【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(4巻)
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※袋担ぎ、袋下げについて
※文献を基にした概説メモ
参考文献は[1]妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、[2]『改訂 綜合日本民俗語彙 第三巻』(民俗學研究所編、株式会社平凡社、1970)、[3]『定本 柳田國男集 第四巻』(柳田 國男著、筑摩書房、S.38)、
2012-07-16 17:56:42まず「袋担ぎ」は長野県埴科地方に伝わる怪異で、夕方に隠れ鬼(かくれんぼ)をしていると神隠しをする魔であるという[1]294p、[2]1353p、[3]247p、[4]441p。
2012-07-16 17:57:11特に姿形についての言及はないが、[3]247pでは「大きな袋を持ってあるいて居る様に想像せられる」と記述されている。また、柳田國男はこうした「夕方に子供を隠す怪」についていくつか言及している[3]296-297p。
2012-07-16 17:57:20多くの土地では「隠し神」という名前だが、沖縄県では「物迷い」、丹波の夜久野では「隠し神さん」、栃木県鹿沼周辺では「カクシンボ」、東京都では「人攫い」、秋田県雄勝郡では「カクレジョッコ」、神戸市では「カクレババ」、島根県などでは「コトリゾ」、近代の例では「油取り」を挙げている。
2012-07-16 17:57:26なお、これに似た妖怪として秋田県鹿角地方は「カマスショイ(叺背負い)」、青森県では「カマスオヤジ(叺親父)」がいる。この叺背負いは背負っている叺に子供を入れてしまうのだという[4]400p。
2012-07-16 17:57:30これらの記述から、子供が行方不明になることに対して、各地でその原因となるような存在がそれぞれ想定されていたことが窺える。
2012-07-16 17:57:36次に「袋下げ」は、長野県北安曇郡大町市付近に伝わる怪異で、繁った高い木に狸が登って、その林の中を人が通ると上から袋を下げてくる、というもの[1]294p、[2]1354p、[3]431p、[4]441p。
2012-07-16 17:57:47袋担ぎは神隠しの原因とされた怪、袋下げは木の上から物がぶら下がってくる怪であり、両者は本来はまったく関係のない別物の怪異である。ただ、共通点を挙げるならばまず一つに袋が関係すること、二つ目はどちらも長野県に伝わる怪異であること、というのは挙げることはできる。
2012-07-16 17:57:57※作中との比較
『ほうかご百物語』4巻では、なぜかこの袋担ぎと袋下げが同一視され、風来坊のような格好をして、巨大な袋を担いだ狸の姿として描かれている。同一視の理由は先に挙げた2点くらいしか思い付かないけど、どうなのだろう。
2012-07-16 17:58:39さて、狸の要素はおそらく「袋下げ」によるものだと思われる。狸繋がりで信楽焼の狸のイメージから風来坊のような姿としたのかもしれない。
2012-07-16 17:58:51袋に人間を入れて存在を隠す、としているが、これは柳田國男の記述に由来するか、あるいは類似した怪異である叺背負いからの連想かもしれない。
2012-07-16 17:59:00人間しか襲わない、ということを説明するために別名が「人攫い」である、という点を先輩は持ち出していたが、これも袋担ぎを「人間を神隠しさせる怪異」の具現化だと考えれば同類であるし、納得できるかと。
2012-07-16 17:59:06あるいは、著者が[3]を参照したことがあるならば、直接的に[3]で並記されていたことが関わっているかもしれない。顕現できる時間が夕方限定であるという点は袋担ぎの伝承通り。袋担ぎと袋下げを同一視したこと以外は元の伝承に忠実といえるかな。ということで以上。
2012-07-16 17:59:09※バタバタについて
※資料を基にした概説メモ
参考文献は[1]『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、[2]「妖怪談義(妖怪名彙)」『定本 柳田國男集 第四巻』(柳田 國男著、筑摩書房、S.38)、
2012-05-30 21:48:21[3]『随筆辞典 4奇談異聞編』(柴田 宵曲編、株式会社東京堂、S.36)、[4]「全国妖怪語辞典」『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)。
2012-05-30 21:48:29バタバタは和歌山県、広島県、山口県に伝わる怪異。和歌山県では、冬の夜明け頃にバタバタという音が東から聞こえ始め、あっという間に家の前を通り過ぎて西へ去っていくという。[1]
2012-05-30 21:48:35