【03/09】テーマ：雨【#同題ssTB】

ゲル @gel_labo

雨は嫌な思い出だと言うと、ジャスティスタワーのてっぺんからお前が跳べば雨雲を突き抜けられる、などと馬鹿なことを言うので、僕は雨ではない水の匂いを口から吸うことにした。 <雨>#同題ss

リラ @soy_otk

降りしきる雨の中、傘もささず歩く。往来を行く誰もが、ズブ濡れの僕を振り返る。お気に入りの本革のライダースも、アンダーウェアもぐちゃぐちゃ。髪の毛のカールもとれて、顔に張り付く前髪が邪魔だ。水滴で意味を成さない眼鏡を外して握りしめる。針のような水滴は容赦なかった。＜雨＞ #同題ss

まやめ @mayame_u2

ぽつりと水滴が落ちてきた。見上げれば太陽が顔を覗かせたままの天気雨。めずらしいと呟けば、「まるであなただ」とバニーが言う。意味がわからず首を傾げた俺の頬を、白い指先がゆるりと撫でた。「太陽と同じ色のあなたの瞳から零れる涙。リキッドサンシャインみたいでした」＜雨＞ #同題ss

ひさめ@咳が止まらないマン @skri_hisame

夏。彼の実家。向日葵。夏野菜。彼が持つホースが緑の葉を広げた野菜たちに雨を降らせる。恵みの雨。僕はその様子を縁側に座って赤い西瓜を食べながら眺めていた。彼は顔中、体中汗を掻いている。その光る汗を見て、無意識に動く口。「ああ…舐めたいなぁ」僕にとっての恵みの… ＜雨＞ #同題ss

ひさめ@咳が止まらないマン @skri_hisame

何を作ってるです？僕が尋ねると彼はああと頷いて「てるてる坊主」と。TERUTERU-BOZU？なんだそれ？「雨がな、止むんだよ」聞いてないのに律儀に答える彼。目線は手元。へえそうと僕は素っ気ない返事を返す。ところでそれ、僕を放っておいてまで作るものなんですか？ ＜雨＞ #同題ss

ばっふぁろー@タイバニ続編ありがとう×2 @lznuscrfb_op

雪が嫌いな虎徹さんと、雪が好きな僕。雨が好きな虎徹さんと、雨が嫌いな僕。 濡れる窓ガラス越しに外を見つめるグリーンに声を掛ける。「今夜は冷え込むらしいですよ」「っだ！」 こんな僕たちだからこその方法で、これからも、この街を守っていく。これから、ずっと。 〈雨〉 #同題ss

@nikeckc

@home　＜雨＞の音がいつかの一つではないと僕に示した後ろ首へと　歯をつき立てる白昼夢　#同題ss　

ばっふぁろー@タイバニ続編ありがとう×2 @lznuscrfb_op

あの日、俺が自分の限界を知った時。あの日、僕が失ったものに対面した時。心が濡れていくのが、分かった。 ＜雨＞ #同題ss

子羊ちゃんぱっち @0rin_ring8

「……かさ」しっとりと色濃く染まりゆく街を見下ろしながら、ぽつりと相棒がこぼした。「かさをさ、こう、でっかい傘をさしたら、誰も濡れなくなるかなァ」あぁ、この人はどこまでも。「そうですね。とびっきりを用意しましょう」抱き寄せた肩は見ているものよりも脆く小さかった<雨> #同題SS

はおん @giovanni_haon

ソファから立ち上がったバニーは、朝帰りの俺のキスを掌で遮る。「こういう時の貴方のキスは真夏のアスファルトに降り注ぐ雨みたいな物で」詩人になり損ねたヒーローが笑う。「微かに焦げ臭いんですよ」熱を持って重く粘る怒りが、白く優雅な手の姿をとって俺の喉元に絡み付いた。＜雨＞ #同題ss

ちまたぬ @chimarsha

耳がよく聞こえない。ざあざあいってるのは心臓の音じゃなくて、雨かな。多分そうだ。顔のあたりが濡れていて、ぽたぽたと水たまりを作っている。だからこれは血だまりじゃない。血だまりじゃない。 <雨> #同題SS　さあ起きて。行きますよおじさん。

㋮ @mayumizzz

お父さんを迎えに行ったらバーナビーも一緒。傘は二本。私の赤い水玉模様の傘をバーナビーに差し出す。「バニーカラーだな」「似合いますか」笑うバディ。そして私はお父さんの背中で傘を差す。恥ずかしいけれど、久しぶりのおんぶは実は嬉しい。＞雨 #同題ss

mrk @mariko_tanka

目が覚めたらすっかり夜になっていた。今日は外に食事に行くつもりだったのに。虎徹さんはまだ眠っている。少し無理をさせてしまったかもしれない。黒いしなやかな髪を撫ぜる。いつもよりひんやりとしていた。雨の音。しずなか呼吸。僕らは雨の檻に囚われて、どこにもいけない。〈雨〉 #同題ss

ぎゃらんこは引っ越します @gyarararando

「あーめあーめふーれふれ…あ、ばにー！」「ごめん遅くなって！迎えに来たよ…帰ろう。」「じゃのめ」「…ん？ああ…傘か、嬉しい？」「うん！…でも、」「？」「…おれ、楓を迎えに行かなきゃ。雨降ってるし、きっと困ってる…」「…虎徹、さん。」彼の娘は、もう居ない。〈雨〉#同題ss 壊れ虎。

ちまたぬ @chimarsha

金色の雨になってあなたに降り注ぎたい。わかるかわからないか微妙なところだなと思いながら僕が言うと「俺に降り注いでも子供は産めねえなあ」と少し悲しそうにあなたは言った。ちょっと待って、その顔、僕はもう少し踏み込んでいいんですか、それとも可哀想なものを見る目ですか。<雨> #同題SS

柚子（ゆずこ） @yuzucotan

何事もなく雨が降っているので、僕は安心してあなたの横顔を眺めることができる。あなたが雨を見つめているので、僕はあなたの指を眺めることができる。あなたが傘をゆっくりと開き、こっちを向いて「一緒に帰ろうぜ」といって笑う。だから僕はもうあなたを見つめることができない。＜雨＞#同題ss

はぴ🦥 @hapiforza

子供の頃は雨が好きじゃなかった。外で遊べない、濡れるとべとべとする、何となくかーちゃんは不機嫌になる。いいことなんて何にもない、そう思っていたのに。「…傘、入れてあげましょうか？」そのたった一言で、数十年の考え方さえ変えられてしまった。<雨> #同題ss

@kirakirachichin

慈雨に濡れる枝の先に、小さくぷっくりと萌える紅い梅の子。雨のせいで霞んでしまう蕾は、今や遅しと弾ける瞬間を我慢する。あと少し、あと少し。一雨ごとに春へと近づき吹き荒れる嵐を、むずむずと体を震わせて待っていた。甘く豊かな芳香。鮮やかな色彩。冬から春へと誘う雨がもたらす物 #同題SS

danbe eico @danbedyv

本日はお足元の悪いなか、故ワイルドタイガーの告別式にご参列くださり、タイガーに代わりまして御礼を申し上げます。長く太く…二人で歩んだ人生でした。大往生のその時までヒーローであり続けた彼を、僕は心から誇りに思います。…愛しています、僕の、最高のヒーロー。<雨> #同題ss

danbe eico @danbedyv

本日はお足元の悪いなか、故ワイルドタイガーの告別式にご参列くださり、タイガーに代わりまして御礼を申し上げます。長く太く…二人で歩んだ人生でした。大往生のその時までヒーローであり続けた彼を、僕は心から誇りに思います。…愛しています、僕の、最高のヒーロー。<雨> #同題ss

もてきち(´ω｀)バニかわ @suama_HALS

知ってたわよ、あんた達がデキてる事なんて。彼女は凛とした声で言った。周囲を吹雪の城壁で取り巻いた氷の女王。その内側に守られた心は、僕と同じ人を恋うている。ありがとう、と心の中だけで彼女に告げる。同情するのは失礼だ。一人になった時、彼女の吹雪は雨に変わるのだろう。＜雨＞ #同題ss

浅岸(¨̮　青江怪談とら委託 @asanatto

雨の夜は頬が緩むのを抑え切れない。だってそうだろ、すっぱ抜かれるのを何より嫌う恋人が、視界の悪い今だけ屋外デートを許してくれんだぞ?「にやにやしすぎですよ」クールぶりやがって。夜に紛れる色の大きな傘を差すお前の横顔だって、言い訳出来ねぇぐらいにやけてるくせに!　<雨> #同題ss

七海 @nanami_7_3

雨の日はシーツが少しばかり冷えるから、いつも、常以上に寝られなかった。なのに、｢俺が寝かせてやるよ｣と遠慮の欠片もなく隣に潜り込んできた温度を引き寄せただけで、人生で一、二を争う安眠を得たのはどういうことなのか。新しい疑問が気になって、結局また眠れなくなった。＜雨＞ #同題ss

はしま @hsm_7

僕の上でのけ反る彼は引っ切りなしに嬌声を零す。反らした喉にぽこり浮かんだ喉仏。動きに合わせて飛散した汗が僕の顔に降り懸かる。「……今日、は随分、乗り気ですね？」思わず呟いた僕に、今なら紛れるだろ、と、彼は婉然と微笑んだ。雨音は夜半になっても未だ止まない。<雨> #同題ss

ちまたぬ @chimarsha

よお。え、一体なにごとって？あのな、昼間、ひったくりを捕まえるのに傘投げて足絡ませてやったのよ、そしたらバニーが僕もやってみたいですって言うからさ、そんで自らの肉体を犠牲にして練習台になっているのがあちらにいる牛です。 <雨> #同題SS