スタジオぬえ版パワードスーツのデザインについて

加藤直之氏による、スタジオぬえ版『宇宙の戦士』パワードスーツのデザインについての解説をまとめました。
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加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

ツイッターで、ぬえのパワードスーツとガンダムのガンキャノンのデザインの関連についての話題があったので、ここで説明。1)ぬえの母体となったSFセントラルアートの同人誌『クリスタル』の表3がいつも真っ白なのはもったいないとぼくが考え、SFマガジンの用に広告を(架空の)考えた つづく

2012-03-09 06:55:09
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

2)その架空の広告として、『宇宙の戦士』のパワードスーツの解説、『宇宙戦艦ヤマト』の艦載機の戦術解説、半村良さんの「ムラサキイトユリ」の解説、などをでっち上げた。理屈付けは松崎・宮武が担当。イラストは僕が描いた。

2012-03-09 06:58:31
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

3)『宇宙の戦士』のパワードスーツの絵はぼくがテキトーに、その上半身(正面)を描いたが、ヘルメットのデザインやバズーカ砲の配置は、このときのものが後々まで残ることに。

2012-03-09 07:03:18
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

4)SFマガジンの2色オフセットページに、「小説に登場する宇宙船やメカ」を一同に並べて描くという企画で、再びぼくがパワードスーツを、『クリスタル』の時に描いた絵を元に、全身を、斜め横から見た絵に描いた。

2012-03-09 07:06:32
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

5)早川書房から新書で出ていた『宇宙の戦士』が文庫になると聞き、絵を描かせてほしいと売り込んだ。その時,後々まで読者の目に触れることになる文庫の絵に、『クリスタル』や、その時限りの『SFマガジン』のデザインでは「弱い」と考え、宮武に正式にデザインを発注

2012-03-09 07:13:37
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

6)ゴリラの頭は、横から見ると、目の上が前にせり出し、頭頂部はかなり後ろに後退している。この頭頂部を、僕がデザインした、頭頂部の中央にある各種センサー内蔵したパーツを後ろにずらして配置することで表現した。このパーツの名残が、後にガンダムの頭部、頭頂部の(ちょんまげ状の)デザイン。

2012-03-09 07:21:49
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

7)ぬえ版パワードスーツのヘルメットは、宮武により、アゴの前にあるパーツをヒンジにして前側に開くようにデザインされているが、そのヒンジの張り出しが、ガンダムのアゴのパーツに、エジプトのファラオのヒゲのような形で残っていると思われるが、これについては、ぼくの想像

2012-03-09 07:24:44
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

8)以上、モビルスーツのルーツにもなった『宇宙の戦士』パワードスーツの説明でした

2012-03-09 07:27:09
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

@osamukoba 高千穂が『宇宙の戦士』を富野さんに「読ませた」とは聞いてますが僕はよく知らないのデス。『ガンダムセンチュリー』も、僕は注文通りに何枚か絵を描いただけ。数年前にUCカバーで角川編集部に「背景」の資料を請求したら届いたのは『センチュリー』のコピーでしたw

2012-03-09 12:11:27
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

@ltuwhao 青い絵が最初のカバー(1977年)です。背景が黄土色で砂漠の絵が2枚目(1994年)。→http://t.co/67BNb02S 砂漠の絵に2体のパワードスーツを加筆した絵がトール文庫版(2009年)のカバーです→http://t.co/EZATna1T

2012-03-09 19:42:37
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

@toshi_egawa いつも前屈みなのは、(背中に重い荷物を背負っていることもありますが←人間は軽いので)、宮武が、パワードスーツのポーズの基本は前屈みだよ、といつも言っていたことに由来します。もちろんゴリラのポーズを彷彿とさせる演出でもありますが。

2012-03-10 00:41:24
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

ぬえのパワードスーツの基本ポーズは前屈み、のつづきだよー(風呂に入ってました)。中の人が脚をまっすぐにして直立しているときでも、スーツの膝部分は、若干、前に出ていて、ちょうどゴリラのようにいつも膝を曲げているようなデザイン処理になってます(これも宮武のこだわりのひとつ)。

2012-03-10 01:58:13
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

そして最後。腕もゴリラのように長くしたい。そこで宮武が考えたのが、スーツの手首から先は純粋なメカ。人間の手首は、スーツの前腕部分の中に収まっていて、その動きをトレースしてスーツの手に伝える。だから前腕が、ゴリラのように太いのよ,というアイデア。僕はこれがとても好き。

2012-03-10 02:05:40
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

@kinobun 頭頂部のパーツ(センサー類が入ってる)が後ろにあるのは、前にかがんだり伏せのときにセンサーを上のほうにするため。目の上が前にせり出しているのは、伏せの体勢で目を守るため、かな。小説の描写にあわせてあるのがミソなのですが、膝が前に出てる理由はいまのとこ不明ですw

2012-03-10 02:21:20
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

起きてひととおりツイートを読んだとこです(ね、眠い・・・)。こちらがSFマガジン。ぼくが自分のデザインに見切りをつけて宮武に頼んだ理由がわかるでしょ(カッコわるー)w→ http://t.co/5xni2IQJ 今日もこれから昨日が締め切りだったヤマトの絵

2012-03-10 11:23:46
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

妻が僕の仕事場を片付けてくれているんだけど(田中芳樹さんの銀英伝の生原稿のコピーとか見つかった、あのときのエピソードもそう)、さらに『宇宙の戦士』の挿絵(1977)のラフスケッチが大量に見つかりました。その紙の裏は(もともとは表だけど)安彦さんが描いたアニメのコンテだったらしい。

2016-11-25 00:45:49
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

他に見つかったスケッチには、秋田漫画文庫のカバーのための『鉄人28号』とか、小澤さとるさんの『青の6号』とか、ほかにもいっぱい。著作権のことがあるから公開はできないけど、イベントで展示はできるかも。

2016-11-25 00:51:46
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

《続報》 『宇宙の戦士』文庫版(1977)宮武が描いたスケッチは挿絵だけでなく、カバーイラストのスケッチが1点。カラー口絵のスケッチが3点、出てきたぞー

2016-11-25 02:59:09
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

《続報》3『宇宙の戦士』のパワードスーツのデザインは僕が同人誌に発表したもの(上半身)を元にSFマガジンのメカ特集で僕がもう一度絵に描いた(下絵も発見)。のちに文庫の仕事で自分でデザインし直した(今回スケッチを発見)けど出来が悪かったので宮武に仕上げてもらった、という流れでした

2016-11-25 13:07:55
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

つまり、宮武は、宇宙の戦士のパワードスーツのデザインから派生して生まれたガンダムと、宇宙戦艦ヤマト この日本のアニメのなかにおいてとっても重要な、ふたつの流れのルーツなのですね。

2019-08-06 18:16:14
加藤直之(スタジオぬえ)SFイラストを描いてます。 @NaoyukiKatoh

良い機会なので、宮武がデザインしたぬえのパワードスーツがどんなふうにガンダムのデザインにつながっていったかを紹介しますね。 パワードスーツの全身は、ガンキャノンへと受け継がれますが、パワードスーツのヘルメットも、ガンダムの頭部のパーツとして、いくつかデザインに受け継がれています。 pic.twitter.com/jaTkAscv68

2019-08-08 11:24:52
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