山本七平botまとめ/【マッカーサーの戦争観④】/「可能か・不可能か」の探究と「是か・非か」の議論が区別できない”日本的思考”/~「食糧・燃料を含めた軍備」なき立場の日本人が思考を取り戻す為にすべき事とは~

山本七平著『ある異常体験者の偏見』/マッカーサーの戦争観/215頁以降より抜粋引用。 注)7】・8】が抜けていますが、番号の振り間違いで、ツイート抜けではありません。
7
山本七平bot @yamamoto7hei

1】確かに歴史は戦勝者によって捏造される。 おそらく戦勝者にはその権利があるのだろう。 従ってマッカーサーも毛沢東も、それぞれ自己正当化のため歴史を捏造しているであろうし、それは彼らの権利だから、彼らがそれをしても私は一向にかまわない。<『ある異常体験者の偏見』

2012-12-17 14:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

2】しかし私には別に、彼らの指示する通りに考え、彼らに命じられた通りに発言する義務はない。 もちろん収容所時代には、マック制樹立の基とするための「太平洋戦争史」などは全然耳に入って来ず、私の目の前にあるのは、過ぎて来た時日と、それを思い返す約一年半の時間だけであった。

2012-12-17 15:27:57
山本七平bot @yamamoto7hei

3】そしてこの期間は、ジュネーヴ条約とやらのおかげで、われわれは労働を強制されず、またいわゆる生活問題もなく、といって娯楽は皆無に近く、ただ「時間」だけは全く持て余すほどあったという、生涯二度とありそうもない奇妙な期間であった。 これは非常に珍しい戦後体験かも知れない。

2012-12-17 15:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

4】そして、私だけでなく多くの人が、事ここに至った根本的な原因は、「日本人の思考の型」にあるのではないかと考えたのである。

2012-12-17 16:28:05
山本七平bot @yamamoto7hei

5】面白いもので、人間、日常生活の煩雑さから解放され、同時にあらゆる組織がなくなって、組織の一員という重圧感は勿論の事、集団内の自己という感覚まで喪失し、更に或いは処刑されるかも知れないとなると、本当に一個人になってしまい、(続

2012-12-17 16:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

6】続>そうなると、全ては「思考」が基本だという極当然の事を、改めてはっきりと思いなおさぎるを得なくなるのである。 そしてほとんど全ての人が指摘したことだが、日本的思考は常に「可能か・不可能か」の探究と「是か・非か」という議論とが、区別できなくなるという事であった。

2012-12-17 17:28:01
山本七平bot @yamamoto7hei

9】金大中事件や中村大尉事件を例にとれば、相手に「非」があるかないか、という問題と、「非」があっても、その「非」を追及することが可能か不可能かという問題、すなわちここに二つの問題があり、そしてそれは別問題だということがわからなくなっている。

2012-12-17 17:57:40
山本七平bot @yamamoto7hei

10】また再軍備という問題なら、「是か・非か」の前に「可能か・不可能か」が現実の問題としてまず検討されねばならず、不可能ならば、不可能なことの是非など論ずるのは、時間の空費だという考え方が全くない、ということである。

2012-12-17 18:28:01
山本七平bot @yamamoto7hei

11】そしてそんなことを一言でも指摘すれば、常に、目くじら立ててドヤされ、いつしか「是か・非か」論にされてしまって、何か不当なことを言ったかのようにされてしまう、ということであった。

2012-12-17 18:57:45
山本七平bot @yamamoto7hei

12】収容所時代から口の悪かったKさんなどになると、「長沼判決」「再軍備是か非か」「違憲か合憲か」などという議論は、識者は憤慨されるであろうが、全く下らない時間つぶしとしかうつらないらしい。 彼の言い方はいわば伝法口調だが…その通り記しておこう。

2012-12-17 19:28:00
山本七平bot @yamamoto7hei

13】「バカは死ななきゃ治らないんだから、是か非か議論したきゃさせときゃいいじゃネエか。…アンタが何と言ったって、可能か不可能かを現時点の現実の問題としては考えないという体質は、変るわけじゃないんだから。 再軍備論?議論させときゃいいじゃないか。今は何を言ったってだめだよ。

2012-12-17 19:57:42
山本七平bot @yamamoto7hei

14】だがいつかはまた『一時』だけ目がさめるさ。 …どれだけの軍備をもったとこで、どっかの国が日本の港湾に機雷を敷設して、掃海させない程度に戦闘を継続したら、まず最初に燃料がなくなり、ついで食糧もなくなって、日本丸は数ヶ月で『アパリの地獄船』になるというだけだよ。

2012-12-17 20:28:01
山本七平bot @yamamoto7hei

15】そうなったとき、どっかの国が全面戦争の危険をおかしても、その機雷を撤去してくれるかい。 『ニャンザン』があんなに憤慨しても、中ソは動かなかったんだぜ。北ヴェトナムに対してすらそうなんだ。

2012-12-17 20:57:42
山本七平bot @yamamoto7hei

16】その現実をはっきり見ていながら、日本の場合、どっかの国が、原水爆の危険をおかしても、日本のために動いてくれると思っている人もいるのかね。きっとその時にまた『一時』だけで目をさますよ。しようがないさ、国民性だよ」

2012-12-17 21:28:00
山本七平bot @yamamoto7hei

17】非常に乱暴な議論に見えるが、それは表現であって、内容は、乱暴とはいえない。史上の多くの「敗戦」や「無条件降伏」を探っていくと、その原因が実は「飢え」すなわち食糧であったという冷厳なる事実にわれわれは気づくのである。

2012-12-17 21:57:41
山本七平bot @yamamoto7hei

18】ナポレオンの敗北は「冬将軍」によるといわれるが、その記録を見ていくと、それが「飢え将軍」でもあることに気づく。 飢えはすべての秩序を破壊する。 日本軍とてナポレオン軍とて例外でありえない。

2012-12-17 22:28:04
山本七平bot @yamamoto7hei

19】「……軍紀は全く消滅した。焚火をしている兵士たちの近くに将軍があたりに来ても、何らかの食糧をもって来なければ、兵士たちに追い払われた」と。 カイゼルの最後の参謀総長フォン・ゼークトは、第一次大戦を「将軍を侮辱した戦争」と呼んだ。

2012-12-17 22:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

20】将軍が何を命じようと、参謀が何を立案しようと、兵士たちは西部戦線の望壕にへばりついていた。 そしてドイツは飢えに敗れた。 戦争そのものが将軍を侮辱する時代は、すでに第一次大戦に決定的になっていた。

2012-12-17 23:28:02
山本七平bot @yamamoto7hei

21】それなのに今でも、かつて「軍人勅諭」を金科玉条としたと同じように『(註:毛沢東が記した)持久戦論』を無謬論の如くに引用する人がいるということは、いわば「遅れ」の問題でなく「思考の型」の問題と考えぎるを得ない。

2012-12-17 23:57:43
山本七平bot @yamamoto7hei

22】というのは、第二次大戦において、この問題の範囲はさらに広くなり、「戦争は将軍を無視し」問題は補給だけになっていく。補給が途絶せず、飢えさえなければ、いかなる大量砲爆撃にも平然と耐えられることは、金門島がよく物語っている。

2012-12-18 00:27:49
山本七平bot @yamamoto7hei

23】この小島に撃ち込まれた砲弾の総数は驚くなかれ約百万発に近い。これはちょっと想像に絶する量である。 しかし彼らは飢えないが故に平然としている。一方、シンガポールでは一門約四百発でイギリス軍は降伏した。 これは国府軍が世界最強の軍隊で、イギリス軍は弱かったということではない。

2012-12-18 00:57:40
山本七平bot @yamamoto7hei

24】日本がブキテマの水道用貯水池を押えて、給水を断ちうる状態になっただけである。 日本については言うまでもない。 そしてこういった事実を列挙せよというなら、いくらでもある。

2012-12-18 01:27:57
山本七平bot @yamamoto7hei

25】そして世界はすでにこの冷厳な事実をはっきり計算に入れていると私は思っている。 軍備とは何か、それは食糧だという事実を。

2012-12-18 01:57:38
山本七平bot @yamamoto7hei

26】すなわち兵を動かさずとも、食糧を動かすだけ、あるいはとめるだけで、そして必要とあらば燃料をも止めれば、それだけで一国を「無条件降伏」させうることは、すでに現実の計画として立案されていると私は考えている。

2012-12-18 02:27:48
山本七平bot @yamamoto7hei

27】そしてそういう時代に、われわれが生きつづけて行く道を探るという点から見ると、「長沼判決」とそれをとりまくさまざまな議論は、相当に時代ばなれがしている。 というより「可能・不可能」を算定する能力がないことを明らかにしているといえよう。

2012-12-18 02:57:41
残りを読む(7)

コメント

コメントがまだありません。感想を最初に伝えてみませんか?