【ほうかご百物語】妖怪についてつらつらと(4巻)
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「虚空をむきて口を開バ虹の如き気を[は]く[此]気ふるる鳥類虫□(など?)□るがまの口に入る」…やばい、全然読めない(汗)。
2012-02-26 15:51:22『絵本百物語』は『兎床談』なる書物を引いて、唐土(もろこし)の燕然山の苔渓に住む蟆(がま)は丈余(十尺余(約3m))もあって人を喰らう、とも言っている。
2012-02-26 15:54:08※文献を基にした概説メモ
※作中との比較
※蚊帳吊り狸について
さて、『ほうかご百物語』4巻より「蚊帳吊り狸」について。参考文献は「阿波の狸の話」(笠井 新也著)『日本民俗誌大系 第3巻 中国・四国』(株式会社角川書店、1974)、『妖怪事典』(村上 健司著、毎日新聞社、2000)、
2012-02-28 21:05:18『日本怪談集 妖怪篇』(今野 円輔著、社会思想社、1981)、『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(谷川 健一編纂、三一書房、1988)、『Truth In Fantasy54 神秘の道具 日本編』(戸部 民夫著、株式会社新紀元社、2001)。
2012-02-28 21:05:23※文献を基にした概説メモ
…といっても、『日本怪談集 妖怪篇』や『日本民俗文化資料集成 8 妖怪』(「全国妖怪語辞典」)は『阿波の狸の話』を典拠にして引用しているだけで、
2012-02-28 21:05:48『妖怪事典』の「蚊帳吊り狸」の項目も『阿波の狸の話』と『日本怪談集 妖怪篇』を典拠としているので、実質『阿波の狸の話』を原典としている、ということになりますね。
2012-02-28 21:05:50「阿波の狸の話」では、美馬郡三島村の舞中島(『妖怪事典』に拠れば穴吹町。現在は徳島県美馬市穴吹町)にいた妖怪で、蚊帳吊り狸(「阿波の狸の話」では"蚊帳つり狸"の表記)は薬缶の通行人を悩ませた。
2012-02-28 21:06:57夜更けに寂しい所を通っていると、道の真ん中に蚊帳が吊るしてあり、これをまくらないと先に進めないのでまくる。しかし、まくってみると別の蚊帳が垂れており、いくらまくっても蚊帳があるという。これはいけない、と思って後戻りしようとしてもまた無数の蚊帳があって元の場所に戻れない。
2012-02-28 21:07:05そうして夜の間はずっと蚊帳の中でさ迷わなければならないという。しかし、心を落ち着かせて、丹田(へその下)に力を込めて蚊帳をまくっていくと三十六枚目で向こう側に出られる、とされている。
2012-02-28 21:07:18しかしながら、これも昔の話で今(「阿波の狸の話」が書かれた当時)は蚊帳吊り狸も出なくなり、話が忘れ去られつつある、という。…以上が「蚊帳吊り狸」の大体の概要です。
2012-02-28 21:07:34『妖怪事典』が蚊帳吊り狸の典拠として示している『阿波の狸の話』にも『日本怪談集 妖怪篇』にも、「昔、蚊帳つり狸というのがいて、…(後略)」とは記されていますが、どこにも「狸が化かしたものである」とは明言されていません。
2012-02-28 21:11:38四国が化け狸の楽園だったことや、怪異の名称から狸だと言いたくなりますが、そう明言されていないのにいきなり「これは狸が化かしているとされる。」と言われると、若干違和感があったので報告を(汗)。
2012-02-28 21:11:48なお、『神秘の道具 日本編』に拠れば蚊帳自体は昭和40年頃まで普通に使われていた模様。古くは「蚊帳」のほか、「蚊屋」とも書いた。蚊帳は時代が下るごとに徐々に簡略化されていった。
2012-02-28 21:15:02室町時代頃に貴族や武士の間に広まり、江戸時代になって漸く庶民の間に普及し始めたらしい( http://t.co/VoQrXoZd 蚊帳 - Wikipedia も参考のこと)。※ただし『神秘の道具 日本編』では江戸時代でも庶民はなかなか買えない高級品だった、と記している。
2012-02-28 21:15:22こうした蚊帳に呪術的な力を認める民間信仰は数多くあり、例えば「雷が鳴ったら蚊帳に入る」という俗信が挙げられる(『神秘の道具 日本編』)。
2012-02-28 21:15:31また、吊った蚊帳の内側は一種の密室の空間であり、蚊帳によって避ける対象である蚊は血を吸う、つまり魂・生命力を吸い取る魔物とも考えられることから、蚊帳の内側は魔除けの空間であると認識できるのではないか、というようなことも言っている。
2012-02-28 21:15:39このようなことから蚊帳には呪術的な力があると考えれば、これが妖怪として捉えられる対象となってもさして不思議ではない、のかもしれない。
2012-02-28 21:16:35