- YYmixture_69
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「いいが、ムシも訳わからんで暴れでたんだ。母親恋しと泣いて、帰りでぇ、帰りでぇ、オラはここはやんたと言っているのに、なんで殺さねばねんねんだ。おめ方も親なら人でなぐ、ムシの子どもの気持ちも考えねばなんねど」それを言われ両親は胸を突かれた思いがした
2012-03-02 23:34:56話が終わり、婆様はオレに笑顔で言った「昔はおうおうにそんな事があったんだ、おらいの母親あたりまでだな。ムシカミサマは常世から落ちてきたムシの母親なんだべな。現世に落ちて苦しんでいる子どもを思って、わざわざ己の羽をむしって落ちてきたんだ。だから偉えもんだな。母親はどごでも強いなや」
2012-03-02 23:39:43オレは婆様の話に頷きながら言う「母の愛はわからないが、最近はムシの形をしたチョコがあるんだよ。ムシキングとかの影響だよな」
2012-03-02 23:42:12当時、ムシキングは大人気だった。ムシの形のチョコやおもちゃが溢れていた。オレもクワガタのおもちゃを買っていたので、ムシの話は面白かったのだ
2012-03-02 23:44:15今はマヤギトウはいない。昔はそういう村の知識経験のある人をありがたがったものだった。今は情報が溢れているのでその風習もすっかり廃れた。
2012-03-02 23:46:57ちなみにオレが持っていたムシキングのおもちゃはギラファクワガタだった。とてもかっこよかった覚えがある。婆様にはチンプンカンプンのようだった
2012-03-02 23:49:03と、言うわけでムシカミサマの話は終わりだ。意外とムシカミサマの話は現代でもあちこちでアレンジされていると知ったのは一年前ぐらいだな。ムシカミサマ、働きものだな
2012-03-02 23:50:52マブダチのみんな、聞いてくれてありがとうな。恐らくなんだが岩手出身の40~60代の方々は近所に昔からいる「拝みやさん」がいたんじゃないかな。そういう人たちも「疳の虫取り」ってのを昭和の初期までやっていたそうだ。糸のようなムシが出てくるってのは総じて同じらしいな
2012-03-02 23:56:25さて、小ネタの時間だな。マブダチのみんなはオシラサマをしっているかな。東北地方に伝わるカミサマだ
2012-03-03 00:03:33このオシラサマにはナゾが多く様々な研究がなされているんだが、その中の興味深い一面を1つあげていこう
2012-03-03 00:05:17このオシラサマの話は約400年前ぐらいに山伏たちが捜神記という中国の書物を東北の人々に読み聞かせ、そこから広がったといわれているんだ
2012-03-03 00:08:33馬と娘の話は確かに捜神記に出てくる。まずここがポイントだ。そしてオシラサマの風習を調べると「二足四足の肉を食べてはいけない」という事と「狩りと豊穣のカミ」であるという事がわかってくる
2012-03-03 00:11:21ほとんどのオシラサマが400年前に伝わって来たもの。であるという説が多い。しかし、実はそれより深いナゾがあるのだ
2012-03-03 00:13:39出土したり、博物館やお寺に預けられた古いオシラサマのお姿を調べると古いもので800年前のものがある。つまりは捜神記が伝わるはるか前からオシラサマは信仰されていたのだ
2012-03-03 00:15:25そして次に「二足四足の肉を食べてはいけない」というしきたりと「狩りのカミを表す」という部分。これは相反するしきたりなのだ。
2012-03-03 00:17:04つまり東北では800年前からオシラサマのような信仰があった、それは狩りのカミサマの側面を持ったものだった。それがどこかで400年前のオシラサマ信仰にかぶせられ、元のカミは消えてしまったというものだな
2012-03-03 00:19:10では800年前から信仰されていたカミとは何であるのか?残念ながらそれを示す書物などは一切残っていないのでこれ以上はわからない。ただ東北にはこうした消えてしまった古い神々がいまだに眠っている
2012-03-03 00:20:46こういった辿れない神々を「古き古層のカミ」と呼ぶんだ。でも余り調べすぎてはいけないぞ、古き古層のカミは猛々しい面や厳しい顔を持つ。一度後ろ髪を惹かれれば、一生背負うとも言われているのだ。こういった事は古代ロマンの1つと考えるぐらいがベストだ、マブダチ
2012-03-03 00:24:14