高岡 滋 ‏先生の連続ツイート「福島の現在の状況をどう考えるか」

3月9日の、高岡 滋‏先生の連続ツイートが素晴らしかったので、保存用にまとめました。
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高岡 滋 @st7q

①最近、ある方から、早川先生のツイートなどを読んで、福島の現在の状況をどう捉えてよいのか迷う、あなたはどう考えるか、と言う質問を受けました。https://t.co/VzGC6KKs その返事の概略をツイートしたいと思います。

2012-03-09 20:11:33

リンクは、早川先生のこのツイートです。

早川由紀夫 @HayakawaYukio

「わたしたちは子どもを産めますか」と福島の高校生に聞かれたら、このままそこにいたら産めない体になるかもしれないと答えるのが大人としてのつとめでしょう。「まずは子どもを絶望から救え」なんて言ってる暇があるなら、さっさとそこから退去させろ。そこは危険地帯だ。

2012-03-08 08:18:19

 

高岡 滋 @st7q

②原発問題は、物理学、生物学、公衆衛生、心理、経済、政治などの各分野が重複した問題ですから、各分野の基礎を積み重ねるように考えていかなければ解答は出ません。それをせずして、いきなり早川先生の発言のような応用問題をまず解こうとすると混乱してしまいます。

2012-03-09 20:11:59
高岡 滋 @st7q

③基本に帰る必要があります。被曝の可能性のある人々(全国民)には、被曝と健康障害両方の情報を与えるべきです。現在進行形の被曝情報の全て、そして健康障害については、賛否両論の全てを国民に紹介すべきです。専門家も両論あるのです。迷うのは当然で、今の時代、隠そうとしたって出てきます。

2012-03-09 20:12:29
高岡 滋 @st7q

④きめ細かい空間線量だけでなく、製品、食品など全ての情報を国民に与えることが第一です。被曝に関しては、外部被曝、内部被曝以外に、多核種を含む大量のホットパーティクルが放出され、東日本一帯にばら撒かれています。ですから、シーベルトだけで被曝を語るのは片手落ちです。

2012-03-09 20:13:34
高岡 滋 @st7q

⑤健康リスクについては、色々な意見があります。違いはあっても、福島に一番類似した過去の被曝事故はやはりチェルノブイリです。このチェルノブイリの評価は様々ですが、予防原則からすると、妊婦、小児、若年者が濃厚汚染地域に放置することは、リスクに対して無対策であることを示しています。

2012-03-09 20:14:00
高岡 滋 @st7q

⑥本来、東電と行政の責任で、少なくとも妊婦と若年者は全員避難させるというのが当然の施策です。それができないのであれば、全ての情報を提供して、情報を与えて個々人に判断させるのが近年のこの社会の建前でしょう。しかし、それが全く通用しない現実は、放射能と同じくらい恐ろしいことです。

2012-03-09 20:14:53
高岡 滋 @st7q

⑦そして、被曝が避けられない状況の人々には医療などで最大限のサポートを与えること、汚染と非汚染の境界をつくることも考慮しつつ、かつ、差別を禁止し、国民の意識が汚染拡散防止と差別を混同しない方向を目指して最善を尽くすよう、行政が指導力を示すことが必要です。

2012-03-09 20:16:01
高岡 滋 @st7q

⑧「自己責任」論で教育されてきた私達は、一次被害(放射線の危険)より二次被害(事故後の避難や葛藤等)に目を奪われ、共同する方法を忘れかけています。また、大学「共通試験」や「小選挙区制」に象徴されるように、単純思考へ誘導され、複雑な問題に創造的に対処する力が足りなくなっています。

2012-03-09 20:19:58
高岡 滋 @st7q

⑨「グローバリゼーション」と共にやって来た、「自己責任」論→人の分断、問題のいきすぎた単純化→知の分断という手法によって、私たちはコントロールされていないでしょうか。私たちが孤独の中で考え、全体を見ずに部分だけで考えさせられると、相手の思うツボになっとしまうかもしれません。

2012-03-09 20:21:20
高岡 滋 @st7q

⑩大切なのは、難しい問題を避けず、知恵を出し合い、単純思考に誘導されないよう共同することです。感情的レベルに留まることなく、国民が共同して一次被害の責任者に鉄槌を下し、全被害者に可能な施策をとる事です。それが復元力です。汚染があっても、その様な社会にはきっと未来があるでしょう。

2012-03-09 20:23:15
高岡 滋 @st7q

⑪他にも色々違った見方があるでしょう。大切なことは、出されたメニューを見た時、どれを選んでもダメなように作ってあるのでは?と疑うことです。だから、物事の振り出しに戻って、第3の回答を私たち自身の真面目な対話の中から生み出すことです。そうすれば、第3の道が見えてくると思いませんか?

2012-03-09 20:24:38

寄せられた情報*

ogawabfp @ogawabfp

今、水俣の高岡滋先生( @st7q )の連続tweet④に登場したホットパーティクルについて、私の手元にある1990年7月9日の朝日です。チェルノブィリ事故でのこの件を追求したベラルーシの科学者の記事です。あわせてみてください。 http://t.co/nEUUGf5N

2012-03-09 20:26:31

再び高岡先生にご登場いただきます

高岡 滋 @st7q

「ホットパーティクル」というと判をついたようにタンプリン&コクランのデマという人が現れる。現在言われているホットパーティクルというのは、彼らが最初に提唱したプルトニウムの微粒子ではなく、多種類の核種から構成されている。実際に電顕像もあれば、ガンマスペクトロメトリーの結果もある。

2012-03-11 00:04:50
高岡 滋 @st7q

このような事情からホットパーティクルと呼ぶなと言う人もいるが、科学文献データベースを検索しても「hot particle」で多数の文献が出てくるのだから仕方がない。確認もせずに(或いは意図的に)デマと反応するほうが悪い。チェルノブイリ、ハンフォードの文献、東京・福島の知見もある。

2012-03-11 00:08:57