで、新しく生まれた緑色の魔女が、世界と自分を呪っていた。
2012-01-22 23:35:33取り残された上條のもとにインキュベーター参上。「僕と契約して魔法少女になってよ! どんな願いでも叶えてあげるよ!」「本当かい!」「本当だよ! 僕は嘘はつかないよ!」「僕は……たい」「ワンモア」「僕は……たい」「もっと大きく」「僕は! 女の子になってちやほやされたい!!」「うわぁ」
2012-01-22 23:42:58「でも君が女の子になったら"きょうこ"になっちゃうじゃないか」「あんこちゃんはあんこちゃんだから大丈夫さ。なんなら僕が"きょうこ"になればいい!」「うわぁ」
2012-01-22 23:50:31仁美ちゃんが魔女ってヴァーヴァー言っているにもかかわらず上條があんな態度を取って、おれはもう、どうすればいいのかわからない。「やらせてるのは君じゃないキュップェエ"ェッ」どうすればいいのかわからないよ……。
2012-01-23 00:07:02と、まあ。あいだに余計なものが挟まりましたが、さやかが死んだ世界では、仁美ちゃんが魔法少女になる可能性は十分あるかと。友人の命と人生と、終わったはずの恋の勝負を甦らせて、彼女はどこに向かうのでしょうね……。
2012-01-23 00:10:59@s_kofuna (´・ω・`)ごめんね……。わたしはただ、仁美ちゃんの話がしたかっただけだったんだ。設定上、才能があると認められているさやかと、最弱と定義されている暁美さんを比べたとき、何が違うんだろうって思ったの。こじつけだから、気にしないで。
2012-01-23 21:38:15