恋火の魔神解体ショー③(しかにあ)

ヨツユ🌸 @yotsuyu

@9uon ランプの奥でうとうとしていた。だってニタミもお出かけしちゃうし。あたしはひとりで出歩くことさえできないんだから。うとうとしているとはっきりとした、百合のような背筋が通るような甘い声が聞こえてきた。「困ってるのよ」声の主は言う。初恋なのだ、と #シカニア

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@9uon ランプの壁にはりつき、耳をすます。「多分ね、このままだと告げる機会もなく、あきらめてしまうとおもう」 それはだめだ。いや、それしかできない場合もあるけどそれはだめだ。「相手はこの国と生きるって決めちゃってるヒトよ？勝ち目なんてないわ」だめだめだめ！ #シカニア

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@9uon 「――でも、そういうところに惹かれたのも事実」 ふっと笑ったような声音。ああ、きっとおもいだしているのだろう。大事なものを抱きかかえて、眺めるような。「けどね…色々考えたら、告げずにあきらめる密やかな恋、だなんて、性に合わないのよね」彼女は続ける #シカニア

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@9uon 「出来る事なら、知ってほしい。知ってもらったうえでなら、諦める事も平気だと思うわ」強い。まっすぐとした意志のある声。ふむ、身分差でもあるというのか。ぐるりと思考をめぐらせる。――思い当たる節が、割と浮かぶが、いやあまさか。 #シカニア

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@9uon 「出来ることなら知ってほしい」と彼女は続ける。怖いとおもわない強さにじんと胸が熱くなった。そうよね、そういう相手なら言いたくても言えないわよね、邪魔になりたくないものね。邪魔になるのは怖いわ。――彼女も、迷っているようだった。 #シカニア

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@9uon 「なんだか、踏ん切りつかなくって。困っちゃうのよね、そういうのって」そこまで言い切ってから、声の主が、言葉をつまらせたようだった。――何かを、考えてる？――何を？ ランプの口から、そわりとあたりの空気を読む。わからない、戸惑いしか。 #シカニア

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@9uon これは何の戸惑い？こんなヒトが何に戸惑うと言うの？ そわそわとした好奇心が、先だった。壁にあてていた体を起こし、思いきり壁を蹴る。 ゴトゴトと、あたしのイレモノが揺れた音が響いた。 #シカニア

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@9uon 「よばれて とびで」そこまで声にして腕をだして、気付く。だめだ。このままだと一人で空中で何もいないところにむかって飛びだすことになるいやいやいやいやそれはだめそれはだめ！！！ こほんと息をつき、そろりとランプの外にでる。改めてランプを蹴り倒すことにした #シカニア

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@9uon 人差し指をかまえて、ちちちと振る。「ざんねーんあたしはそんなのじゃないわ、もっと偉大で素敵なものよ？おとぎ話はきいたことがないかしら？ ね、素敵なお嬢さん」 #シカニア

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@9uon 「だいせいかーい！」ポンポンと花火をあげる。「うん？あなたはあたしたちにあったことあるの？あらまー」それなら最初から顔を出していればよかった( －3－) 「はじめまして、あたしはユーツィーク。砂漠の銀の指」 ついっと彼女のおでこに人差し指をあてる #シカニア

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@9uon 「そして、あなたのように迷える子羊ちゃんの導き訳よ？」 にこっ #シカニア

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@9uon 「困ってるみたいだから」 ランプを持ちあげて撫でる。「――さっきの話、とか」にこお #シカニア

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@9uon 「できれば くわしーく聞きたいんだけど、いかがかしら、クーノ」 あなたはどうおもってるの、どうしたいの？ #シカニア

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@9uon 「だってー 言えばいいじゃない？ぶっちゃけー」つんつん つんつん 「言えばいいって自分で分かってるのに、なんで言えないわけー？まったく会えないわけではないんでしょう？言えばいいって思ってるんだから」 #シカニア

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@9uon 「そーこーじゃーなーいー！」ほっぺをぶにゅってしますね。 「そうやって無意識に逸らすあたりが変だっていってるのよ！ゆっくり話せなくても話せるんでしょ？じゃあ言うタイミングはいくらでもあるし、いくらでもいえるってことだわ」 「なんで、言えないの？」 #シカニア

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@9uon 「そこだわ！」ズビシ 「そこがなんなのかをあなたは知る必要があるんだわ」 #シカニア

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@9uon 「あのひと？」 「あのひとってだーれ？」 「どんなひと？」 #シカニア

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@9uon 「助けようと？危ない目にでもあってたの？」 ともかく、顔が浮かぶような、思い当たる人物がいるようだ ふむむ #シカニア

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@9uon ふうん「宮中ってヒトいっぱいいるんでしょう？それなのにあなただけを助けたの？なんだか意味シーン」 「いくら危ないっていっても、あなた以上に危ないひともいたんじゃないかしら…… そんな中であなただけに手をのばしたの？」 #シカニア

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@9uon しゅーん 「そっかー じゃああなたは何も声をかけられてもいないのについていっただけなのかあー」 のの字 のの字 「さびしいね。ひとりで舞い上がって勝手にそわわってしてるだけなのー？それすっごくさびしくなーい？八方美人ってことじゃないそのひとー」 #シカニア

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@9uon 「期待」 ふーん 「何に どんな？」 #シカニア

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@9uon 「ちがうちがう どんな期待を想像したのかってきいてるの」 「あたしは一人ぼっちで置いてかれるの寂しいでしょ、だから数合わせにしろ嬉しいなっておもったのかなってきいたの、期待とかじゃなくって」 「なーにをそうぞうしたのかなーー( －3－)」 #シカニア

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@9uon 「別にしょっちゅう話す知り合いでもなかったんでしょう？」話すにしても、あなた以外を選ぶこともあるのが普通じゃないの、と続ける。「まあ、分からないならそれでもいいけど。――で、なんでその人が、あなたがおもいを伝えるときに浮かぶのか、だわ」 #シカニア

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@9uon 「そこが問題なのよ」 何が、とは言わない。言わなくてもクーノは多分わかっている。分かっているから確認したくて「訊く」のだ。「それを確認するのは、あたしへではないわよね？」にこっ #シカニア