ゴムボール物語。2012/3/7

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あるところに、何もない田舎がありました。ほんとに何もないただの田舎でした。子供たちは学校に通い、大人たちは普通の働いていました。ある日、国中揺れる大きな地震がありました。するとその田舎に赤いゴムボールが1つ転がってきました。誰も知らないうちにそれは道端にありました。

2012-03-07 14:25:36
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ただのボールだと思って、住民は誰も気にしませんでした。すると国中から色んな話が聞こえてきました。あのボールやばいらしいぞ、死ぬらしいぞ。田舎の人間たちはただのボールじゃないの?と誰も気にしません。馬鹿らしい、何もしないボールじゃないか。こんなので死ぬなんて信じられません。

2012-03-07 14:27:01
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だから誰も意に介さず普通に暮らしていました。国中から引っ越せ!触るな!と言われます。それが恐ろしくて本当に引っ越す者も出てきましたが、大体の人は田舎に住み続けました。だってただのボールですもの。だんだん風雨に晒され汚くなっていくだけのゴムボールになんの意味があるのかわかりません。

2012-03-07 14:28:28
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大人たちが普通に今までやっていたように働いて、作ったものを売りに出すと、全部返却されてきました。赤いボールがある田舎からは売り物を受け取れないというのです。大人たちは困ってしまいました。これが売れないと食べていけないんだけど、お金貰えないんですか? 勿論もらえませんでした。

2012-03-07 14:29:49
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ただのボールに見えるのに、本当に危険なのかな…とみんな思いだした頃、別のひとたちが、このボールはお医者さんも仕事で投げてるから全然平気だよ、と言い出しました。田舎の住民は混乱しました。え? 危険なんじゃなかったの? じゃどうしたらいいの? 田舎の人にわかるはずもありません。

2012-03-07 14:31:05
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どうみてもただのゴムボールです。そのボールを拾う仕事をする人たちまで現れました。商売なので料金を支払わなければなりませんが、なんだかボールがあるとやばいらしいのでその人たちにお願いすることにしました。すると国中からその人たちは詐欺師だという声があがりました。また驚きました。

2012-03-07 14:32:31
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どうしていいのかわからないので、田舎の人たちは国に聞いてみることにしました。すると、国は王様のお城の周りを綺麗にすることにお金を使う用意ができていて、その田舎まで予算を使ってくれないみたいです。田舎の人たちは結局自分でなんとかしないといけないのかなと思いました。

2012-03-07 14:33:57
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片方の人たちは大丈夫だといい、片方の人たちは危険だといい、お城は助けてくれず、田舎の人たちは途方に暮れてしまいました。ゴムボールを触ってもいいんでしょうか、だめなのでしょうか。商売人たちは詐欺師が多いらしいし、誰に頼めばいいのかもわかりません。

2012-03-07 14:35:10
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そりゃそうです、さっきまでただの凡庸な平凡な人間たちだったのですから。危ないからニゲロと言われても、逃げなければならない意味すら理解できません。どんなボールなのか知りたくても、たくさんの意見があってどれが本当かわかりません。

2012-03-07 14:36:29
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わかってきたことは、どうやらその国の誰も本当のボールの正体を知らないこと。これは真実のようでした。だから誰が何を言っても、本当なのかどうか田舎の人たちにはわかりませんでした。きっと誰かが本当のことを言っているのでしょう。でも声が多すぎて、判断できなかったのです。

2012-03-07 14:37:42
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だから、その田舎から外に出た者たちがよその町で酷い目にあって戻ってきたという話を聞くと、余計怯えてしまいました。ゴムボールがあるかないかで国中の嫌われ者になるなんて、想像もしていませんでしたから。結局、今まで通りその田舎でみんな暮らすことしかできませんでした。

2012-03-07 14:39:22
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「あのゴムボールがある田舎」たったこれだけです。もしそのボールが地震のあとに違うところに落ちていたら…? きっとその田舎の人は怯えることなどなかったでしょう。偶然そこに転がってきた、ただそれだけ。運が悪かった、それだけで田舎から出る自由も奪われてしまいました。

2012-03-07 14:40:56
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確かに住民たちは、お医者さんたちがそのボールを上手に投げている話は聞きました。でも住民はお医者さんではありません。結局そのボールの扱い方なんて誰もわかりません。ボールはそのままそこに野ざらしで置かれるままになりました。たまに詐欺師でもいいとお金を払って拾う人もいました。

2012-03-07 14:43:26
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しかし、しばらくしたらボールはまた同じ場所に戻ってきていました。拾ってもってってもらったのに、料金を無駄に払っただけでした。住民たちはがっかりしました。一体このボールはなんなんだ、どういう仕組みなんだ。詳しい人に説明してもらってもサッパリ訳がわかりません。

2012-03-07 14:45:13
にゅ~にゅ★(・ω・(⊃☀⊂)★ @newingnew

その田舎の住民たちは、まだその場所で暮らしています。普通の生活のまま。大人たちが働いて作ったものは外では売れないので、近所のみんなに食べてもらうことになりました。みんなちゃんとお金を払ってそれを買います、そうしないと作る人たちが困ってしまいますから。

2012-03-07 14:46:43
にゅ~にゅ★(・ω・(⊃☀⊂)★ @newingnew

そのゴムボールはそのうち小さくなってしぼんでしまうのだそうです。住民はそれをじっと待つことにしました。危険なのか安全なのかさっぱりわからないけど、小さくなってしぼんでしまうならそれを待つだけでいいと。外にも逃げられないし、それしかないのだそうです。

2012-03-07 14:48:18