山本七平botまとめ/根本的な原因は「日本人の思考の型」

山本七平著「ある異常体験者の偏見」/マッカーサーの戦争観/216頁以降より抜粋引用。
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山本七平bot @yamamoto7hei

①ほとんど全ての人が指摘した事だが、日本的思考は常に「可能か・不可能か」の探究と「是か・非か」という議論とが、区別できなくなるという事であった。<ある異常体験者の偏見

2012-02-11 04:51:06
山本七平bot @yamamoto7hei

②金大中事件や中村大尉事件を例にとれば、相手に「非」があるかないか、という問題と、「非」があっても、その「非」を追及することが可能か不可能かという問題、すなわちここに二つの問題があり、そしてそれは別問題だということがわからなくなっている。

2012-02-11 05:21:08
山本七平bot @yamamoto7hei

③また再軍備という問題なら、「是か・非か」の前に「可能か・不可能か」が現実の問題としてまず検討されねばならず、不可能ならば、不可能なことの是非など論ずるのは、時間の空費だという考え方が全くない、ということである。

2012-02-11 05:51:13
山本七平bot @yamamoto7hei

④そしてそんなことを一言でも指摘すれば、常に、目くじら立ててドヤされ、いつしか「是か・非か」論にされてしまって、何か不当なことを言ったかのようにされてしまう、ということであった。

2012-02-11 06:21:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑤史上の多くの「敗戦」や「無条件降伏」を探っていくと、その原因が実は「飢え」すなわち食糧であったという冷厳なる事実に我々は気づくのである。ナポレオンの敗北は「冬将軍」によるといわれるが、その記録を見ていくとそれが「飢え将軍」でもある事に気づく。飢えはすべての秩序を破壊する。

2012-02-11 06:51:09
山本七平bot @yamamoto7hei

⑥カイゼルの最後の参謀総長フォン・ゼークトは第一次大戦を「将軍を侮辱した戦争」と呼んだ。将軍が何を命じようと参謀が何を立案しようと、兵士達は西部戦線の塹壕にへばりついていた。そしてドイツは飢えに敗れた。戦争そのものが将軍を侮辱する時代は、既に第一次大戦に決定的になっていた。

2012-02-11 07:21:15
山本七平bot @yamamoto7hei

⑦それなのに今でも、かつて「軍人勅諭」を金科玉条としたと同じように『持久戦論』を無謬論の如くに引用する人がいるということは、いわば「遅れ」の問題でなく「思考の型」の問題と考えざるを得ない。

2012-02-11 07:51:08
山本七平bot @yamamoto7hei

⑧というのは、第二次大戦において、この問題の範囲はさらに広くなり、「戦争は将軍を無視し」問題は補給だけになっていく。補給が途絶せず、飢えさえなければ、いかなる大量砲爆撃にも平然と耐えられることは、金門島がよく物語っている。

2012-02-11 08:21:33
山本七平bot @yamamoto7hei

⑨そして世界はすでにこの冷厳な事実をはっきり計算に入れていると私は思っている。 軍備とは何か、それは食糧だという事実を。

2012-02-11 08:51:16
山本七平bot @yamamoto7hei

⑩即ち兵を動かさずとも、食糧を動かすだけ或いは止めるだけで、そして必要とあらば燃料をも止めれば、それだけで一国を「無条件降伏」させうる事は既に現実の計画として立案されていると私は考えている。我々は「食糧、燃料を含めた軍備」という点で全く手段方法なき状態におかれているのである。

2012-02-11 09:21:20