茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第532回「胸の中にある空き箱に、どうしたら気付けますか」

脳科学者・茂木健一郎さんの3月13日の連続ツイート。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-03-13 05:34:35
茂木健一郎 @kenichiromogi

LG21からコーヒーへの、黄金のリレー、完成!

2012-03-13 06:05:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

「連続ツイート」第532回をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています!  本日は、寒いけど、空がよく晴れているからね。

2012-03-13 07:25:52
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(1)生きる上で必要な技術はいろいろあるけれども、一つ欠かせないのは胸の中の空白に気付くことだと思う。日本には何でもあるけれども、夢や希望だけがない、というのは言い古された惹句だ。だけど、夢や希望は存在ではなく不存在によってこそ担保されるということを、私たちは知っているか。

2012-03-13 07:27:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(2)生きている中で、私たちはそれなりに満たされてしまうし、「コンビニ」は日本の偉大な発明だが、だからこそ気付かないで通り過ぎてしまうこともある。それなりに成立している日常の中に、大きな空白を感じる能力こそ、夢のふくらまし粉であり、希望の検出器である。

2012-03-13 07:28:09
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(3)あれは、20代の、もっとぼんやりとしていた頃。バリ島のクラブ・メッドに行って(その頃の私の例によって、懸賞論文で入選したのだけど)、何もせずにプールサイドに横たわっていた。そうしたら、3日くらい経って、驚くべき変化が起こった。心の中の石炭がかっかし始めたのだ。

2012-03-13 07:29:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(4)そろそろ現実的になり始めていた思春期。それが、慣れないバカンスをする中で、忘れていた夢を思いだした。自分の中で子どもの頃から育んでいた大きな希望を、日常という埃まみれの屋根裏からとりだしてきた。そうしたら、箱の中身は、やっぱりからっぽだった。

2012-03-13 07:31:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(5)それが存在しないことは、決して絶望ではない。生命は、空白を必ず覆い尽くそうとする。自分の中に大きなからっぽがあると知ることこそが、夢の基礎であり、希望の認識である。いっぱいいっぱいでもう隙間がないという風に思うことこそが、退屈や小人閑居しての始まりなのだ。

2012-03-13 07:32:40
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(6)こんなこともあったな。『プロフェッショナル 仕事の流儀』のスタジオで、中村好文さんのお話をうかがっているうちに、「家」というものに持っていた夢を思いだした。日本の住宅事情の中で、家なんてこんなもんだと思っていたのが、ほんとうはぽっかりと空白があったことに気付いた。

2012-03-13 07:33:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(7)葉っぱに包まれ、縁側で寝転び、人の行き来が感じ、風が通り。木肌の温もりがあったり。そんな、中村好文さんのつくる家のお話を聞いているうちに、なんだ、自分の中には、すっかりぽっかりとした隙間があったんじゃないかと気付いた。そうしたら、夢も希望もわいてきた。

2012-03-13 07:35:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(8)だからね、もし、今の日本に夢や希望がないと感じられているとしたら、私たちが、自分の中にある空白を感じる力を失っているということだと思う。それなりに便利で、楽しい日常をつくってしまったから。うわあーと叫びたくなるような大きな空白を、忘れてしまったんだね。

2012-03-13 07:36:47
茂木健一郎 @kenichiromogi

むど(9)空白を見つけること。大きな欠落を感じ続けること。それは、私自身の課題でもある。生きるということは、つまりは、空白のマネッジメントの技術である。その周辺技術として、夢や希望もある。ドロシーが「虹の向こうに」を歌っていたとき、本当は心の中の空白を語っていたんだね。

2012-03-13 07:37:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第532回「胸の中にある空き箱に、どうしたら気付けますか」でした。

2012-03-13 07:38:47