#twnovel 9

ついのべるきゅう
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@prefab000

#twnovel 「それで、彼は  書いてたの」「そうなんだ」雨の中を歩く。傘もあるしあまり彼女の声が聴こえない。「一緒に  行こ」車が水をはじく。「聴こえなかった?」「なにが?」聴こえなかった。「聞いてくれてありがとう、また明日ね」――帰りの電車ではイヤホンをして目を閉じた。

2012-01-27 04:30:50
@prefab000

#twnovel 耳元がうるさい。私は苛立つ。手帳に日が落ちるまでの自分がどのようなものだったか、記す。だんだん物の形が変わり、部屋から知っているものが減る。「心細い」と記す。やっと床が白くなる。急いで明かりを消し布団に入る。世界の音を消すコマンド操作を知っているのは、私だけだ。

2012-01-27 03:10:16
@prefab000

#twnovel エスカレーターを昇ると白いフロアに箱がたくさん置かれていた。文字で説明があるもの、絵が描かれたもの。私はひとつ手に取った。「それは真っ白で作者不明です。よろしいですか」黙って頷き、硬貨を渡す。建物を出ると日が沈むところだった。私は足元に長い影があるのを確認した。

2012-01-26 19:56:05
@prefab000

#twnovel 部屋で小さな虫を発見した。翌日もその次も、虫がいた。自然があれば潤う、と言って友人がくれた土について、思い出した。処分について、要らないものとして置き去るのはためらわれた。公園の土に混ぜてしまおうと思ったがしかし周辺にそのようなものがないのだと初めて気付いた。

2012-01-23 17:06:55
@prefab000

#twnovel ミルクは美味しかったが、目の前の機械に表示された数字と手元の物質はどのようにすれば価値が釣り合うのか、突如わからなくなった。事態を白状するのが良いとも思えず、やむなく1枚を提出。私を脅迫した空気は次第に和やかになり「 」今度はお相手の発する音の意味がわからない。

2012-01-23 03:38:55
@prefab000

#twnovel 身体に合うサイズを、色を、探してみたけれど、鏡には見慣れない人物が映るのみ。「お気に召しましたか」「ああ、それが自分ではよくわからなくて」眼が合ったと思ったが視界が暗転する。女性は私そっくりの顔で、青いドレスを着用して立っていた。「お気に召しましたか」

2012-01-22 03:23:54
@prefab000

#twnovel 笑顔で、ファッションのことなど、話をしていた。わたしはこの人が苦手だった。わたしはいよいよ自分を信用できなくなった。わたしはこの部屋のことがよくわからない。赤い光。あれはなんだろう。赤い光。アイロンの電源を入れたままだった。私は起床した。アラームがうるさかった。

2012-01-21 01:19:52
@prefab000

#twnovel 私が暮らしている世界について説明書を作った。概要には『白と黒しかありません』と記載する。ペンを突き刺したり、補修した跡、見出しのため切り取られたページなど、世界観に相違なかった。ただ、小口の美しい白黒のグラデーションを説明できない点について、欠陥だった。

2012-01-14 04:47:46
@prefab000

#twnovel Yが書いた文章はノートの左上から横書きで始まったかと思えばがくんと下の方に続きが書かれており真ん中あたりで縦書きされ全く異なる内容になっている場合もあり「普通に書いて」と頼んだところ回答がなくしかししばらくして「寄せ書きしてるだけ」とYは言った。

2012-01-17 03:46:25
@prefab000

#twnovel 自転車置き場は閑散としており、私はこの人気のない場所をできるだけ避けたいと考えていた。奥に、放置され錆びついた自転車を発見した。「取りに来るのも嫌になったか」なんとなく鍵を差してみた。一瞬、昔の自分の影が見えた気がしたが、気のせいだった。鍵は、合わなかった。

2012-01-12 05:15:21