【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(4巻)
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といった辺りで資料を基にした概説メモとさせて頂きます(半ば主観の考察が入っていましたが)。以下、「ほうかご4巻」との比較。
2012-02-28 21:17:02まず、普通ではありえないような場所に蚊帳が吊るされている点はそのまま。進もうと思っている先に蚊帳があり、それをまくっていかないと先に進めない点も同様。
2012-02-28 21:17:11一度まくったら最後、いくら蚊帳をまくっても(三十六枚未満ではあるが)蚊帳がある、先にも後にも蚊帳がある、という状況に陥るのも『阿波の狸の話』の通り。章の最後で経島先輩が提示していた対策(気持ちを落ち着かせて三十六枚めくる)もほぼそのまま。
2012-02-28 21:17:21一点気になるのは、狸が蚊帳を吊っているわけではない、と言っている点。『阿波の狸の話』では狸が化かしているとは明言されていないので、確かにその通りだと言えますが…『妖怪事典』では何故か狸が化かしている、と言っているので、これがどこから出てきた記述なのか気になります。
2012-02-28 21:17:28『妖怪事典』以外に狸が化かしている、という記述があるならばちょっと考えなければならないかなぁ…とも思ったり。そのくらいです。ということで以上。
2012-02-28 21:17:36※二恨坊の火について
今回は『ほうかご百物語』4巻より「二恨坊の火」について。参考文献は『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、『随筆辞典 4奇談異聞編』(柴田 宵曲編、株式会社東京堂、S.36)、
2012-02-28 14:15:24※文献を基にした概説メモ
『諸国里人談』には「二恨坊火」の名で記事があり、それに拠れば二恨坊の火は、摂津国高槻庄二階堂村(『妖怪事典』に拠れば現在の大阪府茨木市二階堂に当たる)に出現した怪火で、三月から六、七月までの時期に出るという。大きさは一尺(約30cm)くらいで、家の棟や樹木の枝に止まる。(続く1
2012-02-28 14:15:39続き1)近くに寄って見れば眼・耳・鼻・口の形があって人面のようだという。特に害をなすわけではないため、人々はあまり恐れないという。この怪火の由来としては、昔この村には日光坊という山伏がいたという。(続く2
2012-02-28 14:15:49続く2)あるとき、村長の妻が病に臥した際に日光坊が加持祈祷を行い回復させたが、後々に日光坊は女と密通していたと村長から疑われ、日光坊は殺されてしまった。病気を治したことへの感謝はされず、しかも殺害された、という二つの恨みが怪火となって村長の家の棟に止まり、取り殺した。(続く3
2012-02-28 14:15:56続き3)このゆえから、日光坊の火を二恨坊の火という、とある(参考:『随筆辞典 4奇談異聞編』、『日本随筆大成<第二期>24』)。
2012-02-28 14:16:00『妖怪事典』が引く『本朝故事因縁集』では、この村に昔一人の山伏がおり、一生のうちに二つの恨みを持っていたため二恨坊と呼ばれていたという。この山伏が死んだ後は魔道に堕ち、邪心の炎が消えずにこの怪火になったとされている。
2012-02-28 14:16:49この他、『妖怪事典』では『百物語評判』『宿直草』の例では、仁光坊という美僧が代官の女房の策略によって殺害されたことで現れる火(仁光坊の火)とされている話を挙げている。
2012-02-28 14:16:59それと、引用元は不明ながら『妖怪事典』では「見物人が多いときには、恥ずかしがるように飛び去ってしまう」とされている(『諸国里人談』にはそれらしき記述はなかった)。
2012-02-28 14:17:47※作中との比較
まず、作中での時期は直前の流れからホワイトデー当日と思われる。つまり経島先輩のいう通り三月半ばであり、二恨坊の火が出るとされる季節(三月から六、七月までの時期)に該当する。江戸橋会長が叫んだように人面なので、記録されている通りの姿で登場したと思われる。
2012-02-28 14:18:34これ以上の記述はないが、江戸橋会長の声でみんな揃って二恨坊の火の方を向くと、『妖怪事典』の記述のように恥ずかしがって飛び去って消えてしまったのかもしれない。もしそうなったと妄想すれば、なかなか楽しい妖怪だと思う。『諸国里人談』の記述によれば特に悪さをするわけでもないし。
2012-02-28 14:18:43